「クラブがない街は寂しい」 水曜日のカンパネラ、コムアイが風営法規制に懸念

    「本気で音楽が好きな人が多くて、音楽の純度が高い。そういう小箱がなくなってしまうのは寂しいです」

    改正風営法下で「小箱」と呼ばれる小型クラブやミュージックバーへの取り締まりが強化されていることについて、音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」のコムアイが5月15日、「私の好きな小箱がなくなってしまうのは寂しい」と発言した。

    許可エリアは限定的

    6月27日に発売する新作EP「ガラパゴス」に関する公開取材会で、記者の質問に答えた。

    風営法をめぐっては、今年1月末に東京・渋谷の老舗クラブ「青山蜂」が摘発され、経営者ら3人が逮捕されている。

    2016年に施行された改正風営法では、深夜に客を踊らせ、酒を提供する店は「特定遊興飲食店営業」の許可を取得することが義務付けられた。無許可営業には、2年以下の懲役か200万円以下の罰金、もしくはその両方が科される。

    改正前は深夜のダンス営業が全面的に禁止されていたので、以前に比べて規制緩和されたことは確かだ。

    反面、営業エリアは繁華街などごく一部に制限されており、青山蜂をはじめ許可を取りたくても取れない店も多い。

    「駅から遠い店が好きだけど…」

    コムアイは取材会で、相次ぐ取り締まりについてこう語った。

    「私は駅から離れたところにある小箱が好きなんですけど、そういうところは許可エリアに入ってないんですよね」

    「駅から遠い、どこからも行きづらい店だと、ナンパ目的の人とかテキトーなヤツがいない。本気で音楽が好きな人が多くて、音楽の純度が増す気がします。そういう小箱がなくなってしまうのは寂しいです」

    青山蜂の摘発直後にも、Twitterでこんなメッセージを発信していた。

    青山蜂はいいクラブなので、なくならない気がします。自分がパフォーマンスをする場所ではないけれど、いっぱい栄養をもらって、音楽の清さに胸打たれる瞬間がたくさんあって感謝しています。10ルクスない暗闇に人が揺れて、音楽を粘土のようにして遊ぶ、欲望に弱く生命力の強い人たちを愛しています。

    青山蜂はいいクラブなので、なくならない気がします。自分がパフォーマンスをする場所ではないけれど、いっぱい栄養をもらって、音楽の清さに胸打たれる瞬間がたくさんあって感謝しています。10ルクスない暗闇に人が揺れて、音楽を粘土のようにして遊ぶ、欲望に弱く生命力の強い人たちを愛しています。

    楽屋と舞台の境目がない場所で、大人たちが本気で遊びや音楽を練っていて、いくつかのクラブで面白いものいっぱい見せてもらって。自分のように表に出る顔を持つ人がどれだけ助けられているか。旅行してる変な外国人もいっぱい。例えばベルクハインがなければベルリンに行く人はどれだけ減るだろう?

    今回は誰かを責めたいんじゃなくて、好きなクラブがないから、小さなクラブはなくなっていいと思う人たちに向けて、それはどんな大きな木の根を切るようなことだか、誰にもわからない、ということをふまえてほしい。きれいなところから面白い文化はうまれない!

    かつて働いていた店にも立ち入り

    その後も、3月に原宿の名物バー「bonobo」、4月には渋谷や六本木などの少なくとも10店舗に警察が立ち入るなど、取り締まりの動きが活発化している。

    実はbonoboは、学生時代にコムアイがアルバイトをしていた店。「私が働いていたbonoboも取り締まりにあったみたいで心配です」と話した。

    EPのタイトル同様「ガラパゴス」な規制の状況に対して、「海外の人に言うと、『踊っちゃいけないヤツでしょ』ってからかわれる。もはやネタになってます」と疑問を投げかけた。

    一方で、「私も住んでいるところの近くで音がうるさかったら嫌だと思うので、矛盾はありますね」と悩ましい思いも覗かせた。

    「もったいない」

    イベント終了後、「伝えそびれたことがある」と言って、BuzzFeedの取材にこう付け加えた。

    「小箱は外国の方も多いし、夜遊びは観光のすごく重要な要素。私も上海で前から行きたかったクラブに行けてうれしかった」

    「海外旅行中ってエネルギーが有り余っているけど、昼間はだいたい忙しいじゃないですか。ようやく夜遊べるっていう時に、クラブがない街はすごい寂しい」

    「面白い内装の店とか、地元っぽいところとか好きですけどね。(なくしてしまうのは)もったいないなって思います」

    BuzzFeed JapanNews