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いまさら聞けない人工知能 うちの子の将来はどうなる?!

子どもの将来のためにも

人間にとってはすごく簡単でも、コンピューターにとっては超難問。それがこの動物を当てることでした。

イヌですよね。なぜ難しかったんでしょう?

コンピューターは動物の特徴を一つひとつ人間に教えてもらって、判断してきたから。例えば「イヌ=たれ耳+長い目。ネコ=とがった耳+丸い目。オオカミ=とがった耳+長い目」と教えると……。

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冒頭の写真は、とがった耳なのにイヌ!人間にとっては超簡単でも、コンピューターはたったこれだけで大混乱。どんな特徴に注目したらいいかするかを、人間が一つひとつコンピューターに手ほどきしない限り、「画像認識はうまくいかなかった」。

人工知能研究の第一人者、東京大学大学院特任准教授の松尾豊さんはそう話します。ところが、ある技術の登場でこの状況は大きく変わりました。

ディープラーニング

見分けるために、どこに目をつければいいかをコンピューターが自動的に学習できるようになりました。これがブレークスルー!

例えば、目、耳、鼻、ヒゲといった特徴を教えなくても、大量の画像を分析して、イヌに共通する特徴を自ら見つけ出せます。

こうした画像認識で間違える確率は昨年2月に4.9%まで下がり、人間の5.1%より良くなりました。最新のデータだと3.6%に!「認識は、人間の能力を超えるレベルにきている」と松尾さん。

勝手に上手になるロボ

認識ができるようになったコンピューター。この先、何が起きるのでしょうか。

まず、何回も練習して上手になっていくロボットが出てきます。

子どもはボールを蹴っているうちに、サッカーが上手くなっていきます。大人もボールを打っているうちに、ゴルフが上手に。「たまたま上手にできたら、『いまの上手にできたな』と思って、そのやり方を繰り返す」からです。

コンピューターにも、これができるようになります。

「いままで、コンピューターにとっては目が見えていなかった。『こういう状況では、こういう蹴り方をしたほうがいい、こういう打ち方をしたほうがいい』という状況を認識できていなかった」

「ところが認識の精度があがると、ロボットが何度もレゴを組み立てているうちに上手になるとか、たたみ方が上手になるとか、そういうことが起こる」

専門的には強化学習と呼ばれています。

自動運転も洗濯物たたみも

自動運転は最初は下手でも、試行錯誤しているうちに上手になっていきます。洗濯物も上手くたためるようになっていきます。

「ロボットも人間のように、どんどん上達する。上達した結果としての製品を売ればいいということに変わってくる」

言葉の意味もわかる!

まだまだ、進化は続きます。「言葉の意味理解ができるようになる」と松尾さん。

コンピューターに、写真を入力すると…

上の写真では「man in black shirt is playing guitar(黒いシャツをきた男性がギター弾いている)」という文が。

下の写真なら「girl in pink dress is jumping in air(ピンクのドレスの女の子が空中にジャンプしている)」という文が生成されます。

昨年末には、文章から絵を作り出せるようになりました。

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「『blue skies(青空)』という文を入れると、飛行機が空を飛んでいるっぽい絵がでてくるんですね。『rainy skies(雨空)』に変えると、雨の中を飛んでいるような絵になる」

「『象が野原を歩いている』というとそれっぽい絵がでてきます。これは、画像を検索しているんじゃなくて、描いているんです」

現実にはありえないような絵も描けちゃいます。

左は「A stop sign flying in blue skies(止まれ標識が青空を飛んでいる)」。「止まれ標識が空を飛ぶことはないはずなんですが、そういう文をいれると、本当に止まれ標識が空を飛んでいるかのような絵を描くことができます」

これまで課題だった「認識する力」を得たコンピューターは、どんどん進化のスピードを速めています。

松尾さんが、こんな人工知能の話をしたのは、小学生にどんなプログラミング教育をしたらいいのかを話し合う国の専門家の会議。その話から、わが子が大きくなったときの世界が見通せます。

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ディープラーニング革命と日本

こうした進化はディープラーニング革命と呼ばれています。「日本にとって非常に相性がいい」と松尾さんは言います。

例えば、カメラの認識の技術・イメージセンサーは日本が非常に強い分野。また、自動運転車、産業用ロボット、農業用機械、建設用機械といった技術も日本が強いそうです。「こういう企業が伸びることで日本経済は再び力を取り戻すことができるんじゃないか」と松尾さん。

少子高齢化社会が抱える課題もこうしたロボットが解決してくれるかもしれません。

「例えば、農業分野に習熟したロボットを適用すると休耕地が耕せ、除草ができ、農家の収入が上がるかもしれない。介護分野に適用すると、介助が楽になりますし、高齢者の方もより自立した生活ができるようになるかもしれない。廃炉の作業もできるはずですし、防災もできる」

「こういった技術を海外に展開していく。新たな輸出産業になるんじゃないかというふうに思っています」

労働力が不足する地方で技術を育て、海外展開するのがいいと提案します。

不安も……

でもね、バラ色の世界ではないみたいなんです。

「例えば自動運転を考えても、事故が起きた時に、責任は誰がもつのか」

たしかに、自動運転車をつくった会社なのでしょうか。持ち主なのでしょうか。それとも乗っていた人なのでしょうか。

「人工知能が作詞作曲したり、絵を描いたり、あるいは発明したりといった場合、その権利はどうなるのか」

発達した監視カメラが登場した社会はどう思いますか?

