Jannatul Mawaは、バングラデシュ出身の社会活動家兼ドキュメンタリー写真家である。Mawaは、写真が持つ、不平等や搾取と戦う力を信じている。
写真シリーズClose Distanceを通じて、Mawaは南アジアの女性とその家庭で働く家政婦たちの間にある、微妙な力関係に目を向ける試みをしている。
南アジアの上流中産階級では、住み込みの家政婦を雇うのはどこでも見られること。家事労働の性質上、家政婦は女性であることが多い。
大抵の場合、家政婦たちは農村部から大都市へ引っ越してきて、豊かな家庭に住み込みの労働者として雇われる。
料理、掃除、さまざまな雑務をこなす家事労働をする引き換えに、食事と住まい、それから適度な収入*を報酬として受け取る。
西洋社会ではそんな労働環境が許されることはなく、非倫理的であるとみなされるが、南アジアではめったに問題視されることはない。
同じ屋根の下、しかも距離的に非常に近い空間に住んでいながら、南アジアでは家政婦とその雇い主の立場は平等ではないとみなされている。
それどころか、家政婦と「主人」との間には、細かく体系化された距離があるのが一般的だ。
Mawaが自身のウェブサイト上で語るように「家政婦たちは毎日、女性たちのベッドやソファを整える。しかし、そのベッドやソファの上に座ったり、その上で寝たりするのは許されない」
同様に、家政婦は一家のために料理をする一方、自分は独りでひっそりと食事する。
この不平等はおそらく、南アジアで歴史的に深く根ざしているカースト制の名残だろう。階級差別の爪痕は今も広く残る。
この写真シリーズは、並んで座ることで、二人の距離感を変えようとした時に生まれるぎこちなさと固さをとらえようとした試みだ。
互いに慣れ親しみ愛着があるにも関わらず、家政婦が雇い主と並んでソファに座ることは決して許されない。また、そうしているところを見ることもない。
それを強いられた結果はどこか悲しく、寂しい。
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この記事は英語から翻訳されました。