りゅうちぇる、自分を偽り悩んだ少年時代 「普通を変えよう」デビュー曲で歌う

    歌手“RYUCHELL”としての第一歩 アーティスト活動を始めた理由は

    タレントのりゅうちぇるが、アーティスト「RYUCHELL」として一歩を踏み出した。

    デビューシングル「Hands up!! If you're Awesome」を2月14日に配信した、歌手RYUCHELL。「普通」であることを求められ、苦悩した過去を振り返り、自分らしさを貫く大切さを語った。

    Hajime Kamiiisaka

    RYUCHELL

    討論番組で得た気づき

    ――アーティスト活動を始めたキッカケは。

    「りゅうちぇる」と名乗る前の「比嘉龍二」のころから経験してきたこと、感じてきたことを歌にしたい、という思いがあって。1年ほど前からボイストレーニングとかダンスとか、土台づくりをしてきました。

    読者モデルからテレビの仕事を始めて、まずは「みんなを元気にできるタレントになりたい」という思いでいたんですね。でも、討論番組に出たりしているうちに、意見を言うことが楽しくなってきて。

    笑ってもらう以外にも、自分が意見を発することでできることがある。みんなが「新しい自分」で明日をスタートする。そんなキッカケづくりができるんじゃないかって考えるようになりました。

    それで自分でも作詞をするようになって。だから、バラエティーに出ていなければ、歌をやろうとは思っていなかったですね。

    Hajime Kamiiisaka

    RYUCHELL

    地元で浮いていたこと、性に悩んで個性を出せずにいたこと。学校に通っていたころのボクと、同じような悩みを抱えている人がいる。Twitterとかインスタにもコメントが届くんです。

    そういう声をキャッチして、自分なりに考えて発信したかった。ボク自身、歌に助けられてきたし、歌にパワーがあるってことはわかっていたので、歌という手段を選びました。

    歌だったら、音楽、ミュージックビデオ、ファッション、メイクも含めて世界観を伝えられる。自分の考えをギュッと3〜4分に凝縮できるところに、すごく魅力を感じます。

    「オカマだろ」罵倒され

    ――沖縄時代は悩むことも多かったのでしょうか。

    幼稚園生のころは、おままごとが好きで。みんなが「仮面ライダー」とかを見ているころに、「おジャ魔女どれみ」を見てました。バービー人形も好きだったし。

    その時から、子どもなりに人と違うってことを感じてました。「あ、自分の素を出したらいじめられるんだ」って。中学生のころまで、ずっと自分を隠してましたね。

    かわいいものが大好きだけど、男の子ではなくて女の子が好き。本当に、「普通の男の子」になれれば楽なのになぁって思ってました。

    「絶対ウソだ。男が好きなんだろ」「オカマだろ」って何度も言われて、親からも「普通の男の子はこういう格好しないよ」って。

    居場所がないし、自分がわからない。人から色々言われすぎて、「普通って何なんだろう」「ボクって何なんだろう」って悩んでました。

    偽りの友達、偽りの自分

    ――どうやって乗り越えたのですか。

    中学生ぐらいなると、自分を偽るのがうまくなってきちゃって。違う自分でいることによって、表面だけの「偽りの友達」ができて。

    それって自分のせいなんですけど、あのころは学校が社会のすべてだったから。ここで嫌われたらすべてが終わる、(スクール)カーストの上にいなきゃって思ってたし。

    偽りの友達に合わせて、大好きな先生や大好きな友達の悪口を言う。そういうのがすごくツラくなって、「こんな人生嫌だ。自分を変えよう」って決意したんです。

    めちゃくちゃ怖かったんですけど、変わりたいと思って、高校は地元の子が一人もいないところを選びました。入学前からTwitterで「ちぇるちぇるランドのりゅうちぇる」って、自撮りをあげて。

    入学式も超派手な格好で行ったら、「あ、Twitterやってる人だ」ってちょっと受け入れてもらえて。居場所を見つけて、自分を表現することができるようになりました。

    Hajime Kamiiisaka

    RYUCHELL

    出会いは嘘をつかない

    ――そこから上京されて。

    校内に居場所ができても、放課後に高校から出たら中学までと変わらないわけで。「アイツ誰?」って笑われることもあったりして、やっぱり違うなあと。

    そんな時に原宿っていう場所を知ったんです。個性豊かなアパレルの子とかが歩いているのをTwitterで見て、こんな格好でも「まあ原宿だからね〜」で許されちゃう場所が日本にあるんだって。

    それまで、「日本では個性を認めてもらえない。アメリカに行くか、基地で働こう」なんて決めつけてるところがあった。でも原宿を知って、速攻で上京しました。

    中学の時は偽りの自分でいたから、偽りの友達ばかりになってしまった。原宿でありのままの自分でいたら、友達もできて、運命の人(ぺこ)とも出会えた。自分に嘘をつかなければ、出会いは嘘をつかないんですよね。

