目の前にいる好きな人の表情すら分からない…絶望した漫画家を救った一言

    視界にノイズがかかる「視界砂嵐症候群(ビジュアルスノウ)」を発症した漫画家さんが、体験を漫画にしました。

    突然襲われた目の病気に苦しみ、「人生に絶望した漫画家が、アニメーターの恋人の一言に救われた話」が、話題になっています。

    「24時間陽炎の中にいるよう」と作者が表現した病気を知っているでしょうか。

    漫画家の見原由真(みはら・ゆうま)さんが描いた漫画を紹介します。

    ビジュアルスノウ」と、あまり聞き慣れない単語が登場しました。発症した5年前、作者自身も病気について知らなかったそう。

    さらに認知度も低く、眼科に行き症状を説明しても、医者に理解してもらえないことが多かったといいます。

    正体を知ったのは、ネットで見つけた眼科のHPがきっかけでした。それにより、ビジュアルスノウと診断されたのだといいます。

    「そこではビジュアルスノウについての論文も掲載されていたため、プリントアウトして自分の行く眼科の先生に見てもらうことで初めて『ビジュアルスノウの患者』だとわかってもらえました」

    陽炎の中に24時間いるような視界ーー。そんな想像もつかない辛さを、作者はこうした言葉で表現します。

    「目の前にいる好きな人の肌の質感も表情さえもわからない状態は地獄のようでした。

    この先の何十年もある人生ずっとこの視界なのかと思うと、当時は絶望しかありませんでした」

    「なんとかなる」その言葉に救われて…

    作者の見原由真さん(@ace7kg)とタッペイさんが、素敵な関係性であることが伝わる漫画ですよね。

    過去にも夫についてのエッセイ漫画を描いていた作者さん。連載していた別の漫画に区切りがつき、次は何を描きたいかと考えていた時に、エッセイ漫画が浮かびました。

    「好きな物を描くなら、好きな夫をまた描こうと思いました。私が経験をした一連の出来事は、夫との生活や夫への思いを描くにあたり避けては通れないと思いました」

    投稿には1.5万いいねや多くのコメントが寄せられ、大きな反響がありました。

    「まさかこんなにたくさんの方に読んでいただけるとは思っていなかったので驚きが大きいです。感想もたくさんいただきありがたいです」

    感想には「自分も同じ症状だ」「ビジュアルスノウという名前があることを初めて知った」という内容が多く、中には「最近ビジュアルスノウになってしまい落ち込んでいたが、マンガを読んでがんばろうと思えた」というメッセージもあったそうです。

    見原さんの場合は、試行錯誤しながら生活習慣を改善し、良くなったり悪くなったりを繰り返すことで、少しずつノイズが晴れていったそうです。

    「眼科から目薬を処方してもらいましたが、それはあくまで目の機能をサポートするものです。

    ビジュアルスノウには確立された治療方法がないため、毎日目の状態をノートに記していき、どういう時に調子が良くなったかを把握するようにして自分に合う方法を探しました」

    日常生活で視界がそこまで気にならなくなってきたのは、発症からおよそ2年後だったといいます。

    ただし、現在でも完治はしていないため、なんとか症状とつきあっている状態です。

    あくまで一つの例ですが、見原さんの場合はこのように病気と付き合ってきました。

    「はじめは自分の病気を公にすることについて少し迷ったのですが、感想をいただけて、少しでも自分の漫画が力になれていたのなら嬉しいです」