「見たことのない景色にチャレンジしたい」株式会社TOKIO副社長・国分太一、最近のビジネスを語る

    「これは会社ごっこじゃない」と国分氏

    株式会社TOKIOの副社長を務める国分太一氏は6月2日、セールスフォースのイベントに登壇し、同社のビジネス状況と今後の取り組みについて語った。

    株式会社TOKIOは2020年7月22日に設立。今年4月1日にホームページを開設し、本格的に事業をスタートさせた。サイトでは「代表者挨拶」や「事業コンセプト」に並び、なぜか樹木を伐採する動画が流れる。

    実はこれ、TOKIOのメンバーでもある経営メンバーたちで「名刺」を手作りする動画。

    「会社って何が必要なんだろう? そうだ、名刺だ。じゃあ名刺もつくろうと木を切って加工してつくりました。それを見てもらいたいと動画をアップしたら、たくさんの人が見てくれて、名刺交換するときも『本当にあるんですね』と言ってもらえました」

    国分氏は持参した名刺を取り出しながら語る。

    正面から見ると木目調のデザインの普通の名刺に見えるが、横から見るとかなり分厚い。

    「けっこう厚いんですよね。薄くすると割れるのでこんな厚さになりました。想定とは違うところにいったけど、これも僕ららしいかなと」

    名刺交換するとこれ1枚で相手の名刺入れがパンパンになってしまうらしい。非常にインパクトのある自己紹介になりそうだ。

    4月1日はホームページの開設だけではなく、SNSアカウントの運用もスタートし、さらには新聞広告も出した。

    「ご挨拶も大事だろうと、4月1日に出させてもらいました。経済新聞さんもすごく忙しい日だと思うんですけど、すごく多くの人の目にとまり、反響を感じました」

    そんなTOKIOの会社としての代表的な実績はフマキラーのCMだ。

    会社のメンバーがイメージキャラクターとして起用された新しいテレビCMが4月から放映された。このCM、クリエイティブディレクターを国分氏が担当し、企画立案から楽曲制作まで手掛けたという。

    会社ページには「事業記録」として、このときのプレゼン資料まで公開されている

    「フマキラーさんにはTOKIOが5人の頃からお世話になっていました。それが4人になっても、3人になってもお声がけいただいた。今回は初めての挑戦。人生初のプレゼンでした。企画書もつくって、リモートで緊張しながらやりました。素人なりに熱と想いだけはしっかりと伝えたいと思い、プレゼン資料はすべて公開しています」

    資料ではフマキラーの強みである研究開発や独自技術のほか、さらには数百万匹の虫を飼育していることや、その他知られざるギャップについて触れ、それを社会に伝えるための施策が提案されている。

    「これは会社ごっこじゃない」と国分氏は話す。

    「誰かにやってもらってんじゃないの?っていう見え方ではなく、真剣にこういうこともやっていると見てもらいたかった。汗をかいて手を動かして、というのがTOKIOの理念なので」

    今回のCMテーマは #なんで伝わらないんだ です。 これはフマキラーさんとの会議で出た言葉です。 太一さんは「24年間CMを担当させてもらっているのに、フマキラーの良いところをきちんと伝えきれてないのは自分たちの力不足だ。もっと力になれる方法はないか」と移動中もずっと考えてました。

    Twitter: @tokioinc_2021

    ただ、音楽活動・タレント活動と企業相手のクリエティブ製作においては「やり方はあまりかわっていない」。今後は「タッグを組む企業さんのことをもっと考えたないといけないんだろうな」と話す。

    企画書はまずノートに書き留めてパソコンで資料化した。

    「僕はパソコンでいろいろつくるのがめちゃくちゃ遅いんです。去年からはじめたくらい。だからノートに書く作業がすごく増えました。このノート、今年の1月に使い始めたんですけど、(後半のページを指して)もうここまでいきました」

    イベントでは、一緒に登壇した他社が行っている「1on1」という取り組みについて、興味を持って聞いていた。

    これはいわゆる上司・部下の面談のことで、毎週30分、1対1で話をする。ルールとしては上司が話すのは30%、残りの70%は部下が話すこととされている。

    こういう面談の場ではだいたい上司が勢いよく話しがちだ。「国分さんにもそういう先輩がいたのでは?」と振られると、しばらく考え込み「んーなんとも言えない」と絞り出したが、すぐに「自分がそうなっている可能性もありますね」と自省した。

    最後には「でも部下の方の幸福度も上がりそう」と株式会社TOKIOでも導入に前向きな姿勢を見せた。

    今年に入ってまだコロナ禍は続く。終わりの見えない緊急事態宣言のなか、世の中には停滞した雰囲気が漂う。どんなふうに日本に元気を呼び込みたいか? 問われた国分氏はこう話した。

    「見たことのない景色にチャレンジしたい。いま46歳ですけど、チャレンジって年齢がいけば当然怖いことです。でもそれをワクワクした気持ちにかえていけば明るくなれる。失敗しても笑える」

    具体的には協業募集という形でTOKIOと一緒に仕事をする企業を募集している。

    「いろんな企業と話す機会も増え、同時に『共創』という言葉を聞くことが増えました。知らない言葉でしたが、自分たちのやりたいことといまの時代の共創というワードがたまたま合致したところがあります。あるいは必然だったのかもしれません。チームとして、いろんな人を巻き込んで、1つの会社ではなはく、たくさんの人たちと腕を組んで前に進んでいきたいです」

    「会社としてはド素人だから」と語る国分氏は、最後にこう呼びかけた。

    「TOKIOって危なっかしいな、こうしたほうがいいんじゃないかな、というアドバイスで成長していけたらワクワクにつながるかもしれない。僕らはリアル・ロールプレイングゲームです。SNSとかで応援してもらえたら嬉しいです」