
突然ですが、新潟には「イタリアン」と呼ばれる焼きそばにミートソースをかけた食べ物があるらしい、という情報がBuzzFeed読者から寄せられた。
「太麺焼きそばのようなモノにトマトソースがかかっていて、新潟市民で知らない人はいない。不思議な組み合わせだが、クセになる味」(新潟のピンキィさん)
は? 焼きそばにミートソース?
「そんなの絶対に別々に食べたほうが美味いだろ」などと思いつつ、取材に向かった。

東京駅から約2時間。イタリアンについていろいろと調べていたら新潟駅についた。
新潟は意外と近い。
短時間でググってわかったことはこんな感じだ。
・新潟市を中心にチェーン展開する「みかづき」というレストランが発祥
・その後「フレンド」というチェーン店も長岡市でイタリアンを展開
・いずれも大型スーパーや駅等のフードコートを中心に出店
・現在、新潟県外でイタリアンを食べることは難しい
というわけで新潟駅近くにある、イタリアン元祖の「みかづき」に行ってみることにした。

ここは駅から徒歩10分ほどのところ、万代シティのバスセンタービル2Fにあるみかづき 万代店だ。
店頭にあるソフトクリームのオブジェ、立て掛けられたメニュー看板、大量に並ぶガチャガチャのマシーン。
なんだかホッとする店構えだ。

なんとなくだけど、子供の頃、母親に連れ行ってもらったダイエーの1階フードコートに入っていたドムドムバーガーを思い出した。
そしてメニューを見て、驚いた。
イタリアン、むちゃくちゃ安いぞ。

基本メニューのイタリアンは350円だし、トッピングが施された特別なイタリアンもだいたいが450円だ。
焼きそばにさまざまなパスタソースがかかった料理なのに、こんなに安いとは。
夏限定メニューの「夏野菜のイタリアン」「シーフードカレーイタリアン」にも惹かれるけど…

まずはふつうのイタリアンを注文。

注文を受けてから調理してくれるらしく、数分待って出てきた。
焼きそばの香ばしいソースの香りに、ミートソースのほのかに甘い香りがふんわりと漂ってくるーー。
いざ実物のイタリアンを目にすると、この組み合わせの意外な相性の良さを感じざるを得ない。
やや小ぶりの器に盛られており、なるほど、これならおやつ感覚で楽しめそうだ。

しかもお皿の端に盛り付けてある白いものは刻んだ生姜だ。

焼きそば、ミートソース、生姜。
もうわけわかんないけど、すでに「別々に食べたほうが美味いだろ」なんていう疑いは消えている。
これは間違いなく美味いはず。
人生初の「イタリアン」を、食べてみます。



はい、うまい。
もうむちゃくちゃに美味い。
なんなんだ、この最高の食べものは。
はっきり言って、期待を遥かに上回るおいしさだった。
まずベースの焼きそば自体が素晴らしいのだ。
麺はやや太めのもちもち食感。甘めのソース味ともやしの絶妙なシャキシャキ感とあいまって非常に完成度が高い。
そしてイタリアンの特徴であるパスタソースが焼きそばの魅力を数段引き上げている。
焼きそばとこのミートソースがこんなに合うなんて…。やや味の濃いソースに焼きそばの麺が負けていない。このソースのためにある麺だ。
これが380円だって…?

信じられないうまさである。
無心で食べ続けた。あっという間に食べ終わってしまった。

「ああ、もう1皿食べたい」
イタリアンを食べ終わった瞬間に、次のイタリアンを欲している。
イタリアンはすごい。新潟の人はこんな素晴らしいローカルフードに恵まれていたのか……。

ただ一回冷静になってみようと思う。
新幹線から降りてすぐに食べたから、なんというか、「旅をしてる感じ」に味覚がやられていただけかもしれない。
ホテルにチェックインして、心を落ち着かせることにした。
あとスタバの新潟限定フラペチーノが大変美味しかった。

「新潟 ばっかいい柿の種 チョコレート フラペチーノ」である。ダークなチョコーレートの甘みに、砕いた柿の種のほどよい塩気が加わり、クッキーっぽい食感も最高。
新潟、すげえな。
で、翌日。またもみかづき。

正直、朝起きた瞬間から頭の中はイタリアンでいっぱいだった。オープンの10時ぴったりに入店した。
気になりすぎて夢に出てきた「シーフードカレーイタリアン」を注文。

エビとかイカが入ったカレーソースがどっさりとかかっているのに、430円。

いただきます…!