「認識ができるようになると監視カメラの能力が非常に上がります。事故とか犯罪が非常に減る社会が来ると思います。一方で『ずっと監視カメラに見られているのは嫌だな』と感じる人も多くいるはず。『人は本来見られない権利をもっているのではないか』という議論も必要になってくると思います」

人の命か経済か

話は単純ではないと、松尾さんは続けます。

制限を時速10キロにすれば死者は減るかもしれないけど、10キロで走る車に乗りたい人は少ないかもしれない。「安全性と利便性がトレードオフの関係。どこを選択するんですか、という問題を問わないといけない」

「いままでは、なんとなくその問題をごまかしてきたところがあると思うんですけど、自動運転になると、制限速度を10キロにしてもいいし、60キロにしてもいい。300キロにしてもいいわけです」

「人の命と経済の効率、どちらをどのぐらい優先させて、バランスをとるのかという非常に難しい問題を社会で決めていかなければならない」

「つまるところは、われわれはどういう社会をつくりたいのか。幸せで持続可能な社会は一体何なのかっていうこと自体を議論していく必要があると思います」

わが子が就ける職業は?

進化する人工知能。将来、わが子が就ける職業はどうなるのでしょうか?

松尾さんがポイントとするのは「こういった技術のプロバイダーになれるのか、ユーザーで終わるのか」。

つまり、技術がわかって提供する側になれるか、ということです。

「この10年20年、検索エンジン、ソーシャルメディアを使うようになり、非常に便利になったと思うんです。けど、その技術を提供しているのはシリコンバレーの会社なんで、日本の経済にはほとんどいい影響がない」

「社会を大きく変えていく技術、製品、サービスを日本が主体となってつくることができれば、日本経済は非常に強くなると思います」

じゃあ、ただ「使う人」で終わらずに、「提供する側」になるには何が必要なのでしょうか。

「数理能力、プログラミング能力、ハードウェア構成能力、こういったあたりは非常に重要なんじゃないかなというふうに思っています」

コミュニケーション能力も

人間が今している仕事は将来、人工知能に取って代わられると心配する人もいます。松尾さんはこんな指摘をしました。

「対人間のコミュニケーション能力が重要になってくると思います。低付加価値のサービスは、ロボットとか機械がやると思うんですが、高付加価値のサービスは人間がやり続けると思います」

カフェを例にこう説明しました。

200〜300円のコーヒーでも、店員に頼んで出してもらう。「お客さんが自分でボタンを押せばいいが、やっぱり店員が出してくれるのがうれしいわけですね」

「ホテルでもレストランでも、高いほど人が助ける。つまり、人間は社会的な動物なので、人が何かやってくれると非常にうれしい。長い進化の過程で出てきたものなので、そう簡単には変わらないと思います」

人間にしかできないこと

安全性と経済性をどう両立させるのかといった議論をまとめられる人間も必要とされるといいます。

「目的の設定とか、いろんな価値観をバランスさせる能力は重要になってくると思います」と松尾さん。

「自動運転であれば、経済の効率と安全性をどうバランスさせるのか。いろんな意見があるのをどうまとめるのか。こういったことをやる仕事は重要になってくると思います」

創造性も重要であり続けるそうです。

美味しいとか、きれいといった感覚や価値観を判断する「センサーとしての人間は非常に大事になる。さらにそれを分かった上で新しいものを作り出す創造性は人間にしかできないことなんだと思います」

子どもにはどんな教育を?

松尾さんは10〜15年後には自動翻訳ができるようになると予想しました。それは、ドラえもんのひみつ道具「ほんやくコンニャク」が現実になるということ。

「英語で言っても日本語で聞こえる、という技術ができちゃうときに日本社会全体に大きなインパクトがあると思う」

「例えば、優秀な学生も東大に行くんじゃなくてアメリカの大学にいくのが非常にハードル低くできちゃうかもしれない。今日、仕事やめたいと思ったときに、明日からパリで仕事することもできるかもしれない。非常に人材の流動性が高まると思います」

すぐそこに迫るこんな未来。あなたはお子さんにどんなふうに育ってほしいと思いますか。

バズフィード・ジャパン アダプテーション・リポーター

Saki Mizorokiに連絡する メールアドレス:saki.mizoroki@buzzfeed.com.

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