新型コロナの影響で打撃を受けた、長野県で200年続いている小さな栗菓子屋が、助けを求めてツイートをした。
「外出自粛で潰れそう」「小布施全体の観光産業が大打撃です」「力を貸して下さい」……。
投稿者のRN.まるさんの妻のご実家は、長野県の小布施町にある「塩屋櫻井」さん。
1800年ごろにはじまり、小布施名物の「小布施栗」を使った栗菓子を作り続けているお店だ。
必死に頑張っている小布施の人たち
小布施は、昨年の2019年10月に発生した台風19号で、甚大な被害を受けていた。もとの小布施に戻すため、農家や観光業に関わる方など多くの人が尽力し、少しずつ回復に向かっていたところだった。
そうした状況のなか、緊急事態宣言による外出自粛要請は、苦境に追い打ちをかけることになってしまった。
塩屋櫻井さんは、小布施にある直営店のみで営業していた。そのため、直接お店に来るお客さんがいなければ、売り上げが発生しない状態だった。
RN.まるさんは、塩屋櫻井さんが陥った状況について、このように説明する。
「3月から徐々に観光客が減り始め、4月、5月は店舗売り上げはゼロに近い数字でした」
「今年は次の栗も仕入れられない、支払いもできない状態であり、このまま閉鎖まで考えるほどだったようです」
塩屋櫻井さんの近所を見回しても、影響を受けている様子が見られる。閉鎖しているお店が多く、5月25日に緊急事態宣言は解除されたが、その状況は続いているという。
「もとの小布施に戻るには時間がかかりそうです」
できるのは、情報を発信すること。お店と人をつなげること
大変な様子を知った、小布施出身のRN.まるさんの妻が、危機的状況をなんとかしようと、オンラインショップの準備を始めた。
妻は小布施外に住み、訪問看護師としての仕事をしている。そのため毎晩子供達が寝てから商品写真を撮ったり、HP作成やどう販売していくのかなどをリモートで打ち合わせしていた。
「塩屋の栗菓子は本当においしい、あんなに長く続いて伝統のある栗菓子をここで終わりにしてしまうのはもったいない」と奔走する妻に、RN.まるさんも共感した。
そして、様々な地域で大打撃を受けている観光産業に対して、家にいながら自分にもできるのは「情報を上げていくことだ」
RN.まるさんは、完成したHPと併せて、塩屋櫻井さんの現状をツイートした。
拡散力に救われた
ツイートは6月5日現在で、4.2万リツイート、3.9万いいねと広く拡散された。
リプライ欄には「美味しそう。購入しました!」「大変な状況ではありますが、頑張って下さい!」と、応援のメッセージがたくさん並んでいる。
そして閉鎖まで考える状況だった塩屋櫻井さんには、HPからの注文が殺到しているという。
「全国の皆様からのご支援があり、取引先にも事業継続を宣言することができました」
RN.まるさんによると、塩屋櫻井さんは、大きな反響に驚きつつも、温かい支援やメッセージに大変な感謝をしているということだ。
遠い地域に広い支援をするには
小布施にはたくさんの魅力が溢れている。小布施町の公式サイトによると、「栗と花と北斎の町」として知られており、観光客は年間およそ110万人訪れる。
「小布施名物である栗を使ったようかんはもちろんのこと、信州田舎そばや地元でとれる果物は自信をもっておすすめできます」と、RN.まるさんは話す。
RN.まるさんや塩屋櫻井さんたちは、購入した人たちに届けたお菓子をおいしいと思ってほしいのはもちろん、小布施を訪れるきっかけになってほしいとも考えている。
「小布施のおいしいお菓子を全国の方々にお届けし、小布施の空気を感じてもらえるよう頑張っています。栗ようかんを食べながら落ち着いた後に行く旅行先の第一候補が小布施だと思ってもらえたら嬉しい、と話していました」
「旅先では思いっきり経済活動をすることで観光で成り立つ地域が元気になるだろうと思います」
また、Twitterですばやい応援を受けた経験から、RN.まるさんは「困っています」といった商品を見つけたらすぐ購入する、という行動を取るようになった。
「小さな支援がものすごく大きな支援に変わること」を、強く感じたのだという。
「これを機に、全国の方に小布施の栗菓子のすばらしさを知ってほしい」
RN.まるさんによると塩屋櫻井さん一番のおすすめは、小布施で唯一の「栗塩ようかん」だ。
「見た目は地味ですが、あずきのあんとはまた違う、なめらかで優しい味です。塩が甘さを引き立てています」
「栗ようかんや栗らくがんは賞味期限が長く、手土産に最適です」
「現在、反響が大きく出荷に影響が出ております。職人が丁寧に心を込めて作成しておりますので、到着まで今しばらくお待ちください」
塩屋櫻井さんのHPは、こちら。