宇多田ヒカルが惚れ込んだ才能 小袋成彬とは何者なのか

    「この人の声を世に送り出す手助けをしなきゃいけない」

    宇多田ヒカルのプロデュースする新人アーティスト小袋成彬(おぶくろ・なりあき)がメジャーデビューし、4月25日にファーストアルバム「分離派の夏」を出す。1月17日には「Lonely
    One feat.宇多田ヒカル」を音楽ストリーミングサービスで先行配信した。

    宇多田「使命感を感じさせる」

    《この人の声を世に送り出す手助けをしなきゃいけない――そんな使命感を感じさせてくれるアーティストをずっと待っていました》

    《私と出会うまでレーベルオーナーとして主に裏方作業に徹していた小袋成彬の表現者としての真の目覚めに立ち会えたこと、そしてソロデビューアルバム「分離派の夏」の完成をこうして皆さんに伝えられる幸運に感謝しています》

    歌姫・宇多田にこうまでも言わしめる才能。小袋成彬とは、いったい何者なのか。

    水カンや柴咲コウをプロデュース

    小袋は1991年4月30日生まれの26歳。就職活動に失敗したことがきっかけとなり、ミュージシャンを目指した。

    R&Bユニット「N.O.R.K」での活動を経て、音楽レーベルの「Tokyo Recordings」を設立。水曜日のカンパネラや柴咲コウ、Capesonらの作品のプロデュースを手がけてきた。

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    水曜日のカンパネラ / Via youtu.be

    水曜日のカンパネラ「ナポレオン」

    最近では、映画「ナラタージュ」の主題歌を歌うadieuのアレンジなどにもかかわっている。「新人」とはいえ、音楽的な実績は十分だ。

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    Sony Music (Japan) / Via youtu.be

    adieu「ナラタージュ」(※作詞作曲:野田洋次郎/映画「ナラタージュ」主題歌/MVサイズ)

    裏方からシンガーへ

    デビューにあたって小袋が寄せたコメントには「私はごく一部の人にはよく知られている程度の編曲者であった」「作編曲という仕事に人生の大義を認められないでいた」と、やや自嘲気味に綴られている。

    現状に倦んでいた小袋を変えたのが、宇多田との出会いだった。

    2人が初めて顔を合わせたのは2016年。宇多田のアルバム「Fantôme」収録曲「ともだち with 小袋成彬」をロンドンでレコーディングした時だった。

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    Via youtu.be

    小袋成彬 ファーストアルバム「分離派の夏」ティザー映像

    その後、宇多田は小袋に日本語詞での楽曲制作を勧め、小袋も本格的に曲づくりに取り組み始めた。そうした経過のなかで、宇多田がアルバムのプロデュースを買って出たのだという。

    宇多田は過去にTHE BACK HORNのシングル「あなたが待ってる」を共同プロデュースしているが、新人のプロデュースは初めてのこと。

    プロデュースといっても作編曲は小袋自身で、ジャケットのデザインなども小袋が主導権を握る。宇多田はアルバム全体を俯瞰し、作品づくりをバックアップする立場だ。

    慟哭するような絶唱も

    1月16日に都内で開かれたコンベンションには、メディア関係者や音楽関係者ら200人超が詰めかけ、注目度の高さをうかがわせた。

    少し掠れた儚げなファルセットから、慟哭するような絶唱まで、歌い手としての真価をいかんなく発揮。あたかも泣きながら歌っているかのような、寂寥感に満ちた不思議なステージだった。

    30分のパフォーマンスを終え、懇親会に姿を現した小袋はこう語った。

    「僕はこうやって歌をつくる前は自分でレーベルをやっていて、CDを持って走り回っていた人間。皆さんの思いを胸に、これから仕事に精進していこう、と背筋が伸びる思いです。今後ともよろしくお願いします」


    「Lonely One feat. 宇多田ヒカル」は、定額制音楽配信サービスのSpotifyApple MusicLINE MUSICで聴くことができる。

    BuzzFeed JapanNews