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「あまちゃん自粛は何も解決しない」 大友良英、ピエール瀧容疑者の対応でNHKに要望

「放送自粛は一歩間違えればメディアによるリンチ(私刑)に加担することになりかねない危惧も感じます」

ピエール瀧容疑者がコカインを使用したとして麻薬取締法違反の疑いで逮捕されたことを受け、出演番組の放送中止や電気グルーヴのCD回収など自粛ムードが広がっている。

時事通信

ピエール瀧容疑者

NHKは2013年に放送した連続テレビ小説ドラマ「あまちゃん」の総集編のうち、瀧容疑者が出演する後編のBSプレミアムでの再放送を見送ることを決めた。

一方、過剰な自主規制に対して、制作者の側が「待った」をかける動きも出始めた。

「あまちゃん」や大河ドラマ「いだてん」の音楽を手がける大友良英さんは、NHKに「犯した罪を裁くのは司法であるべきで番組の自粛では何も解決しません」と要望したという。BuzzFeedは大友さんに真意を聞いた。

時事通信

大友良英さん

震災復興描いた「あまちゃん」

「あまちゃん」は能年玲奈(のん)さんの主演で2013年に放送され、「じぇじぇじぇ」が流行語になるなど、社会現象となるほどの人気を博した。

主人公のアキは、岩手の北三陸や東京を舞台に奮闘。作中では東日本大震災や、復興へ向けて立ち上がる人々の姿も描かれた。

瀧容疑者は「無頼鮨」の大将役として、後半の東京編に登場していた。

今回の総集編の再放送は、「三陸鉄道リアス線」が3月23日に開業するのを記念したもので、3月17日の午後1時に前編、24日午後1時に後編を流す予定だった。

時事通信

「あまちゃん」に主演した能年玲奈(のん)さん

「三陸鉄道のお祝いには後編が必要」

しかし、NHKドラマの公式Twitterは3月14日、瀧容疑者の逮捕を受けて《3月17日(日)13時から、BSプレミアムで「あまちゃん」総集編・前編を放送します。なお、後編の放送予定はありませんのでご了承ください》とツイート。

瀧容疑者の出演しない前編は放送するものの、後編は放送を見送ることを明らかにした。NHKオンデマンドでも「あまちゃん」をはじめ、瀧容疑者が出演するドラマは軒並み配信停止となっている。

視聴者からは「三陸鉄道全線開通のお祝いには後編のラストが必要」「後編もぜひ放送してください」「テロップを入れれば解決する」など、後編の放送を望む声が殺到している。

【あまちゃん】 3月17日(日)13時から、BSプレミアムで「あまちゃん」総集編・前編を放送します。なお、後編の放送予定はありませんのでご了承ください。 ※予定変更にともない、EPG録画予約に影響が生じる可能性があります。ご注意ください。 https://t.co/PGURsugDkg

放送自粛は過剰な自主規制

自身の携わる作品が自粛の対象となったことに、大友さんも声をあげた。

《三陸鉄道リアス線開通にあわせて「あまちゃん」の総集編が再放送されるはずだった。そのこと本当に嬉しく思っていた。震災後のきつい時期にあまちゃんが東北にもたらしたものの大きさを考えると、個人の問題で消えていいのかと思ってしまう。これについてはなんとかできないものだろうか》

もうひとつ。三陸鉄道リアス線開通にあわせて「あまちゃん」の総集編が再放送されるはずだった。そのこと本当に嬉しく思っていた。震災後のきつい時期にあまちゃんが東北にもたらしたものの大きさを考えると、個人の問題で消えていいのかと思ってしまう。これについてはなんとかできないものだろうか。

《やはりどう考えても「あまちゃん」後編の放送自粛は良くない。再放送が三陸鉄道リアス線開通祝いのためにあること。犯した罪を裁くのは司法であるべきで番組の自粛では何も解決しないこと。そもそも一個人の問題であり番組が連帯責任を負うべきものではないことなどが理由。どうにかならないものか》

やはりどう考えても「あまちゃん」後編の放送自粛は良くない。再放送が三陸鉄道リアス線開通祝いのためにあること。犯した罪を裁くのは司法であるべきで番組の自粛では何も解決しないこと。そもそも一個人の問題であり番組が連帯責任を負うべきものではないことなどが理由。どうにかならないものか。

Twitterにこう投稿すると、それぞれ4千〜5千リツイートの大きな反響が寄せられた。

BuzzFeedの取材に対し、大友さんは「被害者のいない犯罪でもあり、放送自粛は過剰な自主規制。リアス線の復興のお祝いとして『あまちゃん』をちゃんと届けるべきではないでしょうか」と語る。

「罪を裁くのは司法であるべき」

「あまちゃん」後編の放送中止に危機感を抱いた大友さんは、NHKの問い合わせ窓口に「大友良英、本人です」と書いてメールで要望を送ったという。

《「あまちゃん」の音楽を担当した大友良英、本人です。

やはりどう考えても今回の「あまちゃん」後編の放送自粛は良くないのではないでしょうか。

今回の再放送が三陸鉄道リアス線開通祝いのためにあることが、意見を表明する何よりも大きな理由です。震災を含むこのドラマの後編が東北の人たちにもたらした意義の大きさを考えていただければ幸いです。

犯した罪を裁くのは司法であるべきで、番組の自粛では何も解決しません。

ピエール瀧氏の薬物使用はそれが事実であれば確かに犯罪ですか、明らかな被害者がいる犯罪ではなく、個人の治療を必要とする精神的な依存による問題にしては社会的制裁が重すぎますし、放送自粛は一歩間違えればメディアによるリンチ(私刑)に加担することになりかねない危惧も感じます。

「あまちゃん」が東北復興への最大の贈り物になることを考慮し、今回の件ではなにが重要なのか再考願えれば幸いです

時事通信

大友良英さん

「リンチはあってはならない」

「あまちゃん」以外にも、自粛や自主規制の動きは拡大している。

ソニー・ミュージックレーベルズは、電気グルーヴ関連商品の出荷・配信停止と店頭在庫の回収を決めた。

こうした対応には、坂本龍一さんが「なんのための自粛ですか?電グルの音楽が売られていて困る人がいますか?」とツイートするなど、ミュージシャンの間で疑問の声があがっている。

大友さんも「坂本さんの言う通り。作品を裁いてどうするのか」とうなずく。

「ドラッグがいいということではなく、罪は罪として分けて考えるべき。司法の判断を待たずに、私刑(リンチ)に加担するようなことは、民主社会ではあってはいけないことだと思います」

Contact Ryosuke Kamba at ryosuke.kamba@buzzfeed.com.

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