米ペンシルベニア州フィラデルフィアのピザ屋で、白人の女が店のオーナーに人種差別的な暴言を吐く様子が撮影され、動画がTikTokなどのSNSで拡散されている。
検察当局は、この女が人種・民族を動機に相手を脅迫したとして、ヘイトクライム(憎悪犯罪)を禁じる同州刑法2710条違反の罪で起訴した。
自分の店でスペイン語のテレビを流して何か悪いことがあるか、とオーナーが女に尋ねると、女は繰り返し「お前はアメリカ人じゃない」と言い、根拠もなく「不法滞在をしている」と主張した。オーナーに中指を立てる様子も映っている。
「お前のことを調べ上げて、この町から追い出してやる。不法滞在者に金は出さない」
その後も「アメリカにいるなら、英語を学べ」「私の父は第二次世界大戦の退役軍人だ。彼の友達も家族も、お前が今ここにいて金を稼ぐために死んだ」などと言い、返金を求めた。
「お前のことを調べるからな。私は公認会計士だから。その意味も知らないでしょう?」
録画されていることに気づいた女は、自身も携帯電話で撮影を始めた。そして、録画している人物を「白人をいじめる人種差別主義者」だと糾弾した。
「私が白人だから、この人たちは私を撮っている。私が白人だから、レイシストだと言われている。私は人種差別なんてしていない」
元の動画は投稿者により削除されたが、その後SNSで転載・拡散されている。
事件後、女は地元紙の取材に答えた。「深く反省」しており、容疑を認めるつもりだという。
「言い訳はしたくない」と話したが、乳がんの治療中で、父親も入退院を繰り返している状態のため、辛い時期を過ごしていたとも述べた。
女は「人種差別はしていない」と引き続き主張している。自身の祖父母はアイルランド出身で、プエルトリコ人の親友もいるため、移民とも繋がりがあると語った。ちなみにプエルトリコの住民は米国籍を持つため、アメリカでは移民ではない。
地元ラジオ局によると、事件後、ピザ屋の売り上げは絶好調だという。配達地域外からも電話があり、地元の支援団体などに届けるよう注文が入ることもあったそうだ。
「ドイツ、イギリス、ポーランド、スペイン、南米全域からも電話がかかってきた。本当に、本当にうれしい」とオーナーは語る。
「多くの人が、車で1、2時間かけて店まで来て、ピザを買って挨拶しに来てくれる。本当に素敵なことだと思う」
女の予備審問は、4月5日に予定されている。
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:髙橋李佳子