今、台東区のお寺で“夏にぴったりな絵画展”が催されています。

お寺の名前は全生庵。
勝海舟・高橋泥舟と並ぶ「幕末の三舟」の一人、山岡鉄舟が明治維新で亡くなった人々を弔うため、明治十六年に建立したお寺です。
全生庵で開催中なのが、こちらの「幽霊画展」です!

全生庵には、山岡鉄舟と縁があった落語家・初代三遊亭圓朝のお墓があり、圓朝が遣した珠玉の幽霊画の数々が所蔵されているんです。
川鍋暁斎や伊藤晴雨をはじめとする、著名な絵師たちの幽霊画を見ることができます。
正門をくぐると、大きな本堂へと続く階段があります。登って左側が幽霊画展の入り口です。

こちらの入り口から、いよいよ展示が始まります。

展示室はヒンヤリとした空気に包まれていて、作品を見るうちに背筋がゾクゾクしてきます。

伊藤晴雨の「怪談乳房榎図」には、恐ろしい顔の幽霊が描かれています。

この絵は「怪談乳房榎(かいだんちぶさえのき)」という圓朝の怪談話のワンシーンを描いたもの。
歯を剥き出しにしてこちらを睨みつける姿に恐怖心が駆り立てられます。
一瞬、幽霊っぽくみえないこちらも立派な幽霊。右袖のあたりがしっかりと透けています。

こちらは池田綾岡の「皿屋敷」です。
屏風に描かれた菊の花から、「番町皿屋敷」の主人公・お菊さんが描かれていることがうかがえます。
青白い顔、生気のない目、消えた下半身…。「これぞ王道の幽霊!」といった作品も見ることができますよ。

江戸時代に活躍した絵師、円山応挙による「幽霊図」も展示されています。
乱れた髪や青白い頬、左前の着物が、なんとも言えない気味の悪さを感じさせます。
ほかにも歌川広重や月岡芳年、さらには94年ぶりに発見された鏑木清方の「茶を献ずるお菊さん」など貴重な作品を見ることができます。
「幽霊画展」では、グッズ販売もされています。

展示物のポストカードはお出かけの記念にピッタリ。

幽霊のポストカードって、なかなかないですよね。
Tシャツには圓朝が描いたガイコツが。粋なデザインでカッコいいです。

こちらは、圓朝自身が描いた「髑髏図日画賛」が左脇にデザインされたTシャツ。
白とネイビーの2種類があります。
クリアファイルは表と裏で絵柄が違います。

表面は、明治から昭和にかけて活躍した鰭崎英朋の「蚊帳の前の幽霊」
裏面は松本楓湖による「花籠と幽霊」が描かれています。

右手で自分の髪をギュッと掴み、左手は花を握りしめています。
その傍らには花籠が投げ捨てられるように描かれている、花×幽霊というユニークな一枚。
この絵は、圓朝の依頼によって描かれたとされています。
敷地内には、鉄舟や圓朝のお墓もあるんですよ。

幽霊画のほかにも、鉄舟の碑や坂村真民「念ずれば花ひらく」の碑などを見学できます。
拝観料は500円。「幽霊画展」で背筋からヒンヤリ涼んでみては?

最終日の8月31日(土)まで、毎日10:00〜17:00(最終受付16:30)に開催しています。
ぜひ行ってみてくださいね!