今年ヒットしたマンガはこれ! 年末に読みたい名作たちを振り返る

    話題になった作品、どれだけ読んだ?

    マンガ選びのプロに、2018年に話題になったヒット作を聞いてみた。

    漫画アプリ「マンガトリガー」で編集長を務める小禄卓也さんに、年末年始に読んでおきたい話題の10作品を聞いてみました。

    1. 世の中の不動産屋は嘘ばかり?学べておもしろい業界漫画「正直不動産

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    業績一位を走り続ける不動産営業マンが、突然本当のことしか言えなくなってしまい、家が売れなくなってしまい正直トークで挽回を試みるという衝撃作。

    この漫画が受けるということは、「不動産営業=お客を騙す」という感覚を少なくない人たちが持っていたということで、その心理を突いた設定が衝撃的でした。

    「学習マンガ」というジャンルが確立されつつある昨今ですが、ちゃんと人生に活かせて、かつ物語としてもちゃんとおもしろいと思える稀有な作品です。

    家の購入を検討したり、引っ越しを考えている方は、読んでみるといいのでは。

    2. 祝映画化!人を殺さない殺し屋の日常「ザ・ファブル

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    映画化もされ漫画も注目度が高まってきているのでご存知の方も多いかと思いますが、独断と偏見でいま一番おもしろい青年漫画と言っても過言ではないのがこの『ザ・ファブル』です。

    伝説の殺し屋・ファブルとして裏社会で知らぬ者がいない男が、「一年間人を殺すな」と命令され、知り合いのヤクザ監視のもとカタギとして生活することになる。そんな状況下に置いて何も起こらないわけがないですよね。

    この設定だけで白飯8杯くらいはイケます。

    3. そこに共感がなくても、共に生きられる「違国日記

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    事故で両親を亡くした15歳の女の子が、母親の妹の小説家の家に居候する漫画。

    僕たちの生きる社会に無意識に植えつけられている「こうあるべき」という姿がいかに生きづらくしているのかが浮き彫りになり、心に深く突き刺さります。

    ドライに見えて温かい関係性を描くのが上手なヤマシタトモコ先生らしさが爆発しているのも大きな魅力。

    「家族」や「絆」といったテーマがトレンドな中で、『違国日記』は群を抜いておもしろいので絶対に絶対に読んでもらいたい作品です。

    4. 死とはかくも美しい…個人的今年ナンバーワン「銀河の死なない子供たちへ

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    不老不死の姉と弟、謎の母親、そして人間の子が織りなす、切なくて哀しくて、それでいて晴れやかな気持ちになれる物語です。

    広い惑星の中で一人死ねない(生き続けなければいけない)ことが、どれほど孤独なのか。そして、「死」という事象がどれほど尊く美しいことなのか。この漫画を読めば、その気持ちが分かるような気がします。

    ポップかつファンシーな絵柄とは裏腹に、徐々にシリアスな方向に引き込まれていく様はさすが施川ユウキ先生の一言。

    物語の運び方も、一つひとつの言葉も、シンプルで力強い。個人的な今年ナンバーワンヒット作品です。

    5. アニメ化したら声優はやっぱり岸谷五朗「もっこり半兵衛

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    「ジャングルの王者ターちゃん」、「狂四郎2040」の作者・徳弘正也先生が描くもっこり時代劇漫画。

    「時代劇は売れない」と言われ、どの雑誌にも掲載されることがないまま一巻が発売され、掲載されたグランドジャンプでは読者アンケート1位を獲得し、「このマンガがすごい!2019」のオトコ編第25位にランクインした実力派漫画でもあります。

    まっすぐな優しさと強さとすけべさを持つ主人公を描かせたら、徳弘先生の右に出る者はいません。随所に下ネタが散りばめられる徳弘先生らしさを残しつつも、とても心にグッとくる、純粋な気持ちに戻れる名作です。

