JASRACの値上げ方針に映画館団体が反論 「不当に低廉ではない」

    沈黙を貫いてきた「全興連」の第一声は

    日本音楽著作権協会(JASRAC)が映画音楽の上映使用料を大幅に引き上げ、映画館から徴収する方針を決めたことを受け、全国の劇場で組織する「全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)」は11月29日、「上映使用料は不当に低廉とはいえない」などと反論する声明を発表した。

    JASRAC会見後、最初のアクション

    JASRACは11月8日に記者会見し、現在1本あたり18万円の定額制としている外国映画の音楽について、興行収入の1~2%を映画館から徴収する形に改めたい意向を表明。将来的には邦画も同様の契約に変更することを目指している。

    18万円の使用料は従来、映画館に代わって配給会社が負担してきた。新たな負担増に劇場側からは「つぶれる映画館が出かねない。死活問題だ」と反発する声も上がっていた。

    一方、全興連はJASRACと協議中であることを理由に取材に応じてこなかった。

    今回の声明文は全興連の佐々木伸一副会長名によるもの。JASRACの発表以降、全興連としての第一声ということになる。

    文書は、興行収入の一定比率を音楽の上映使用料として支払っている国は「欧州諸国を除いて、ほとんどありません」と指摘。

    米国の主要な音楽著作権団体が上映使用料の徴収に直接関与していないことや、アジア各国でそもそも上映使用料が支払われていない実情を挙げ、全興連が現在支払っている外国映画音楽の上映使用料は「諸外国に比べ不当に低廉なものではないことは明らか」と訴えている。

    「JASRACの認識は誤っている」

    JASRACが目標とする「興行収入の1〜2%」という数字については、法人企業統計のデータを元に下記のように主張している。

    「健全な企業活動の原資ともいうべき営業利益の3分1から半分を徴収して、微々たるものとは到底いうことができません」

    「映画産業は巨大であるにもかかわらず、徴収されるべき使用料が不当に低廉に抑えられているというJASRACの認識は誤っているといわざるを得ません」

    仮に1〜2%が徴収された場合、「興行各社の経営の存立基盤は大いに揺らぐ」「興行のみならず、映画業界全体に多大な影響を及ぼすことは明らか」という。

    ただ 、現状のまままったく使用料を変更しない、ということでもないようだ。

    文書によれば、全興連はJASRACに対し、従来の定額制に代わる「利用規模を反映した」使用料の改定案を提示しているという。

    今後の協議の行方はどうなるのか。JASRACはBuzzFeed Newsの取材に対して、「こちらに文書が届いていないので、コメントのしようがない」と回答した。

    更新

    2017/11/29 17:40

    JASRAC側の反応を追記しました。

    BuzzFeed JapanNews