生理は100人100通り!これが私の生理革命
人によって生理の重さや長さ、ライフスタイルも全く違うのに、みんなナプキンだけを使い続けているのはなんで?毎月の生理が楽しみになる、そんな生活ちょっと良いかも。
生理用品選んでる?
蒸れる、かゆい、漏れる、かさばる…
生理用品について聞くと、不満ばかりで「この生理用品良いよ」という話は不思議なくらい聞かない。そもそも生理について女性同士で話し合うことも少ない。
そういった現状に疑問を感じているのが、生理にまつわるサービスを行う「ランドリーボックス」という会社を運営する西本美沙さんだ。

「日本で生理用品といえばナプキンのほぼ一択。性教育の現場で配られるのもナプキンだけ。例えばタンポンに触ったことがなく、どうやって使うかもわからないという人が多い。それって不思議だなと思っていました」
西本さんが生理用品に興味を持ち始めたきっかけは「月経カップ」だった。シリコン素材のカップを折りたたんで膣の中に入れて使うもので、洗って繰り返し使うことができる。

「生理用品が普及していない発展途上国で配られているというのを知って興味が沸き、個人輸入して使い始めました。その時に『生理用品』について調べてみたら、自分が知らないグッズがたくさんありました。それから取材やプライベートで海外に行くたびに、現地でどのような生理用品が売られているかチェックするようになりました」
ワタシ的生理革命
インターネットで調べて、海外から取り寄せたものも含め、これまで約50個ほどの生理用品を試したという西本さん。

台湾の月経カップは花のようなデザインで、ケースや付属の袋もかわいらしい。

アメリカの高機能生理ショーツには経血を吸収するための布が内蔵されている。
色々な生理用品を試すうちに、自分の気持ちの変化に気づいた。
「あんなに憂鬱で大嫌いだった生理を楽しみに待つようになったんです。月に1度の生理は新しいグッズを試す絶好のチャンス。その思考の変化は、すごく新鮮でした。これ生理革命じゃん、と(笑)。実際、月経カップは慣れると劇的によかったんですよね。これまで感じていた蒸れとか、漏れるかもという不安から解放された」
ただその一方、月経カップが日本で普及しない理由についても痛感した。使い方が難しいのだ。
「ナプキンは誰でも簡単に使えるというのがめちゃくちゃ優れているところ。月経カップは慣れるまでに時間がかかりました。中でも一番怖かったのが、カップを取り出せなくなってしまったこと。どうやっても抜けなくて、かなり焦りました。カップを凹ませて中に少し空気を入れるようにすれば、すぐに取り出せるんですが、それがわからなかったんです。身体の中に入れて使うものの難しさを感じたし、だからこそ、誰かが教えてあげる必要があるなと思いました。
生理はもっと快適にできるはず。そう思ったのが、『ランドリーボックス』を始めようと思ったきっかけです」
生理事情は100人100通り
彼女が運営するサイト「ランドリーボックス」では、生理にまつわる様々なトピックを取り上げる。

ホームページには「自分と生理に本音で向きあい、自分らしく過ごすためのメディアコマースです。それぞれの生理の悩みや好みに合わせた選択肢を、商品とコンテンツでお届けします」という言葉が並ぶ。
今後、サービス開始後には生理用品なども購入できるサイトになるという。
ランドリーボックスを始めるにあたり、100名以上に生理に関するヒアリング調査を行った。そこで改めて、生理事情は100人100通りだと痛感した。
「生理が重い、軽い、時期や長さなどももちろんなのですが、ライフスタイルによっても生理に対する考え方が全く違いました。トイレに行く時間すら取れないという忙しい人もいるし、とにかく素材にこだわりたいという人もいる。
その中で共通していたのは、私も含めて、生理、もっといえば自分の身体についてあまり知識がなかったということです。自分の身体のことを知らなければ、改善することは難しい。ランドリーボックスでは、自分が自分の身体の一番の理解者になりましょうというメッセージを伝えていければと思います」
「フェムテック」の進化は男性にとってもプラス
最近では、テクノロジーの力で女性たちの課題を解決しようとする「フェムテック(Femtech)」という概念が注目されているが、西本さんは、「この流れは女性だけでなく、男性にとってもいいこと」だと話す。
「生理について口にすることすらタブーという風潮の中では、女性が体調悪そうにしていたり、気持ちが不安定だったとしても、なにが原因かもわからない。それよりは『今、PMS(月経前症候群)だから体調悪いんだ』と理解してもらったほうがお互いにとってプラスですよね」
生理用品の進化はライフスタイルの変化にも紐づいていると指摘する。
「女性が生涯に経験する生理の回数って、今は平均して約400〜500回ですが、昔は50回くらいだったと言われています。平均寿命が劇的に長くなったことや、妊娠回数が少なくなったことなど様々な要因が考えられます。女性が自宅で子育てや家事をしていた時代と、外で働くようになった現代では生理に対しての捉え方が全く違います。ここまで環境が変わったのであれば、商材が変わるのは必然だと思います」

『あらゆる私に選択肢を』ランドリーボックスのキャッチコピーだ。
「こうしなきゃいけないとか、こうするべきとか押し付ける気は全くありません。まずは選択肢を知ること、その上で自分で選択していくということを目指していきたいと思います」
西本さんは今、生理が憂鬱じゃない。
「家には専用の引き出しがあって、そこには色々な生理用品が揃っています。もちろん生理がしんどい日もあるけれど、自分の予定やライフスタイルに合わせて今日はこれ使おうって選ぶのが楽しみなんですよね」