ビットコイン2千兆円男、Zaif流出騒動に「やっぱり」と呆れ顔

    「たとえ話ですが、しょっちゅう強盗が入る銀行には、資産を預けられないですよね」

    仮想通貨取引所「Zaif」を運営するテックビューロは9月20日、ハッキングにより日本円にして約67億円相当の仮想通貨が不正流出したと発表した。

    2月にZaifで起きたシステムトラブルの際、当時の時価で2千兆円を超えるビットコインを入手したと名乗り出て注目を集めた麺屋銀次(メンメン)さんは、相次ぐ不祥事に「ああ、やっぱり。またやったな、という感じです」と呆れる。

    67億円分の仮想通貨が流出

    テックビューロのプレスリリースによると、外部から不正アクセスがあったのは9月14日。入出金用のホットウォレットの一部から、ビットコイン、モナコイン、ビットコインキャッシュが流出した。

    失われた67億円相当の仮想通貨のうち、同社の資産が22億円分、顧客からの預かり資産が45億円分を占めるという。

    9月18日時点でZaifのTwitterは「お客様の資産の安全を確認いたしましたことをご報告いたします。復旧については1~2営業日中に完了する予定です」としていたが、20日15時現在も復旧には至っていない。

    20日付のプレスリリースには「一刻も早い復旧のため尽力致しております」と記載されており、テックビューロ広報はBuzzFeedの取材に「こちらが最新の情報です」と回答した。

    【仮想通貨入出金障害の続報】 現在BTC,MONA,BCHの入出金を一時停止しております。引き続き障害対応中ですが、お客様の資産の安全を確認いたしましたことをご報告いたします。復旧については1~2営業日中に完了する予定です。ご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。

    21億BTCをタダで入手

    さかのぼること7ヶ月前、2月にもZaifはトラブルを起こしていた。「簡単売買」の価格計算システムに不具合が起こり、7人の利用者が0円で仮想通貨を購入したのだ。

    この時、21億BTCをタダで手に入れ、一躍脚光を浴びたのが投資家のメンメンさんだ。購入後の時価総額は2246兆3805億円。今年度の日本の一般会計の歳出総額が97兆円あまりだから、実に国家予算20年分以上にあたる。

    しかしその後、取引は取り消され、「なかったこと」に。メンメンさんは一連の経緯をYouTubeで報告した。

    「俺の仮想通貨時価総額2246兆になった」と題した動画は、これまでに69万回以上再生され、「秒速で兆稼ぐ男」「売ったら日本国家の借金が消滅します。救世主です」などと話題になった。

    YouTubeでこの動画を見る

    麺屋銀次 / Via youtu.be

    「俺の仮想通貨時価総額2246兆円になった」

    Zaif側からは音沙汰なし

    騒動の後、メンメンさんはZaifから資金を引き上げ、仮想通貨の取引もやめた。

    当時BuzzFeedや週刊文春など複数のメディアがメンメンさんの一件を報じ、メンメンさん自身も動画フィスコでZaif側に「連絡をほしい」と呼びかけてきた。しかし、いまに至るもまったく音沙汰がないという。

    メンメンさんは「メールもなければ電話もない。黙ってやり過ごそうとしているのでは」と不信感をあらわにする。

    2月の「2千兆円」騒動について、テックビューロ広報は「こちらの窓口では情報を持ち合わせておりません」と答えるのみだ。

    「またやったよ…」

    今回の流出を、メンメンさんはどう受け止めたのか。

    「またやったよ、という思いで驚きはありません。むしろビックリしたのは、Zaif側が『1〜2日で復旧する』と言っていたこと。ハッキングされて1日や2日で、セキュリティー体制を整え、復旧することができるのでしょうか」

    「仮想通貨は悪くないが、こういうことがあると仮想通貨自体の評判が下がってしまう。たとえ話ですが、しょっちゅう強盗が入る銀行には、資産を預けられないですよね」

    テックビューロはフィスコのグループ企業から金融支援を受け、資本提携すると発表。

    日経新聞は「顧客資産の確保やフィスコグループによる経営権の獲得の後に、テックビューロの現在の経営陣は退任するとしている」と報じた

    メンメンさんは「どこの傘下に入ろうと、根本のスタンス、運営の仕方を変えない限りは同じことだと思います」と釘を刺した。