「なんで?」「謎すぎる」――。マッシヴ・アタックの来日公演にエスパー伊東が出演することが発表され、音楽ファンに衝撃が走った。異色コラボの狙いは? そもそも本当に日本に来るの? 仕掛け人を直撃した。
「ESPの熱が会場をカオスへ」
マッシヴ・アタックは、グラント・マーシャル (ダディ・G)とロバート・デル・ナジャ (3D)による英国の音楽ユニット。ヒップホップやダブ、ロックなどが融合した独自の音楽性、ダークで神秘的な楽曲は根強い人気を誇る。
そんな世界的ミュージシャンのライブに、「ボストンバッグ入り」「熱々おでんニコニコ食い」などの体を張ったネタで知られる異能の芸人、エスパー伊東が参戦するというのだ。
「ESPの熱が会場をカオスへ導きます」「Massiveattack公演に、僕達のヒーロー エスパー伊東が参上!」。9月5日にこんな告知がなされると、ネット上には動揺と困惑の声が噴出。話題性もあいまって、11月27日に東京・豊洲PITで予定されているライブのチケットは完売した。
ケミカルの来日公演にもエスパー
ぶっ飛んだ企画の意図は何なのか。来日公演を主催するFivemanarmyの代表、矢野貴志さんに疑問をぶつけた。
――なぜエスパー伊東さんにオファーされたのですか? マッシヴ・アタックとエスパーさんに面識はあるのでしょうか。
お互いよくわかっていないと思います。マッシヴにはスピリチュアルな志向もあり、「エスパー」という言葉の掛け合わせが面白いのではないかと。まあ、世の中に対するジョークですね。
昨年10月にケミカル・ブラザーズの横浜アリーナ公演を主催した際にも(この時は矢野さんが参画するRockwell Sirkusが主催)、エスパーさんに出演していただいて盛り上がったんです。
「このぐらいのジョークは許容範囲」
――マッシヴのコアなファンには「イメージが崩れる」という声もあるようです。
これぐらいのジョークは、ファンの皆さんにも許容範囲だと思っています。センセーショナルなことをやれば批判も起きますが、それもプロモーション。みんなで大騒ぎしてもらえれば。
――9千円〜2万5千円という高額なチケット代は、エスパーさんが出演されるからでは?と珍説を唱える人もいます。
エスパーさんへのギャラは明かせませんが、それはないです(笑)。本来であれば武道館レベルのものを3千人のキャパシティー(豊洲PIT)でやるので、そういう価格設定にしないと合わなかったんです。
――実際のところ、エスパーさんは何をされるのでしょう。ひょっとして同じステージで歌ったりとか…。
いえ、(サポートアクトの)ヤング・ファーザーズからマッシヴへの転換の時間に、コンコースで余興をやっていただく予定です。
中止・延期の過去に不安の声も
――矢野さんが過去に関わったイベントのうち、2013年に予定されていた「TOKYO ROCKS」はマイ・ブラッディ・ヴァレンタインやブラー、プライマル・スクリームら、海外の大物アーティストの出演が告知されながら中止になりました。
TOKYO ROCKSにはクリエイティブとキャスティングの担当として関わりましたが、主催はディスクガレージ。僕らは主催ではありません。中止すべきではないと言ったのですが、近隣への騒音問題がクリアできませんでした。
(※当時の公演関係者は取材に対し、「主催はTOKYO ROCKS事務局で、ディスクガレージは事務局を構成する4社のうち1社としてかかわったが、招聘の中心人物は矢野氏だった」と回答)
――つい最近も、ブラックグレープらが出演予定だった「真夏の夕刻のラバーズロック UTYO」が延期になりました。こうしたことから、マッシヴが本当に来日するのか心配しているファンもいます。
UTYOに関しては、主催はフジテレビですね。僕はキャスティングに関わっていただけで。台風の影響で機材を乗せた飛行機が飛ばず、延期することになりました。
(※フジテレビ広報は「主催ではありません」と否定)
強調しておきたいのは、これまで僕たちが主催した公演では、延期・中止は1本もないということ。大手のプロモーターでも、一定の比率で洋楽公演のキャンセルは出ています。
まあ、いくら言ってみても、やっぱり積み重ねていくことでしか信頼は回復できないんでしょうね。
で、本当に来るの?
――マッシヴは本当に来るのですか。
マッシヴとは昔から付き合いがあり、Fivemanarmyという社名は彼らの楽曲から取っています。公式フェイスブックでも、来日公演について2回も投稿してくれている。それぐらい僕たちは深い仲なんです。
ワールドツアーのファイナルということで、彼らもかなり力を入れている。ほかの国では70分ですが、来日公演は120分のフルセット。ものすごく気合の入ったショーになると思います。