    そこから読者モデルのお仕事が始まって、事務所にスカウトしてもらったり、テレビに出たりして、いまに繋がってる。自分を表現しなければ、何も始まらなかったと思います。

    80〜90年代の洋楽が好き

    ――デビュー曲「Hands up!! If you're Awesome」は、水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミさんが作曲、Kanata Okajimaさんが作詞を手がけています。

    歌詞やサウンド、ビデオも含めて「ああしたい、こうしたい」と思い描いているものがボクのなかにあったので、打ち合わせで気持ちを伝えるところから始めて。話し合いを重ねてつくりあげていきました。

    ボク、80〜90年代のファッションが好きで、同時期の洋楽もすごい好きなんですね。ジェイソン・ドノヴァンやカイリー・ミノーグ、バナナラマとか。ケンモチさんには好きな洋楽を色々送って、イメージを伝えさせていただきました。

    歌詞に関しては自分で書いたりもしていたので、Okajimaさんに「そこは英語にした方がカッコイイ」「こういう言葉で伝えてみたら」とアドバイスをもらって、まとめていただいて。

    ユニバーサルミュージック

    「Hands up!! If you're Awesome」の配信ジャケット

    行動が一番大事

    ――特に気に入っているフレーズは。

    《ココから コレから 普通を変えよう》《ココから コレから 時代をつくろう》というところですね。

    いまの「当たり前」を変えようと思ったことはある? 自分で時代をつくってる?と聞かれたら、やったことない方が多いと思うんですよ。

    たとえば、上の世代が「こんなことばかり言ってくる、決めつけてくる」という時でも、自分で表現しちゃえばいい。センスとか才能よりも、行動が一番大事。そんな思いを込めました。

    あとは、“Awesome”って言葉は絶対タイトルに入れたい、とか。“Hands up”“get back”みたいな破裂音が好きだから入れてほしい、とか。

    英語は全然できないんですけど、洋画や洋楽が好きなので、気に入った単語を保存してるんです。

    「もっとダサく」その心は

    ――ミュージックビデオも80〜90年代のMTV風で。ファレル・ウィリアムスのMVも手がけるファンタジスタ歌磨呂さんがディレクターを務めていますね

    歌磨呂さんには、背景の色とかカメラワークとか、超細かいところも全部言って。80年代、90年代の感じにこだわりたかったので、「この色だとオシャレすぎるから、もっとダサくしてください」とか。

    ぶっちゃけ、このダサさって若い子は知らないから、ダサいとは思わず新鮮なんですよ。逆に30〜40代の方は「うわ、懐かしい!」ってきっと思ってくださると思う。

    そのために、イマドキの要素をまったく入れずにダサさを追求しました。でもあのダサさを100%再現するのってすごく難しくて。それってオシャレだからなんでしょうね。オシャレなことって難しいんだなあって。

    YouTubeでこの動画を見る

    RYUCHELL CHANNEL / Via youtu.be

    RYUCHELL - Hands up!! If you’re Awesome(Music Video)

    妥協せず細部にこだわり

    ――歌詞やサウンド、MV、ジャケットに至るまで、細部へのこだわりに驚きました。

    超頑固って思われちゃったかもしれないですけど(笑)。それでもみなさん、ボクの頭のなかに思い描いてたものをちゃんとキャッチして、表現してくださいました。

    やっぱり自分の世界観を1%でも我慢しちゃう方が怖くて。それを世の中に「RYUCHELLってこういう感じだよね」って決めつけられちゃうのは、ものすごく嫌。

    だから、ちょっとしたことでも「この方がいい」と伝えて、こだわりましたね。

    ぺこりんが背中押してくれた

    ――アーティスト活動に関して、ぺこさんは何とおっしゃっているのですか。

    「頑張って」って言ってくれたりとか。曲やMVができた時は、一番先に見せるんです。そうしたら、やっぱり「カワイイ」って言ってくれるし。

    最初に歌をやりたいと伝えたのも、ぺこりんだったんですね。

    はたから見たら、結婚して、子どももできて、バラエティーでいままで以上に頑張ろうって思うのが普通なのかもしれない。その方が安心だし。

    それでも「歌をやる」と言って、この1年歌を優先してきて。保障もないし、普通は心配しちゃうと思うんですけど、ぺこりんはボクのやる気をわかってくれて。

    「心配」なんて一切言わず、顔にも出さない。ちゃんと背中を押して、応援してくれます。

    パワー届けたい

    ――今後の展望をお聞かせください。

    結婚して子どももできたので、守っていくためにもお仕事を頑張りたいですね。

    歌に関しては、自分のなかの軸を大事にしていきたい。90年代の音楽とかダンス、MVの雰囲気が好きなので、そこはブレずに。「次は70年代や2000年代も」とはならないと思います。

    音楽の仕事の魅力のひとつは、イベントとかでファンのみんなに会いに行く機会が増えること。それがすっごく楽しみで。

    いつもテレビの向こうから応援してくれる方々に、直接会ってパワーを届けられたら、と思ってます。

    BuzzFeed JapanNews


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