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ヨーロッパの難民危機は、いまどうなっているの?

今移動している難民の6割は女性と子供。

現在、欧州へ向かっている難民の6割は、女性と子供

ヨーロッパの国々へ、海を渡ってたどり着こうとする難民たちの数は、相変わらず膨大だ。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、2016年にこれまで地中海を渡った難民の数は、2015年前半全体の数字に、すでに近づきつつある。UNHCRは、ヨーロッパが「自ら招いた人道的危機」に瀕している、と記述している。

難民の大半は引き続きシリア人。次に大きな割合を占めるのはアフガニスタン人とイラク人だ。戦争で疲弊した祖国から逃げてきた難民の多くは、ヨーロッパにたどり着こうとして、命を危険にさらしている。国際移住機関(IOM)によれば、2016年に入ってから、これまで10万人以上の移民と難民が、トルコからギリシャへとエーゲ海を渡っている。先週末には、13人の子供を含む25人の難民が途中で溺死した。ゴムボートで旅する難民は、こうした悲劇に見舞われている。

ギリシャ沿岸に到着した後、難民たちは、封鎖された国境や過酷な気象条件、拘束に直面する。先月末、ギリシャの難民たちの欧州への入り口となっているマケドニアは、国境の取り締まりを強化した。マケドニアは、ギリシャからの通過人数を1日あたり数百人にだけ許可し、何万人もの人々を混雑した状態で生活させ、有刺鉄線を張った柵の後ろに取り残したままにした。現在、当局は現在3万6千人以上の難民と移民がギリシャにいて、毎日およそ2千人の難民がトルコから到着している、と推定する。

新生活を始めるため、難民が西ヨーロッパにまでたどり着いたとしても、多くの難民に対する人々の感情は、歓迎とはほど遠い。ドイツでは難民への暴行が、そしてスウェーデンでは暴徒による襲撃が報道され、反難民感情をあおる批判的な偽のニュース記事も出た。一方、フランス北部のカレーでは、難民シェルターが取り壊されつつある

2016年の特筆すべき新事実は、難民・移民危機がヨーロッパで勃発して以来初めて、大陸を渡る女性と子供の数が男性を上回ったことだ。昨年は、まず男性が、ある国にたどり着きお金を稼いで家を見つけ、家族の新しい生活をスタートさせる、という流れがあった。今は、女性と子供が彼らの後を追い、海を渡っている。欧州評議会の人権委員は、現在移動している難民の60%が女性と子供だと言う。

ではどうしてこうなったのか? そしてヨーロッパの難民問題解決を支援するために、EUのリーダーたちは何をしているのだろうか?

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難民たちは、ギリシャに足止めされてしまっている

ギリシャは2つの危機に取り組んでいる。国内の経済危機と難民危機。第二次世界大戦以来、最悪の危機だ。

大多数の難民にとって、ギリシャはヨーロッパに入るための最初の地点、つまり通過国として利用された。しかしここ数週間で、ギリシャは滞在国へと移行している。

およそ1万2千人の難民が、ギリシャ北部・イドメニにあるいくつかの仮設収容所で暮らしている。これらは、西ヨーロッパへ向かう厳しい国境を越えようとする人々のための施設だ。国境で警察と難民の間の緊張が高まったことで、先ごろ衝突が起きた。警察は、難民を追い散らすため催涙ガスと警棒を使った。

一方、難民支援団体は、同地域の難民キャンプが衛生面での不備と、悪化する天候によって、女性と子供について健康状態が悪化していると指摘した。女性と子供は、国境を越えようとする人々の、少なくとも55%を占める。

難民は、ギリシャとマケドニアの国境を越えて前に進むことができず、海を越えてトルコに引き返すことをためらう。安全ではない海域を、木のボートやゴムボートで渡るのは命を危険にさらすからだ。ギリシャの難民は、ギリシャで身動きできなくなっているのだ。

欧州のリーダーたちはギリシャの難民をトルコに送り返そうとしている

7日、トルコとEUのリーダーたちは緊急サミットを行うため、ブリュッセルに集まった。目的は、難民の到着を遅らせ、そしてその後は難民の欧州流入を停止させて、深刻化する危機を解決するための、手段を話し合うためだ。

