車内で運転手と2人きり、イヤな経験をしたら思い出して。「運が悪かった」で済ませていいわけがない話。

    タクシーに乗車したら、運転手からハラスメントを受けたーー。ある女性がの実体験を描いたマンガに共感の声が寄せられています

    タクシー乗車中に、運転手から嫌な思いやハラスメントを受けたら…?あるお母さんの体験談が話題です。

    花森はなさん(@hanamori_h)が妊娠中に経験した出来事を漫画に描き、Twitterに投稿したところ、1万2000回以上リツイートされ、3万4000回を超える「いいね」が集まりました。

    リプライ欄には「これは腹立つ」「昭和とか平成初期の話かと思った」「同業者として申し訳ない。レシートもらうのオススメします」など、反響が寄せられています。

    (※以下の漫画では、1〜2枚目に表現のキツいセクハラの描写が描かれています。ご注意ください)

    今から10年ほど前のことーー。

    切迫早産になり、通院にタクシーを利用していた花森さん。タクシーに乗車するだけで、運転手さんから嫌味を言われることもしばしばでした。

    なるべく我慢して乗っていましたが、ある日、トラウマ級の運転手さんに当たったのです。

    同業者であっても「そんな運転手まだいるんですか!?」

    ただ移動しようと思っただけでこんな目にあうとは…。タクシーとはいえ、運転手さんと妊娠中の自分だけの空間に不安を感じました。

    「運転手さんを怒らせて、変なところに連れて行かれるかもしれない…。とにかく無事に、早く降りなくては…。車内に1分さえも、乗っていたくない…」

    そんな思いで「吐きます。降ります」と告げ、降車しました。

    ……時は流れ現在。息子さんの都合でタクシーを利用する機会が増えました。

    たまたま乗り合わせた運転手さんに、当時のことを話すと…?

    「そんな運転手まだいるんですか!?」と怒り、驚いた様子なのです。

    もしイヤな運転手に当たったら…?

    「それ個人でっしゃろ?僕らみたいに会社所属やとセクハラとかマナー講習がきっちりあるんですわ」

    憤りをあらわにする運転手さん。

    今後もし悪質な運転手さんに遭遇してしまった場合は、「タクシーカード(エコーカード)」を持って帰り、タクシー協会に連絡するようアドバイスしてくれました。

    「同業として許せませんから!!」

    BuzzFeedは投稿者の花森はなさんに話を聞きました。

    服のサイズも足のサイズも大人サイズ、なんならヒゲだってちょっと生えてきてる。それでも自分の子供はかわいい。幼児の頃の仕草や癖を発見してまたかわいい。 #コミックエッセイ

    花森はなさんのTwitterより / Via Twitter: @hanamori_h

    シングルマザーの花森さんは、子どもの不登校を描いたエッセイ漫画を連載してます。

    10年ほど前のことを織り交ぜて、漫画に描いたのはどんな理由があったのでしょうか。

    「あのときの出来事は自分の中で、ずーっと消化できないままでした。その他にもタクシーに乗った時に遭遇した『嫌な出来事』はあったのですが、一番このことが印象が強く、タクシーに乗る際に身構えてしまう理由でもありました」

    しかし、2022年の5月頃にたまたま乗車したタクシーの運転手さんに、過去の出来事を打ち明けると、自分以上に怒ってくれて、対処法まで教えてくれたのです。そのとき、花森さんは「救われた」のだそう。

    「タクシーで嫌な目に遭った話は時々SNSでも目にするので、運転手さんのお話をシェアさせていただきたいなと思いました」

    運転手さんの一言に

    運転手さんの「そんな運転手まだいるんですか!?」という言葉には、花森さん自身、逆に驚かされたといいます。

    というのも、10年前にイヤな思いをした運転手さんと同世代くらいのドライバーさんとの会話だったのです。

    「『同じ業種』で『同じ世代』の『男性』が怒ってくれたというのは、いい意味で衝撃でした。同時にやはり『これは怒っていいことだったんだ』と実感できました」

    作中では、運転手さんから「タクシーカード」や「タクシー協会」を教えてもらうシーンも。

    花森さんは、車内での出来事に対して、カードや協会の存在が有効ということを知って「そんな使い方があるとは…」と話します。

    「セクハラだけでなく、忘れ物があった場合もタクシーカードから連絡すると見つけやすいので、『そういう使い方もできるから、取っておいて損はないです』と運転手さんから教えていただきました」

    「そんなことしたら商売にならんで」

    漫画を通して、花森さんは、2つのことを伝えたいといいます。

    「セクハラ被害のことも伝えたいのですが、驚いたのは運転手さんの怒りです。本当に怒っていらっしゃいました」

    「『そんなことしたら商売にならんで。未だやってるやつは、この仕事したらあかんわ』と。ご自分がお仕事に真摯に向き合っておられるからこそ、出てくるお言葉だと思います」

    「こういったセクハラ行為を業務内にしてしまうことは、同業者の中で頑張っていらっしゃる方が一番迷惑を被るし、許せない行為なんだと感じました。タクシーだけではなく、どの業種であってもそうであってほしいです」

    「運が悪かった」で済ませていいのか?

    多くの人から寄せられた反響に、共感の姿勢を示すとともに、被害を知ってほしいと話しています。

    「私が嫌な目に遭ったのは10年ほど前のことですが、寄せられた体験談の中にはごく最近のものもたくさんあり……。私よりも、もっと酷い目に遭われた方もいらっしゃいます」

    「特にタクシーの車内は、クローズドな世界です。たとえ、失礼な方に当たったとしても、『運が悪かった』で済ませてしまうことも多いと思うんですよね」

    「これだけの被害があるということを、多くの方に知っていただきたいと思います」

    一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会の見解は?

    作中にも登場している「タクシー協会」にも、今回のようなケースにあった時はどうしたらいいのか、聞いてみました。

    ーー車内で万が一のことがあったら、どうしたらいいのでしょうか?
    降車するときに、必ず領収書をもらってください。領収書には電話番号、事業者名など、特定する際に必要な情報が記載されています。

    ーーもしも降車時に、領収書をもらい忘れてしまった場合は?

    その場合には、タクシーの行灯(あんどん:車体上部についている社名が書かれた印。正式名称は「社名表示灯」)、ナンバープレート、会社名の3つを控えておいてください。

    ナンバープレートのみだと、タクシー会社の特定が難しいのです。


    なので、ドア横などに記載のある会社名やそれぞれのタクシーの行灯を撮影しておくと良いです。