「わたしたちは乱暴しません」シリア難民が訴え

    大みそかにケルンで女性たちが1千人規模ともされる暴徒に乱暴された。難民たちがFacebookでとった行動が共感を呼んでいる。

    大みそかにドイツで発生した前代未聞の規模の性的暴行事件。難民が関わったとの情報に対し、ドイツに住むシリア難民が暴力を非難する声を上げた。

    内戦の続くシリアからの長い旅をへて、Sakher Al-Mohamadさん(27)は昨年8月、ケルンにたどり着いた。シリアでは記者だったが、今は教師をしている。ドイツ国内を転々とした後、ケルンで「受け入れられた」と感じ、ここに住むことに決めた。

    しかし、大みそかに女性たちへの大規模な性的暴行事件が起き、警察が容疑者に難民が含まれると発表すると、反移民感情がドイツ国中に広がった。

    Sakherさんと友人たちが恐れたのは、最悪の事態だった。

    「私たちはドイツで新たな『戦争』を見たくない。この街の人たちは、私のような難民を受け入れてくれました。こんなことがここで起きて、本当に悲しいです」

    Sakherさんは、BuzzFeed Newsにこう話した。

    「私たちの今の気持ち、ドイツの人々に伝えたいんです 。悲しいし、犯行は恥ずかしい。彼らのことを知っていたら、警察に通報していました。女性のためだけではなく、私たちみんなのためです」

    「性差別に反対するシリア人」というメッセージ

    Sakherさんは、性犯罪への抗議メッセージを掲げた写真をシェアするようFacebookで呼びかけた。

    すぐに賛同の輪が広がり、写真とメッセージが集まり始めた。#性差別に反対するシリア人‎ というドイツ語とアラビア語のハッシュタグを使った。難民に対して、一方的な見方をしないで欲しい、と願っている。

    「私たちの本当の姿を知って欲しいんです。『君がやったんじゃない。謝る必要はない』という人もいました。でも、私なりに発言し、行動を起こしたいんです」

    17日午後、Sakherさんと仲間達は、ケルン大聖堂の外に集まった。

    Sakher さんは、Facebaookにこう書き込んだ。

    「ケルンやハンブルクなどドイツ各地で、大みそかに性的暴行や窃盗が起きたことを、シリア人、特にドイツに住むシリア人は、申し訳なく思っています」

    「ドイツ当局が容疑者を厳しく処罰し、この国から締め出すことを望みます。この犯罪は、私たちの考え方や文化を表しているわけではないと断言します」

    「私たちシリア人は、平穏な暮らしを求めてドイツに来ました。飢えや強制退去、爆撃によって殺されるような戦火から、子どもたちと家族を守るためです」

    「大みそかにドイツの女性たちに起きたことで、私たちは深く苦悩しています」

    Sakherさんは、いま、こうした集会が必要だと感じている。

    「シリアでは、女性への暴行は社会が認めません。女性が被害に遭っているのを見たら、警察に通報します。女性にこんなことをすることは、許されない」

    Sakherさんは、大みそかに犯行に及んだ容疑者たちは、ドイツの大多数のシリア難民と違うという。むしろ、ケルンの仮設住宅に住む難民たちの悩みの種だ、と。

    「毎晩問題を起こし、仮設住宅からものを盗みます。いつも誰かが部屋にいないと、空き巣が入る。女性や少女たちには、嫌がらせをします」

    「『なんで、こんなことをするんだ』と聞くこともあります。住む場所や食べ物を与えてくれたドイツで、安定した暮らしを与えてくれた国で、何で問題を起こすんだって」

    シリア人女性たちも、抗議活動に加わっている。

    シリア革命に「積極的に参加」し、いまはドイツでピアノ教師をしている女性が打ち明ける。

    「『私たちは犯罪者ではない』と、わかってもらう努力をしなければならないのは辛い。難民に対する人種差別や暴力を聞くたびに思います。『どこへ逃げればいいんだろう?』」

    「『難民は犯罪者』と一般化するのは、偏っています。受け入れてくれたドイツに感謝していないシリア難民に会ったことはありません。でも、自分がやっていないことについては、謝りたくない。彼らの行為は、わたしたちの責任ではないのだから」