タトゥーがあっても利用できる温浴施設や海水浴場などをまとめたサイト「タトゥーフレンドリー」がオープンした。
雑誌「TATTOO BURST」の元編集長で、フリー編集者・ライターの川崎美穂さんが、日本に住む外国人の友人らと協力して開設した。
川崎さんは「不幸な出会いを増やさないことが、利用者と施設、お互いのためになる。このサイトで交通整理ができれば」と話している。

600箇所を掲載
サイトで紹介しているのは、日帰り温泉、銭湯、ジム、ホテル&旅館、プール、海水浴場など、約600スポット(6月2日現在)。日本語と英語の2ヶ国語に対応する。
「タトゥーをした人も利用できますか?」と電話で質問し、全面的、ないし条件付きで受け入れていると回答した施設を掲載している。
「カバーすれば利用可能」「小さなサイズのみOK」「海外観光客のみ容認」「規制なし」など、細かな条件別に検索することもできる。

不安を解消、ミスマッチ防ぐ
施設の公式ホームページや旅行サイトには、タトゥーの可否まで載っていないことが多く、愛好家の間では「利用できる施設を一括して知りたい」という需要があった。
また、外国人観光客からも「どの施設がタトゥーOKかわからない」「知らずに行って追い返された」といった相談が、川崎さんに寄せられていたという。
「タトゥーフレンドリー」の狙いは、こうした不安を解消し、利用者と施設のミスマッチや、トラブルを防ぐことにある。

入浴ルールも啓蒙
タトゥーと直接関係はないが、「浴槽に入る前に体を洗い流す」「タオルを湯船に入れない」「脱衣所に戻る前に体を拭く」といった、入浴マナーについての詳細な記事も載せている。
「施設側からは『タトゥー云々より入浴マナーを知ってほしい』という声を聞きました。タトゥー以前に社会常識やルールを守らなければ、受け入れてもらえるはずがないと思います」
「サイトに載っているから騒いでいい、見せびらかしていい、ということでは決してありません。ルールを守ってスマートに利用してほしいです」
手弁当で作業していることもあり、いまのところ掲載施設は人口の多い都市部や有名観光地などに限られている。今後はさらにエリアを広げ、中国語などほかの言語にも対応することを目指す。

五輪へ向けた受け入れ態勢は
2020年の東京五輪では、選手や観戦客を含め、多くの外国人が日本を訪れると予想される。当然、タトゥーを入れている人も少なくないだろう。
だが、「おもてなし」と言いつつ、日本側の受け入れ態勢は万全とは言い難いのが実情だ。
2015年の観光庁の調査によると、全国のホテル・旅館のうち、タトゥーを入れている客の入浴を断っている施設は約56%。断っていない施設が約31%、シールで隠すなど条件付き許可している店が約13%だった。

観光庁は「外国人旅行者が急増する中、入れ墨がある外国人旅行者と入浴施設の相互の摩擦を避けられるよう促していく必要がある」として、2016年に次のような対応策をまとめている。
- シール等で入れ墨部分を覆うなど、一定の対応を求める
- 入浴する時間帯を工夫する
- 貸切風呂等を案内する

みんなが快適にすごすために
シールで隠れないぐらいタトゥーが大きい場合や、大浴場での入浴を希望する場合はどうすべきなのか。観光庁の対応策には具体的な言及がなく、各施設の判断に委ねられている。
実際、川崎さんがサイト製作のために行った調査でも「外国人はいいが、日本人はダメ」「平日はOKだが、土日はNG」など、曖昧な回答が少なくなかったという。
川崎さんはこう語る。
「タトゥーを入れている人、入っていない人、嫌いな人…。みんなが快適に過ごすためにどうすべきか、考えるべき時期に来ていると思います」