売ってほしいと言われて作ったのに、いざ作ったら1本も売れなかった……。
あるハンコ店の悲しすぎる投稿が話題になっています。
印章の製造販売を行う永江印祥堂(@nagaeinsyoudou)が12月13日、公式X(旧Twitter)に「円周率のハンコ」の写真を投稿したところ、7.2万件を超えるいいねがつきました。
リプライ欄には「この割り切れない気持ち……」「あの時の人はどこへ」「実に悲しい」など数多くの反響が寄せられています。
投稿された写真に写っていたのは、1円玉よりも小さな「円周率のハンコ」。
紙に残った朱肉の跡を見てみると、3.14から始まる円周率の数字がびっしりと並んでいます。
ハンコに写る数字は1円玉に刻まれた文字より小さい……。ものすごい技術であることが分かりますね。
とても緻密な円周率のハンコには過去、大きな反響があり、「売って欲しい!」との声に応えて販売を開始したそうなのですが……なんと1本も注文はなかったとのこと。
これには永江印祥堂も「『円周率のハンコ売って欲しい!』と言われ販売開始したのに1本も売れてないって嘘みたいだよね」と悲しみを募らせました。
BuzzFeed Japanは、永江印祥堂に話を聞きました。
1970年の創業時から印章の製造販売を行っている株式会社永江印祥堂。
島根県松江市に本社をおき、「唯一無二」をキャッチフレーズに、樹齢1000年以上の「屋久杉」の印章や、国産の間伐材を原料にした印章の開発販売などを行っています。
――投稿では「1本も売れなかった」とありましたが、その後ハンコの売上などに変化があれば教えてください。
投稿に反響が沢山あったおかげで、なんと円周率のハンコが売れました!(まだ作製しておりますので発送はしておりませんが)
――今回の投稿への反響をどのように受け止めていらっしゃいますか?
ハンコが売れたことはもちろんですが、今回の投稿をきっかけに弊社のハンコへ興味関心をお寄せいただき、技術の高さを評価するコメントを頂いたことに誠に嬉しく思っております。
――今回のハンコは「円周率」でしたが、他にも技術力の高さを裏付けるエピソードなどがあればぜひ教えてください。
今までも会社の印鑑で、直径1センチの円の中に40文字程の長い部署名を彫刻しておりました。
これは恐らく他の印章店では作製することが難しい物なのですが、弊社の職人たちは当然のように作製していたことです。
高い技術力を持っているからこそのエピソードだと思います。
――今回の円周率のような、他にはないハンコのアイデアはどのように浮かぶのでしょうか?
昨年10月より1.2センチの印章の中に87文字を彫刻した物に挑戦したことをきっかけに沢山の注目を頂けるようになりました。
その後、より細かい文字を彫刻したり、ユニークな印章に挑戦していく中で、
フォロワーさんの「次はこれを彫ってほしい」という要望にお応えする形で様々なハンコを彫っています。
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「脱ハンコ」宣言とコロナ禍が重なり会社の売り上げが低迷していた、2021年10月頃から公式SNSを立ち上げたという永江印祥堂。
他社には真似のできない「職人の技術」をたくさんの人に見てもらえれば、印鑑に関心を持ってもらえるのではという思いからPR活動を行っているそうです。
永江印祥堂のオンラインショップでは、円周率のハンコはもちろん、「寿限無さん専用ハンコ」や「上から覗けるハンコ」などユニークなハンコを取り扱っています。