12時間の話し合いの後、何千もの難民をトルコに戻すための、より具体的な計画が決定された。1人のシリア人がギリシャからトルコに戻る度に、1人のシリア人難民をヨーロッパに定住させるというものだ。取り決めはシリア人にのみ適用され、戦いに巻き込まれたイラク人やアフガニスタン人、他の国々の人には適用されない。

決定は最終的なものではないが、政府関係者からの疑問視する声が上がり、批判を受けた。EUのリーダーたちは、この後、2日間のサミットを再開する予定で、そこで取り決めを決着させたいと考えている。

会合に先立ち、難民の流入をせき止める2つの「解決策」が、欧州理事会議長のドナルド・トゥスクにより提案された。バルカン半島ルート (マケドニア、セルビア、クロアチア、スロベニアを通り、昨年は何十万人もの難民がとったルート)の閉鎖と、トルコに難民を「引き取る」よう依頼することだ。

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難民たちのトルコ帰還の方針は、人権団体から批判されてきた

すでにEUが言及しているように、難民をトルコに送り返すには、実行上の課題と法律上の課題がある。

難民が「国際的保護を必要としている」かどうかを見極めるために、当局がすべての難民の登録をできるのかどうか、疑問視する人もいる。というのは、当局は今まさにヨーロッパを通過した難民の登録をするのに苦慮している最中からだ。その後、ギリシャの難民たちをトルコに送り返すつもりだとしても、ギリシャ沿岸に毎日2千人以上到着する莫大な数の難民を、どれだけの速さで帰還させられるのだろうか?

EUの難民をギリシャからトルコへと還すという考えは、人権団体から批判を受けてきた。危険から逃れる人々を拒絶することは違法だと言うのだ。EUはまた、取り決めを実現するためにトルコでの人権侵害を見て見ぬふりをした

トルコは、EUへの協力が、自国のEU加盟についての話し合いの際に有利に働くことを願っている。何百万人ものシリア人難民が滞在するトルコに、このような提案への用意があるかどうかは、まだ明らかではない。トルコには、シリア人保護促進のために要求した30億ユーロ (約3000億円)が与えられている。

EUがバルカン半島を閉鎖したら、それは難民の到着を遅らせる効果がある?

ここ数ヶ月間、EUのリーダーたちが提案した大抵の「解決策」と同様に、実行が難しく、人道的問題への対処に失敗している。

何カ月もの間、EUのリーダーたちは、難民の到着数を減速させる強硬な取り組みに力点を置いた。すなわち、国境の封鎖、侵入地点を巡回する警察の追加、収容施設の撤去、身柄の拘束、本国送還。それらの大部分は一時しのぎの解決策だった。

西ヨーロッパから離れたところに難民を押しやることで、難民の流入をせき止めようという試みは、実現困難な課題だ。2016年には、2月末現在で13万1724人の難民と移民がヨーロッパに到着している。現在、この数字は2015年前半6ヶ月間の全到着数に近い。(14万7209人)。

このことを念頭に置くと、バルカン半島の閉鎖が現実を変えることはなさそうだ。ハンガリーが国境を封鎖した時、難民はそれに代わり、クロアチアを通る新しいルートを開拓した。行く手にどんな壁ができても、それを越える新しい道を難民が見つけるだろうと考えるのは非現実的ではない。故国の争いと貧困から逃げたい、という彼らの衝動は、国境が封鎖されるかもしれない不安よりも、ずっと強いのだ。

もっと有効な、長期的な計画はある?

先週(UNHCR)は長期的解決策の概略を述べた。そこでは、2015年にヨーロッパが取り決めた移住方策が優先され、それを実行することが強調されている。UNCHRは「一貫性のない実行」が「不必要な苦しみ」を引き起こしつつあり、EUの法律と国際法に違反する恐れがあるとも強調した。

難民危機の中心は、ギリシャだ。欧州のリーダーたちがギリシャからの移住に同意した6万6400人の難民のうち、実際に他の場所へ引っ越したのはたった325人だ。

ギリシャの近隣諸国は、難民受け入れや、移住の支援に必要な対策を講じることに失敗している。ギリシャの財政と社会の安定性、そして勤労意欲は疑いようもなく悪化する。ギリシャにいる何千もの難民には、一部はを有刺鉄線に囲まれ、一部はNATOのボートにパトロールされている。当分の間、難民はギリシャ国内の仮の施設にとどまり、EUの次の決定を待つことになる。