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日本の女性力士に未来を!彼女たち撮り続けるロシア人写真家

女性の競技人口が少ない相撲。プロになる夢を持つ女性力士たちを撮影する写真家は、自らのプロジェクトで「彼女たちがより注目され、いつか目標を達成するのに貢献できれば」と語る。

東京を拠点に活動するロシア出身の写真家、ユリア・スコゴレワさんは、長年にわたり若い女性力士を撮影するプロジェクトを続けている。

その中で出会った阿部ななさん(12)は、8歳の時に相撲を始めた。

ななさんは、今までに出場してきた大会で負けたことがほとんどないという。

A young female sumo  wrestler squats at the edge of a homemade ring
Yulia Skogoreva

自宅の庭で稽古をするななさん。

相撲界で、女性の競技人口は少ない。未だに「男性のスポーツ」とみなされるステレオタイプが存在するからだ。

女性力士の中には、反対されることを避けるため、家族や知り合いに相撲をやっているとを知られたくないと思う人もいるという。

Two young girls in leotards and traditional dress at the edge of a sumo practice ring
Yulia Skogoreva

新潟の稽古場の土俵でのななさんと、姉のさくらさん。

しかしななさんの家族は、相撲の稽古に打ち込む姉妹を全面的にサポートしているという。

稽古用のユニフォームに、父親は「NANA」と刺繍を入れた。

姉のさくらさんのユニフォームにも、同じように名前を刺繍しているという。

A young girl at the edge of a sumo practice ring wearing a shirt with her name on it, Nana
Yulia Skogoreva

稽古用のユニフォームを着ているななさん。

父親は、畳屋をしている友人から畳を借り、自宅の庭に簡易的な土俵まで作った。

Two young wrestlers stretching in their backyard
Yulia Skogoreva

自宅の庭で、父親が作った土俵で稽古をしているななさん(奥)とさくらさん(手前)。

他にも姉妹の稽古のため、父親は車体工場を経営している友人からタイヤを借りた。

100キログラムほどのタイヤを、ななさんは自宅の前で何度もひっくり返す練習をしている。

A young sumo wrestler flips tires in her backyard
Yulia Skogoreva

タイヤをひっくり返すななさん。

「私もやってみましたが、タイヤを持ち上げるのも難しかったです。ななさんにとっては、この練習は毎日の生活の一部なのです」とスコゴレワさんは語る。

A young sumo wrestler crouches in a parking lot with electrical wires in the background
Yulia Skogoreva

2020年3月下旬のななさん。

2020年3月下旬には、新型コロナウイルスの影響ですでに多くの大会が中止となっていた。

稽古ができる場所がなかったため、ななさんは外に出て川沿いの公園で練習をしていた。

ななさんの夢は、プロとして相撲を続けることだ。

しかしいまの日本の仕組みでは、大学卒業後に女性が相撲を続けられる道はない。

A female and a male sumo wrestler doing pushups in the practice room
Yulia Skogoreva

一緒に稽古をする男性と女性。

「日本の伝統には、本当に複雑な部分があります」とスコゴレワさんは話す。

「日本を訪れる人たちが、日本を好きになる理由の1つが相撲です。相撲には日本の伝統が、今でもそのままの形で残っています」

A girl crouches at the end of a sumo ring in front of a crowd
Yulia Skogoreva

東京都立川市で、地元の大会に参加する女性。様々な年齢のアマチュア力士向けの大会だった。

スコゴレワさんが見てきた女性力士たちは、相撲に情熱を注いでおり、毎日汗と涙を流している。

Two young girls fighting in a sumo ring with a crowd around them
Yulia Skogoreva

立川市で行われた大会で、2人の女性が土俵で戦う様子。

「女性力士たちに、キャリアを継続する機会があれば本当にいいのですが」とスコゴレワさんは言う。

「今のところ、日本でも女子相撲の存在を知っている人は非常に少ないです。私のプロジェクトで女性力士たちがより注目されるようになり、いつか目標を達成するのに貢献できればと思っています」

A girl sumo wrestler  with sand on her arm during a competition
Yulia Skogoreva

立川市での大会で、試合に負けてしまった女性。出場者は土俵に再び入る前に、土を落として体をきれいにしなくてはならない。

日本に住んで10年以上になるスコゴレワさんは、様々な人のプロのスポーツ選手になる夢を応援している。

スポーツの動きや世界を静止画に収めるのが、彼女のゴールだという。

A young female sumo wrestler crouches at the edge of a ring
Yulia Skogoreva

立川市での大会。相撲の大会は通常、男性から試合が始まり、その次に女性の試合があることが多い。

スコゴレワさんはモスクワで育ち、頻繁にバレエを観賞していた。

その後、東京の日本写真芸術専門学校で写真を学び、ダンスの写真を撮り続けてきた。

A young girl in sumo costume with a towel over her shoulders
Yulia Skogoreva

立川市での大会で、試合が終わった後の女性。

「私は、人が動いている自然な状態が好きなんです」とスコゴレワさんは話す。

「ダンサーはカメラを気にせず、自由に動きます。それからいろいろなスポーツを見ていると、ダンスの動きが見えてくるようになりました」

A female sumo wrestler in a practice room with a bunch of male sumo wrestlers
Yulia Skogoreva

早稲田大学で行われた特別稽古の様子。中央にいるのが今 日和(こんひより)さん。選手たちはみな違う大学の所属だが、「とても小さな世界なので、みんなお互いのことを知っている」という。

スコゴレワさんは、スポーツの中でも特に相撲に興味を持っていた。

相撲では「土俵入り」など、スコゴレワさんからするとダンスのように見える儀式が数々ある。階級や格付けによってカラフルな化粧廻しを身につけているのも、ダンスと似た要素を感じるそうだ。

元々スコゴレワさんは、男性力士のみの大相撲の世界に興味を持っていた。

なぜなら、女性が相撲をするという話は聞いたことが無かったからだ。

A young female sumo wrestler faces off with a male wrestler as other people exercise in the background
Yulia Skogoreva

早稲田大学での特別稽古で、女性力士と男性力士が組み合う様子。
昨年、今さんは京都の立命館大学を卒業した。立命館大学は女子相撲部がある、日本でも数少ない大学のひとつだ。

しかしその後、友人から女性力士についての記事を送られたスコゴレワさんは、女子相撲に興味を持つようになった。

「女子相撲というのは、本当に閉鎖的な世界です。写真を撮影する許可を得るのに、1年以上かかりました」

「ロシアの力士に連絡を取り、ロシア人力士たちの写真を東京に持ち帰ると、非常に気軽に撮影ができるようになりました」

a female sumo wrestler in front of the crowd with a Japan country label
Yulia Skogoreva

2019年に大阪で開催された、世界相撲選手権大会。
選手たちは大学生からプロまで様々。ロシア、ポーランド、ブラジルなどの他の国では、大学を卒業した後も相撲を続ける女性もいる。
「他の国では、相撲の世界でキャリアを続けられる素晴らしい機会があります。でも日本の女性にはその機会がありません。日本でもずっと相撲を続けられることを目指し、日本の女性力士たちは戦っているのです」とスコゴレワさん。

スコゴレワさんは、今後も女子相撲を撮影するプロジェクトに取り組みたいという。

日本や他の場所で女性力士たちを撮影するとともに、阿部ななさんと姉のさくらさんを撮影し続ける予定だ。

「彼女たちは毎年成長し続けています。彼女たちが大学を卒業するまで、そしておそらくその先も、彼女たちの写真を撮り続けるつもりです」

この記事は英語から翻訳・編集しました。