43年間、野糞し続ける男 伊沢正名が「うんこ漢字ドリル」祝福

    流行語大賞にノミネート

    今年の「新語・流行語大賞」に、『うんこ漢字ドリル』など30語がノミネートされた。43年間、1万3千回以上も野糞を続けてきた「糞土師」の伊沢正名さん(67)は、ウンコ界の栄誉を「タブーの扉が開いた」と歓迎する。

    Ryosuke Kamba / BuzzFeed

    「新語・流行語大賞」の候補にもなった、うんこ漢字ドリル

    野糞は命の返し方

    伊沢さんは「食は権利、ウンコは責任、野糞は命の返し方」「ウンコに向き合うことは、自分自身の生きる責任に向き合うこと」という独自の「糞土思想」を広めるべく、1974年から野糞を続けている。

    自然のなかでの野糞は危険も伴う。時にはスズメバチに刺され、ヒルに血を吸われたことも。野生動物に襲われそうになったり、人間に見つかって恥ずかしい思いをしたこともある。ストイックに野糞道を突き詰めるあまり、離婚も経験した。

    それでも、「ウンコで革命を起こす」「ウンコのタブーを破る」という信念のもと、野糞活動を続けてきた。

    糞土研究会

    野糞の達人、伊沢正名さん

    かたくなにトイレを使わないのは、人間のウンコを菌類が分解し、土の栄養を吸った植物が酸素をつくりだすという、自然界の循環サイクルを重視しているからだ。

    これまでの連続記録は2000年6月1日〜2013年の7月15日までの13年あまり。11月9日現在の通算記録は1万3976回に達し、年内の1万4千回超えが確実視されている。

    ウンコが大っぴらに、うれしい

    そんなウンコの達人である伊沢さんは、276万部を超える大ベストセラーとなり、流行語大賞にまでノミネートされた『うんこ漢字ドリル』をどうみているのか。

    「私の主張している方向性とは違いますが、ウンコが社会的に大っぴらになってきたのはすごくうれしいですね」

    「ウンコについては長らくタブー視されてきましたが、ここ数年、災害時のトイレ問題なども含め、『出す』ことの大切さにようやく注目が集まってきました」

    「『うんこ漢字ドリル』によって、入り口の扉が開いて光が射してきた。そこからさらに『命を返す』という糞土思想にまで進んでいけばいいな、と思っています」

    糞土研究会

    お尻を拭くためのキノコや葉っぱを手にする伊沢さん

    野糞は楽しむもの

    ウンコ元年となった今年は、伊沢さんにとっても躍進の1年だった。「タモリ倶楽部」への出演を果たし、インタビュー記事も話題に。講演依頼も相次いで舞い込んだ。

    ところが忙しさが裏目に出て、夏以降、たびたび野糞記録が途絶える事態に陥ったという。

    「8日連続で講演会が決まって出張することになり、腐らせたらいけないからと、あわてて冷蔵庫の牛乳とスイカを平らげたんです。そうしたらお腹の調子を崩してしまって」

    「そんなこんなで、8・9月だけで3回もトイレを使ってしまいました。最悪ですよ。あっはっは」

    多忙ゆえのスランプ。しかし、本人はどこ吹く風だ。

    「記録はいつか途切れるもの。野糞は歯を食いしばって頑張るものじゃない。楽しみながら続けていけたらいいですね」

    糞土研究会

    野糞の求道者、伊沢正名さん

    (いざわ・まさな) 1950年、茨城県生まれ。キノコ写真家としての顔も持つ。74年から野糞生活をスタートし、90年には紙を使わず葉っぱと水で処理する手法を確立。著書に『「糞土思想」が地球を救う 葉っぱのぐそをはじめよう』『くう・ねる・のぐそ』(いずれも山と渓谷社)、『うんこはごちそう』(農山漁村文化協会)など。

    BuzzFeed JapanNews