今村昼寝(@nanchakuriku02)さんがTwitterで、自作の"ある作品"を紹介したところ、1万7千回以上リツイートされ、6万7千回を超える「いいね」が集まりました。
それは、文学作品を、斬新な形で楽しむことのできる「文学入浴剤」です。
リプライ欄では「浮かびあがってくるのすてき」「文字を飼ってるみたいでかわいい」「市販化されてたら買ってみたい」など、斬新で革新的なアイデアに惚れ惚れする人からの称賛の声が寄せられています。
シンプルなパッケージの中には……。

入浴剤と文字の書いてあるフィルムが梱包されています。

入水させた様子は……?こんな感じになるそう。水中に文字が浮かんでいます。

BuzzFeedは投稿者に話を聞きました。

作者の今村さんは、千葉大学大学院の意匠形態学研究室に所属しています。
静かな場所で本と向き合うことが好きで、コロナ禍によって、電子書籍を利用するようになったことが制作のきっかけになったといいます。
「本の表紙の横で、大きく他人のレビューの星が評価を主張していることに、ずっと違和感がありました」
「例えば、試し読みをしてみた場合です。面白そうでも、星の数が3つだと『面白そうだけどなんで星3つなんだろう…』『星3つの理由がどこかにあるよね…』というように、読んでしまうことがあることに、寂しさを感じていました」
他人のレビューや評価に左右されず、本に対する姿勢や、新しい本との出会い方を模索する中で、見つけたアイデアの一つを形にしたものが「文学入浴剤」だったとのことです。
「いろんな意味で一番、一人になれるお風呂で、両手で水を掬うように大切に本と向き合えたらどんな体験になるかなと興味を持ちました」
「お風呂で向き合いたいもの」として選んだのは、高村光太郎の作品でした。
文字の書いてあるフィルムにチョイスしたのは高村光太郎の作品で、書き出し部分を抜粋しました。どうして、書き出し部分を選び、入浴剤と一緒に梱包したのか尋ねると?
「書き出し部分からどのような話が広がっていくのか、自分だったらどのように広げるのかなど、想像してから続きを読むと楽しいと思いました。なのでそのようにしています」
文字が印刷されている素材は、「OHPフィルム」という透明な材質のものだと説明しています。
「水の中に入ると文字だけが浮いてるように見えますが、 溶けるわけではなく、使用後も物として残ります」
溶けずに手元に残るようにしたのにも意図があるといいます。
「作者の息遣いを感じられる、ある程度まとまった文章と向き合えた方が私は嬉しいと感じます。文章の形は保ちたく、このような形にしています」
「また、使用後はお気に入りの一節は机の側に貼ったり、栞にしたりといろいろな使い方ができるのかなと思います」
水の中に入れれば儚く、取り出せば、半永久的に保存できるなんて、素晴らしいですね。
販売も検討しているという「文学入浴剤」
みなさまの暖かいご感想、大変嬉しくて励みになります。元々は自分や本好きの友人のために作ったものですが、有難いことに使ってみたいという声をいただいておりますので、販売も考えています。 こちらのアカウントで引き続き発信をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします🙏
いつか、自分の好きな作品の入浴剤が手に入ったらいいな……と空想しながら、今後の続報に期待です✨