    6. Kindle1位獲得!伝説のWeb漫画が奇跡の電子書籍化「オナニーマスター黒沢

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    2013年にニコニコ静画で連載していた伝説的Web漫画が、今年始めて電子書籍として発売されました。

    「タイトルで損している漫画オブ・ザ・イヤー」として名高い(?)本作ですが、一度騙されたと思って読んでみてください。

    読み終えた後、誰もが口を揃えて「あぁ、このタイトルしかねーわ最高」と言うくらい、タイトルと中身がマッチしています。

    騙されたと思って一度読んでみてください。青春をこじらせたすべての人に刺さる名作です。

    7. 平成最後のアラサー女子ドロップアウト物語「凪のお暇

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    「違国日記」と同様に、非常に現代社会を象徴する作品です。

    どこにでもいそうなアラサーOL・凪は突然サクッと職場を辞め、何のあてもなく一人暮らしを始めます。

    「女は◯◯であるべき」「◯◯してはいけない」といったロジックなき抑圧から解放され、彩り始める彼女の生活に、読んでいる僕たちの心も不思議と軽くなります。

    「もっと自由に、もっと地に足つけて生きたい」という、できそうでできない人生を一歩ずつ歩み始める凪の姿に勇気をもらえます。

    8. ストーカー漫画も極まればこうなる。行こう、恐怖の向こう側へ…「ホームルーム

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    コミックデイズという、講談社の漫画アプリで今年連載が始まった本作は、ただただ戦慄が走ります。

    学校内でいじめを受ける女子高生・幸子。その度に助けてくれるのは、担任の愛田先生だった。

    愛田先生は犯人探しに奔走するも、一向に見つからない。それもそのはず、いじめの犯人は愛田先生本人だったのだ…!?

    と、ここまでネタバレしても、あなたは必ず戦慄します。そして、一癖も二癖もある登場人物たちの憎めないコミカルさにくすっと笑うでしょう。新時代のストーカー漫画をぜひお楽しみあれ。

    9. 「HUNTER×HUNTER」好きは必読!処女作とは思えない物語の完成度「呪術廻戦

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    90年代の黄金期を支えた作品が次々完結する中、10年代に生まれた作品がどんどん花開いている週刊少年ジャンプで僕が今一番おもしろいと思うのが『呪術廻戦』です。

    人間の負の感情が「呪い」となり、人を死へと導く世界でその呪いに立ち向かうダークファンタジー。この漫画、重要そうな人があっさり死にます。主人公も死にます。

    「一度人を殺したら 『殺す』って選択肢が 俺の生活に入り込むと思うんだ」という主人公の胸を打つセリフの直後に残酷な状況が訪れる無慈悲さに、冨樫義博イズムを感じます。

    10. 静かな夜に読みたい、インディペンデントな香り漂う文学的短編集「電話・睡眠・音楽

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    いま、カルチャー誌がこぞって特集をする気鋭・川勝徳重先生の短編集。

    「トーチweb」で掲載されていた、34歳女性がクラブに向かい、その場で寝落ちした後朝帰りするまでを淡々と描いた表題作を読んだ瞬間、その情景のあまりの生々しさに言葉が出ませんでした。

    大衆向け漫画にはない作品の魅力もさることながら、文化としてガロの空気をまとった作品が描き継がれることにも、漫画の懐の深さを感じます。

    あらためて、選んでくれたのはこの人。

    今年個人的に面白かった新刊マンガTop3 ※担当作除く 1.『銀河の死なない子供たちへ』(上下) 2.『違国日記』(既刊3巻) 3.『青のフラッグ』(既刊5巻) じわじわおもろなる作品は多くあれど、読後の衝撃と昂りを覚えたのはこの三つ。その衝撃と昂りは夜更け過ぎに感動へと変わる。 #俺マン2018

    “漫画のセレクトショップ”がコンセプトの漫画アプリ「マンガトリガー」を運営する株式会社ナンバーナイン小禄卓也さんです。

    よかったら2017年版もチェックしてみてください。

    2017年ヒットしたマンガはこれ! 年末に読みたい名作を振り返る