「豪雨被害で生き残った魚を食べて」農家と消費者を、シェフたちがレシピでつなぐ。

    九州地方や中部地方を襲った豪雨は、地域の農家にも甚大な被害をもたらしました。大切に育ててきたものを売るのが困難な状況を受け、支援活動を行うグループがあります。

    九州地方や中部地方を記録的な豪雨が襲いました。

    甚大な被害に遭っている農家の力になりたいと、消費者を繋げるために奮闘する料理人たちのグループがあります。

    グループは、シェフやパティシエたち16人が参加する「CookForJapan」です。

    始まったきっかけは、2019年10月の台風19号でした。

    #被災地農家応援レシピ」というハッシュタグとレシピをTwitterに投稿し始めます。そのレシピを読んだ人に、被災した農家による野菜や肉、魚などを購入してもらう、という取り組みでした。

    「料理人とは、農家さんが作ってくれる食材があってこその職業です。何かできることはないか、とレシピを提供させてもらっています」

    広報の石川雄一郎さんは、CookForJapanの活動への思いをそう語ります。現在も、日本の農家への幅広い支援を続けています。

    水害、土砂災害に遭い、池が破壊された…それでも生き残った魚たち

    2020年7月に九州・中部地方を襲った豪雨で、多くの農家が被害を受けました。

    CookForJapanと連携している食材の通販サイト「食べチョク」には、農家からのSOSが約30件、届いています。

    食べチョクによると、例えば、淡水魚のヤマメを販売する熊本県の「川部養魚場」は、山間部にある魚の養殖場が水害と土砂災害に襲われました。

    水や土砂が流れ込むことで、魚を保有する池が破壊されたり、1トンを超える冷凍庫が2台も流されたりしてしまいました。

    復旧作業を行なっていますが、未だに足場はなく、施設は床下浸水という予断を許さない状況です。

    ですが、その危険な中でも、ヤマメは生き残っていたのです。

    しかし、取引先も被害にあっており、販売することが困難な状態だといいます。

    「このような被害の中、懸命に生き残った魚を皆様に食べていただければ、この上ない幸せなことです。私たちの会社の生きる活力になるとも思っています」

    川部養魚場は、食べチョクにそう話したといいます。

    また、食べチョクによると、黒さつま鶏を販売している鹿児島県の「真栄ファーム」では、取引先の飲食店が浸水してしまい、出荷予定だった鶏の行き場がなくなるかもしれない状況です。

    このように大切に育ててきたものを売るのが困難な農家があります。CookForJapanは、こうした農家を支援するために活動しています。

    農家の商品を生かした「#被災地農家応援レシピ」

    CookForJapanが提供するのは、被災した地域で育つ食材に関連したレシピです。

    熊本のあるトウモロコシ農家はTwitterで、CookForJapan宛にこのような投稿をしました。

    @Taka09KMY @tabechoku @pocket_marche 熊本のとうもろこし農家です。雨で早く収穫してしまわないといけない状況ですので、是非、たくさんの方に購入して頂きたいです。 https://t.co/0cEegABI8R https://t.co/Anh29devdB

    弥生朱莉☆りんご / Via Twitter: @yayoi_akari

    すると、CookForJapanのメンバーからレシピが投稿されました。

    買ったばかりのストウブの鍋でとうもろこしご飯作りました〜。美味しくて食べ過ぎちゃう。 お米2合、とうもろこし1本、塩小さじ1で炊くだけ。芯を入れるのを忘れずに。余っても冷凍可能。 #被災地農家応援レシピ 後で、とうもろしスムージーのレシピあげます。 https://t.co/uzcvEqbFgL

    違克美|旅するコンフィチュール / Via Twitter: @TabisuruConf

    メンバーたちはさまざまなレシピを続々と投稿しています。

    「新生姜ジャム」 昨年日テレの「バケット」の番組内でご紹介した「生姜ジャム」のレシピです。これは旅コンで出しているジャムと全く同じです。 使い道がめちゃくちゃたくさんあるので、ぜひ! #被災地農家応援レシピ  #CookForJapan 新生姜 https://t.co/krOpad3myD アレンジレシピ↓

    違克美|旅するコンフィチュール / Via Twitter: @TabisuruConf

    最後に、消費者の方に対し、石川さんはこうメッセージを送りました。

    「いま、各ご家庭も大変な時期が続いていることと思います。大きな寄付をすることが難しくても、ちょっとだけ被災されている地域のことを考え、その土地の産品を買って料理してみたり、ふるさと納税してみたり、と、みなさんの意識が少しだけ、被災された方に向いたらうれしいです」

    被災地農家応援レシピをまとめたサイトはこちら。また、LINEbotからレシピを検索することもできます。追加はこちらから。