トランスジェンダーやノンバイナリーの子どもを持つ親に、同じ境遇にいる家族へのアドバイスを聞いてみました。
読みやすさのために、一部回答を編集しています。
1.「子どもがカミングアウトするときのストレスは、想像を絶するものだと思います。長い間、その秘密を抱えていたことは大変だったよね、と認めるのが第一歩です」
「過去の経験から、親は一旦感情を抑え、まずカミングアウトした子どもが感情を吐き出せる時間を作ることが重要です。私よりも、子どもの感情を優先する必要があると自分に言い聞かせました」
「いま子どもがありのままの自分をさらけだ出してくれているのだから、愛を持ってサポートするのが、親として私がすべきことだと思いました」
「子どもが生まれた時、私と夫は長い時間をかけて名前を考えました。なので、子どもが新しい名前を決めた時は正直悲しかったです。同時に、そんな感情を抱いてしまったことに罪悪感を覚えました」
「でも、間違っても出生時の名前で呼ばないよう、すごく気をつけましたね。これからも私たちの考えた名前を愛し続けるつもりですが、それ以上に子どもの選択を尊重し、新しい名前も愛していきます」
「親には話せない、子どもにはそう思ってほしくない。子どもにとって、なんでも話せる環境を作っていくことが、私と夫の目標でした。子どもは、なんでも話せる親がいて幸せだと言ってくれています」
ー匿名、19歳の子どもの親
2.「いろいろな職業や人種の人と友だちになることが大切です。子どもは、あなたが他人をどう大切にしているか、案外よく見ています」
「アライとして、家族でLGBTQ+のイベントに参加してきました。息子はトランスジェンダーです。彼は周りからの愛を感じ、私たちに受け入れられていると実感できるみたい」
「子どもたちが、なにがあっても自分は親に愛されると理解できるよう、周りの人を大切にする様子をきちんと子どもに見せてください」
3.「子どもがいつでも話せるような環境を作り、子どもの意思を尊重してください」
「『どんなことを言われても、どんなことをされても、あなたへの愛はぜったいに変わらない』と、子どもにちゃんと伝えることも大切です。友人や親戚へのカミングアウトはどうしたいか、公共のトイレではどうしたいか、親としてできることはないか、本人に聞いてみましょう」
「LGBTQコミュニティ団体の活動に参加してもいいかもしれません。社会課題の改善に努めてみるのもいいと思います」
「私たち家族は、地元の支援グループと協力して、地元の企業に働きかけて、ジェンダーに関係なく使用できるトイレの看板を寄贈する予定です。理解したいと思っていることを、態度で示すことが大事です。でも、間違ってしまうこともあります。そんな時は子どもに教えてもらいましょう」
「私の子どもは最初、ノンバイナリーとしてカミングアウトしました。その数カ月後、トランスジェンダーの女の子であることを、再びカミングアウトしました。本人が希望する呼び方で呼ぶように努め、もし間違えてしまったら子どもに修正してもらっていました」
「ありのまま自分でいようとする、勇敢で自信を持った娘を、私も夫も誇りに思っています」
ー匿名、トランスジェンダーで11歳の子どもの親
4.「協力を惜しまないで。がまん強く、共感してあげて。批判するのはやめてください。何があっても、親が『頼れる存在』であることを教えるのです」
「子どもたちは自分自身や周りの世界を理解しようとしている途中で、それだけでも大変なことです。ですから、何があっても愛していると教えてあげてください」
「LGBTQ+コミュニティを嫌う人や反対する人から色眼鏡で見られ、『子どもにそんなことさせるなんて間違ってる』と、ひどい言葉を投げかけられることもあるかもしれません。でも、そんな人たちに負けないでください」
ー匿名、17歳の子どもの親
5.「ジェンダー・ノンコンフォーミングの人が書いた本をできるだけたくさん読んでください」
ジェンダー・ノンコンフォーミングとは、典型的なジェンダー規範に当てはまらない人、規定されたくない人を広く指す言葉です。
「子どもが10代でカミングアウトしてくれた時、私の中でもっとトランスジェンダーへの理解があったら…。そう後悔しています」
「私は子どもを支えようとしましたが、理解ができなかったので、彼の気持ちをたくさん疑ってしまいました。疑うのではなく、話を聞き、理解するべきでした」
「当時、その知識があったら、性別移行のためのケアをもっと早くから受けさせてあげられたし、なにより子どもが苦しい思いをしないで済んだと思います。今彼は必要なケアを受け、幸せに暮らしています」
ー匿名、23歳の子どもの親
6.「学校の先生に相談してください!」
「呼んでほしい名前や代名詞を、他人にちゃんと伝えることも大事です。必ずしも、察してもらえる/理解されるわけではありませんから」
「何も知らない先生が、生徒が望まない名前で呼んでしまうこともあります。学校と話し合って、あなたの子どもが希望する名前で呼ばれるように、お願いしましょう」
「あとは同じような状況にいる人の本を読ませてあげてください。とても便利で役に立ちますよ!」
ー匿名、ノンバイナリーで8歳の子どもの親
7.「子どもが自分自身のアイデンティティを完全に理解するまでに、時間がかかることを理解しましょう。その度に、必要なサポートが変わることもあります」
「子どもにとってしっくりくる名前や代名詞などが変わっても、その都度対応していけばいいのです」
「子どもの振る舞いが、あなたが考えるジェンダー表現と一致していなくても、自由に服やアクセサリーを選ばせてあげましょう。男子がスカートを履いてはいけない理由はないし、女子が短い髪にできない理由もありません」
「ジェンダーに関する固定観念を押し付けるのではなく、あなたが子どもを愛していると伝えることが大事なのです」
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:久保舞菜美