もし、目の前で駅のホームから人が落ちたら…。あなたならどうしますか?
お笑いトリオ「ニュークレープ」のナターシャさんがnoteに掲載した衝撃的な実体験。note創作大賞で受賞したセミフィクション作品が2月に書籍化されました。
第一話を出張掲載します。
著者のナターシャさんに話を聞きました。
ーー ご自身の経験をもとにしたセミフィクションとうかがいました。
はい。この漫画は、芸人の主人公がバイト先に向かう途中の駅で、泥酔してホームから線路に落ちた男性を助けたことをきっかけに、自分の人生を見つめ直す作品です。実際に、自分がホームに落ちた人を助けるという出来事があって、それがベースになっています。
ーー 今回、この出来事を作品にした理由を教えてください。
自分としても、トラウマになる出来事だったんです。この感情を忘れないうちに何かに描いておこうっていうのと、今やらないとずっとやらないなと思って。
ーー実体験そのままではなくフィクション作品として描いたのはなぜでしょう?
漫画家・水木しげるさんの『総員玉砕せよ!』(講談社文庫)という戦記漫画のあとがきで、九十パーセントは事実だと書かれていて、そういう創作方法もあるんだと知りました。
9割事実を描いて、1割だけ想像を入れると、すごいリアリティが出るとわかって。自分が描いた漫画も、水木さんの創作方法を参考にして、物語を考えました。
ーーこの作品をどんな人に読んでほしいですか?
何かを続けることって、その続ける理由を探す人が多いと思っていて。そんなものはいらなくて、ぼんやりした理由でも好きだから続ける、でいいんじゃないかと思うんです。逆に体を壊すほどでなくても、しんどかったら辞めればいいとも思います。そういうことを伝えられたらなと思って描きました。
進路や自分の生き方に悩んでいる人に、ぜひ読んでほしいと思います。
ーー ありがとうございました。
『死にかけた僕はまだ芸人を辞めていない』は全国の書店やAmazonで発売中です。
<内容>
芸歴12年目をむかえる漫才コンビ「ナッシング」。ツッコミの千葉はバイトをしながらなんとか芸人を続けている。ナッシングは今年も日本一の漫才師を決める賞レース「漫才ジャパンオープン」への参加を決める。そんな漫才ジャパンオープン 1 回戦を直前に控えたある日のバイトへ向かう途中、千葉は駅のホームに落ちたサラリーマンを救助する。その経験をきっかけに、芸人人生の歯車が少しずつ狂っていく―――。
<ナターシャ>
浅井企画所属。3人組お笑いトリオ「ニュークレープ」のリーダー。自身のnoteに掲載した『芸人が死にかけて今後について悩む漫画』でnote創作大賞2022優秀賞を受賞。note、Twitter