うますぎるー!!!
ちょっと甘いカレーソースが焼きそばにしっかりとからまってむちゃくちゃうまい。
最高のランチであり、おやつ。
ザ・軽食の最高峰。
もうイタリアンのとりこだよ…。

これはもう松屋に期間限定メニューとして全国販売してほしいレベル。ジョージアのシュクメルリがあるんだから新潟のイタリアンがあってもいいじゃない!
すき家は「イタリアン牛丼」をつくってくれよ!
ここで新潟名物「イタリアン」について深堀りしてみよう。
みかづきのサイト「イタリアンて何?」によれば、イタリアンは1960年に新潟市の繁華街・古町にあった甘味処「三日月」がつくりはじめたそうです。
そのレシピについては「自家製太麺とキャベツ・もやしを特製ソースで炒め、粉チーズで味付け。白生姜を添え、特製トマトソースをかけて提供しています」と説明しています。
あのモチモチの焼きそば麺は自家製。「時間が経っても伸びにくい麺にしたいということで試行錯誤の末、現在のような形と太さの麺になった」そうです。パスタソースの甘味の正体は「玉葱をじっくりと炒めた<甘さ>」でした。
ではイタリアンはどうやって生まれたのか? 当時、箱根の「商業会セミナー」に参加していたみかづき創業者・三日月晴三が、その帰りに東京のお店も視察したことがきっかけでした。
もともとみかづきでも軽食を出したかったこと、浅草のもんじゃ焼き店で「ソース焼きそば」が流行していたことなどから、焼きそばを軽食メニューに取り入れることにしました。
しかし、「普通の焼きそばでは面白くない」と考え、ここで初めて『ミートソースと粉チーズをかけて、フォークで食べる』というスパゲティ風のオリジナル焼きそばを考案したのです。
みかづきさんにも話を聞きました。
お答えいただいたのは、株式会社みかづき営業部長の小林厚志さんです。
ーー新潟の方はイタリアンをどんなふうに楽しんでいるのですか?
小林さん:ランチが圧倒的に多いです。ここ1〜2年はコロナで飲食業は大変ですが、私どもはずいぶん昔からイタリアンのテイクアウトもやっていましたので、変わらずお客様にご利用いただいています。
ーーサイズは小ぶりで食べやすいですよね。
小林さん:そうなんです。もともと喫茶店の軽食メニューだったので、重たくない。気軽に食べられるファーストフードとしておやつ的に売っていました。
ーー特に焼きそばがモチモチで美味しかったです。
小林さん:ありがとうございます。麺の食感、固さはいろいろな要素で変わります。小麦粉はどの銘柄を使うか、かんすいはどんな割合にするか、その割合が良かったのだと思います。
ただし同じ割合にしても作業場の室温で違ってきます。麺をつくるときの水質や水温なども関わってくるので、実は同じみかづきでも夏と冬で麺が全然違います。食べ比べてみるとわかるかもしれません。
ーー新潟以外の場所でイタリアンを食べることはできるのでしょうか。
小林さん:私どものお店は新潟県のみになっています。通販で「冷凍イタリアン」もあるのですが、お店の作りたての味にはかないません。ぜひお店にいらしていただければと思います。
ーーイタリアンは美味しいのに350円と安い。
小林さん:一番大きいのは会社運営にコストかけないようにしているからです。他の経費を減らしてローコスト運営をすることで商品を安くできるようにしています。
ーーみかづきさん一押しのメニューとトッピングの組み合わせなどはありますか。
小林さん:焼きそばはどの商品も共通ですが、シーズンごとに新メニューを発売していて、反響のないものは消えていきます。なので現在残っているメニューは一定の評価があるわけです。
やっぱり一番というなら、元祖のイタリアンです。1960年からずっと販売していますし、これが一番おすすめです。
とんがってはいないし、熱狂的なファンはいないですが、一度食べてから2週間もたつとまた食べたくなるという嬉しい声をよく聞きます。ありがたいですね。
小林さんの仰るとおり、やっぱりこの基本のイタリアンが至高。

イタリアンの本場は新潟にあったーー。
新潟市には今回食べに行ったみかづきの店舗がたくさんあります。長岡市には「フレンド」というお店がチェーン展開しています。
もし新潟市〜長岡市方面を訪れることがあったら、ぜひ「本場のイタリアン」に挑戦してみてください。また、みかづきでは冷凍イタリアンのお取り寄せもやっています。
※新型コロナウイルスの影響により、施設・店舗の営業内容が一時的に変更・休止となる場合がございます。最新情報は施設・店舗にご確認いただくとともに、お出かけの際は感染対策にご配慮をお願いします。
全国のグルメな情報を配信中!
