「遺書はどこかにいっちゃった」日本一年齢不詳な男が明かした死生観

    「僕はもう、終活してるようなもの」。L’Arc~en~CielやVAMPSのボーカリストであり、ソロでも活躍するHYDEが年輪を重ねてたどり着いた境地。ライブ映像作品『HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL』の発売を前に、彼独自の死生観を聞いた。

    Photo by 黒羽政士

    HYDE

    この男、まさか不老不死のヴァンパイアなのでは?

    そう疑ってみたくもなるぐらい、ライブ映像作品『HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL』(7月29日発売)のHYDEは、20代のころ以上にエネルギッシュで妖艶な魅力を放っている。

    そんな“日本一年齢不詳な男”の口から「死っていうものが少しずつ近づいてきてるのがわかる」「僕はもう、終活してるようなもの」なんて意外な言葉が飛び出した。

    年輪を重ね、HYDEのなかで深まりつつある思いとは――。独自の死生観を聞いた。

    現代のサンジェルマン伯爵?

    Photo by 黒羽政士

    ――HYDEさんって実は、現代のサンジェルマン伯爵なんじゃないかと勝手に思っていて。不老不死伝説のある、18世紀ヨーロッパの謎の人物なんですけど。

    そんな事ないよ! 多分、俺あと100年ぐらいしか生きないから。

    ――さすが吸血鬼=VAMPS(笑) 今日はHYDEさんの死生観を掘り下げてお伺いしたいんです。

    やっぱり年とると周りの人が死んでいくから、「死」っていうものが少しずつ近づいてきてるのがわかるよね。

    これまで想像だったものが、どんどんリアルに変わってきてる感じはあります。

    人生を逆算

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    HYDE Official / Via youtu.be

    HYDE - ANOTHER MOMENT Lyric Video

    ――『HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL』の収録曲『ANOTHER MOMENT』には、《If I said we'd live forever》(和訳:僕らは永遠に生きると僕が言ったら)という歌詞もありますが。

    「永遠に生きる」となったら、今の時間の価値がどんどん変わっていくもんね。僕はこの1年でどこまでいけるか、もう人生逆算して生きてますから。

    「今年はこれをやっておかないといけないな」という思いがあるから、そこにドラマが生まれる。「今やらなくても来年やればいいや」だと、そうはいかない。

    人が死ぬから「あの時、こうしておけばよかった」「この人の遺志を継ごう」「あの人よりもっとすげえことやってやろう」と思える。

    みんなが永遠に生きてたら、ドラマも生まれないですよね。

    「終活してるようなもの」

    Photo by 黒羽政士

    ――いい意味での「焦り」が常にある?

    もうヤバいですよ(笑) そういう意味で、今年は一番大きかった。

    (新型コロナウイルスの影響で)やるべきことが何もできなくなっちゃった。音源はつくれるけど、ライブはできない。今の僕にとって「1年」ってすごくデカいから。

    自分ではいつまでも若いつもりでいるかもしれないけど、同世代が亡くなっていくのを見てると、「この順番はいつか回ってくるんだな」っていうのは、かなりリアルになってきますね。

    昨日も、知り合いのギタリストが亡くなったって話を聞いて。

    まだ若い人だったし、落ちるよね…。「ギター弾いてもらいたかったな」「もっと何かしておけば」とか、後悔がどんどん出てくる。

    死ぬ前に何をやるべきか。僕はもう、終活してるようなものだから。

    観光大使を引き受けたワケ

    ユニバーサルミュージック / Via amazon.co.jp

    『HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL』 アルバム『ANTI』を掲げた全国ツアーの最終日となる、幕張メッセ公演(2019 年 12 月 8 日)を収めたライブDVD / Blu-ray。初回限定盤には、ワールドツアーの裏側を収めた50分超のドキュメンタリー映像を収録。

    ――いやいやいや。HYDEさんの口から「終活」って言われちゃうと…。

    本当(笑) 去年も和歌山で誕生日のライブをやったんだけど、それもやっぱり「和歌山で最後に親孝行しておきたいな」とかね。

    「和歌山市ふるさと観光大使」だって、これまでなら多分ならなかったと思う。

    でも、親戚は嬉しいかもなと。おじいちゃん、おばあちゃんとか、恩師の先生とかもいまだに仲良かったりするから。

    ほかにも、中学時代に自転車事故で大怪我をした時の「命の恩人」を友達が探してくれて。その人はもう亡くなってたんだけど、ご家族に会えて、お墓参りもできたりして。

    着々とやるべきことをやってるなっていう。ちょっと、終活してる感じです。

    悔いは残したくない

    ユニバーサルミュージック

    ――まだそんなこと言わないでくださいよ。

    でも、悔いは残したくないからね。

    ――そういえば2012年に出された自伝『THE HYDE』でも、すでに遺書を書いてあると綴っていましたね。

    あの本、あんまり気に入ってないから書き直したいな。

    今、その遺書がどこにあるかわからなくなっちゃったんですよ。どっかいっちゃった。多分、PCのどこかにあるんじゃないかな。

    優先順位を明確に

    Photo by 黒羽政士

    ――よかった。切迫した感じじゃなくて、ちょっと安心しました(笑)

    いやいや、全然そんなんじゃなくて、遺書は自分を見つめるのにすごくいいと思いますよ。何が一番大事なのか、よくわかるから。

    そういうものを書かないと、何が大事で何が悪いか、優先順位が曖昧になっちゃう。

    若いうちに書いておいてもいいと思います。自分にとって大切なものがわかるし、「僕ってこう考えてたんだな」っていうのが整理できるからね。

    Photo by 黒羽政士

    HYDE

    〈HYDE〉 L’Arc~en~Ciel/VAMPSのボーカリストであり、ソロアーティスト

    1994年のメジャーデビュー以降、数々のヒット曲を発表。ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンや国立競技場で大規模なライブを成功させるなど、ワールドワイドに活躍している。

    2001年からソロ活動をスタート。2019年、ソロ名義としては13年ぶりとなるオリジナル・アルバム『ANTI』を発売。同作を掲げた全国ツアーを敢行した。

    2020年7月29日(水)に、ツアー最終日の幕張メッセ公演(2019 年 12 月 8 日)を収めたライブDVD / Blu-ray『HYDE LIVE 2019 ANTI FINAL』をリリースする。