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【検証】「安倍首相が国連の選挙監視団を拒否した」は本当か

BuzzFeedの検証で、ブログの記載は偽情報であることがわかった

「安倍首相が国連の選挙監視団を拒否した」という情報が広まっている。

拡散のもととなっているのは、あるブログで公開されている「開票参観人になる方法です!安倍が国連の選挙監視団を断ったからねっ!!」という記事だ。

計測ツール「BuzzSumo」で調べたところ、この記事は10月21日午前6時までにフェイスブックで4700回、ツイッターで2200回以上シェアされていた。

BuzzFeed Newsは衆院選をめぐる検証企画の一環で、真偽を確認した。

結論から言うと、これは偽情報だ。

拡散しているブログの内容は

ブログの記事では、冒頭から次のように書かれている。

「残念なお知らせ。また!安倍は国連の選挙監視団を拒否したそうです。これで3回目ですね、選挙監視団を断ったの」

それだけではなく、不正選挙の可能性まで示唆している。

むしろ日本は派遣する立場

そもそも「選挙監視団」とは何か。

国連は紛争地域などで公正な選挙が実施できるよう、関係国政府の要請を受けて選挙監視要員を派遣している。

国連広報センターのサイトによると、これまでにナミビア(1989年)、カンボジア(1993年)、アフガニスタン(2004年、2005年、2010年)、イラク(2005年、2010年)、スーダン(2010年、2011年)など、100カ国以上で選挙を支援したという。

では、日本に国連の「選挙監視団」が派遣されることはあり得るのだろうか。

BuzzFeed Newsの取材に対し、国連広報センターは明確に否定した。

「治安が悪く、秩序がない国などで民主的な選挙のプロセスを支援しています。日本のように、法の支配と秩序が確立された先進国に監視団を出すことは、国連の立ち位置としてあり得ない話です」

むしろ日本は、紛争地域での選挙監視に協力する立場だ。

内閣府の国際平和協力本部事務局のサイトによれば、ボスニア・ヘルツェゴビナ(1998年、2000年)や東ティモール(2001年、2002年、2007年)、スーダン(2011年)などで協力実績がある。

内閣府の担当者にも聞いた。答えは明快だ。

「こちらから海外へ派遣することはあっても、日本に派遣されるという話は把握していません」

不正選挙は「事実無根」

ブログ記事には

「20万票の無効票を、ムサシでつくりだして総理になったのは安倍晋三です」

「プラスティック用紙にエンピツで書かせる。それを原発再稼働目的なムサシで消して無効にして、総理になったのが安倍晋三」

などの記載もある。不正選挙への懸念を示したうえで、国連への選挙監視要請を呼びかけている。

「ムサシ」というのは、投票用紙の自動分類装置や投票箱、投票用紙などを製造・販売する株式会社ムサシ(本社・東京)のことだ。

ムサシの広報にも問い合わせた。

投票用紙の改ざんなど選挙に関する不正は「一切ありません。事実無根です」と完全否定した。

「選挙関連の機器を製造し、開票作業を効率化するお手伝いはしていますが、実際に機械を使うのは自治体の担当者の方々。我々が投票用紙に触れるようなことはあり得ません」

開票所には報道機関の記者や、選挙に候補者を出している陣営の関係者、見学者らが集まっている。

筆者(神庭)は開票所で取材をしたことや、学生時代には開票のアルバイトをしたこともあるが、関係者は正確に素早く票を数えるために全力を尽くしている。ブログにあるような大規模な不正は考えにくい。

投票日は10月22日。安心して投票できる。


BuzzFeed Newsは政治家の発言やメディアの報道、ネット情報などを検証する「ファクトチェック」を実施します。メディアや有識者による連合組織「ファクトチェック・イニシアティブ・ジャパン(FIJ)」とも協力しています。

情報提供はこちら(japan-report@buzzfeed.com)。

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