夜景とおじさん――。そんな不可思議な組み合わせの写真が、女性を中心に人気を集めている。
練習台のはずが…
トークイベントやネットラジオなど幅広い活動をしているオケタニ教授。友人がセミの写真展を開催したことに触発され、自らも昨秋から一眼レフで写真を撮り始めた。
当初は夜景と女子の写真を撮るつもりだった。ところが、本番であわてないようにと体重140キロの知人男性を「練習台」にして撮影していた時、「あれ、男の方が良くないか?」とひらめきが走った。
「『男がおじさんを夜景で撮る』ということを誰もやってないので、目立つだろうと。撮影後、一緒に飲めるのもいい。普段なかなかお会いできない方にお声掛けするいいキッカケにもなります」
前日の散髪はNG
カメラや撮影機材には、まったくこだわりがない。代わりに大切にしているのが、自然体のおじさん像をとらえることだ。
「ポーズは極力シンプルに。前日の散髪はNGで、衣装も普段着でお願いしています」とオケタニさん。企画色が強いだけに「出オチ」で終わらないよう、心を砕く。
コツコツと撮り続け、撮影者は50人を超えた。最初のうちは30代半ばぐらいの男性も撮っていたが、現在はおおむね50代以上に限定している。
「今年の夏場は夜も暑かったので、とにかく撮影が長くならないようにしました。被写体がおじさんですから」
女子高生にも人気
後退した頭髪、深く刻まれたシワ…。ハツラツとした爽やかさとは無縁だが、おじさんたちの表情には年輪を重ねたいぶし銀の渋さがある。
ポップな愛嬌とシックな哀愁。夜景とおじさんが織り成すケミストリーだ。
夜景おじさんの作品は「普通のおじさんなのに、なぜかカッコイイ!」と女子高生からも好評だという。これだけカッコ良く撮ってもらえれば、おじさんたちもさぞ大喜びなのでは?
「それが、被写体になってくれたおじさんたち、ほとんど何も言ってこないんです。人前に顔を出さない職業の方も多いので、照れもあるのかもしれません」
撮ってみたい「おじさん」は…
今後、夜景と撮ってみたい「おじさん」を尋ねると、野々村真さん(タレント)、田中泰延さん(ライター)、木戸修さん(プロレスラー)というバラエティー豊かな面々を挙げた。
究極の夢は「タモリ倶楽部」に出演し、タモリさんを撮影することだ。
「オープニングでタモリさんから『こんなの誰が見たいの?』とイジられつつ、夜景で撮影したタモリさんの写真をお見せして、『意外といいなぁ』というような展開が理想です」とやけに具体的な野望を語る。
個展は10月20日まで。初日の9月24日午後4時には、オケタニ教授らのトークショーもある。作品を収めた図録も販売予定だ。
「近いうちに写真集として形にしたいですね」ということなので、夜景おじさんファンは楽しみにしておいてほしい。