見知らぬ人のうんこの話を聞くのが病的に好きだったーー。
うんこを漏らすエピソードには、どんな自分語りよりも切実感がある。そんな極上の打ち明け話を聞ける機会があれば、私はどこへでも行きたいと思う。
しかし、このほど国民の大腸健康度の向上を目指す「日本うんこ学会」が、いわゆる“うんもれエピソード”を広く募集し始めた。
応募作品の中から「面白すぎて多くの人に知ってほしい」、もしくは「これは悲しすぎてシェアしたい」といったものを出版する計画だという。
すでに集められたエピソードは日本うんこ学会のサイトに掲載されている。「ウミガメになったあの日」(48歳・女性)、「人生が終わると思った」(36歳 男性)、「ころころ」(33歳 女性)など、いかにもソソる題名が並ぶ。
なお、うんこ学会の広報を務める女性(東京都在住・32歳)から、BuzzFeedの読者に向けて以下のような“うんこエピソード”を提供してもらった。ご堪能いただきたい。

あれは私が大学4年の頃。卒業間近の休みを使って西東京に新しくできた商業施設でアルバイトをすることになりました。
アルバイト内容はいたって簡単でした。商業施設にかかってくる問い合わせ対応です。オープン3日前から同施設にて研修を課せられました。
新しく建てらてた建物ということもあり、床にはビニールシートが敷き詰めてあり、汚すなとばかりに貼り紙がされています。もちろん土足厳禁。各自スリッパを履いていたと思います。
そんな中、悪夢は突然やってきました。研修2日目だったでしょうか。他の研修者の名前を覚え始め、なんとなく仲良くなれそうな子を見つけた頃です。
テレアポ部屋の数メートル先にあるトイレで事件は起きたのです。
新施設なので、もちろんトイレもピカピカ。ウォシュレットはもちろん、音姫のサウンドもまだ生き生きとしています。そう、何もかもが新鮮でした。
颯爽と音姫を流しながら私は用を足しました。あえて書きますが、「小」ではなく「大」です。
少々便秘がちだったこともあり、時間をかけ数個の物体を排出させていただきました。そしてスッキリした顔で水を流そうとレバーを手前に引いたところ……。
あれ、無反応です。いや、ん?なんかウンコが近くなっている?
おかしい。もう一度流してみよう。
この選択が私の1日を変えてしまったのです。何も知らない私は再度レバーを引きました。
ウンコがさらに上がってきました。流れるどころか、それらは水流とともに静かに上がってきました。
「やばい……」
輩出した後のスッキリ感など一瞬で消え失せました。思考停止しそうになりましたが、迫りくるウンコは勢いを増すばかり。
そして気づけば便器から水とともに流れ出てきたウンコが足元にやってきていたのです。
「ぎゃあっっっっっ」
咄嗟の判断。というか、勝手に体が動いてしまいました。気づいたら、私は足元にやってきたウンコを右足で蹴っていました。水分が足りていないウンコは蹴り飛ばすには十分な硬さでした。
シュッツ!!!!!
水流の力もあってか蹴られたウンコはスピードをつけて滑り、下のスリットから隣の個室に吸い込まれていきました。
「や、やばい……!」
ことの重大さを理解した私はダッシュで個室から出て、手も洗わずにトイレを後にしました。数秒後、隣の個室から女性の叫び声が響き渡りました。
研修室についた私は何事もなかったかのように作業を開始しました。水気を帯びたスリッパを履いていること以外は、いつも通りの姿で。
女子「ちょっと、やばいんだけど女子トイレ……。なんか水が逆流したらしくて、とんでもないことになってるよ」
女子「マジ??やばいねソレ……。〇〇ちゃん、さっき行ってなかったっけ?」
私「ん? あーーあれマジで大変だよねー」
その日、私は3つの過ちを犯したのです。レバーを引いてしまったこと、誰かにうんこを届けてしまったこと、そして嘘をついてしまったこと。
あれから数年経っていますが、あの施設にいくことは二度とないと思います。