• medicaljp badge

雨つゆに濡れる人にそっと傘を差し出すように 今夜泊まる場所がない人を支援する基金を設立

様々な理由で今夜泊まる場所がない人に宿泊費を支援する「東京アンブレラ基金」が設立されます。運営代表者の稲葉剛さんに、狙いを伺いました。

難民、路上生活者、家に居場所がない女の子たちーー。東京では何らかの理由で今夜、泊まるところがない人が心細い思いで街をさまよっている。

そんな人たちを支援している民間の8団体が連携して3月28日、当面の宿泊費を補助する「東京アンブレラ基金」を作るためのクラウドファンディングを始めた。

「今夜、雨つゆに濡れて途方にくれている人に、そっと傘を差し出すという意味を込めているんです。世代や国籍やSOGI(性的指向・性自認)などを超えて、どんな人でも人間らしく生きていける街を作りたい」

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

「東京アンブレラ基金」を作るためのクラウドファンディングを始めた稲葉剛さん

基金の運営代表者で、一般社団法人「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛さん(49)に設立の狙いなどを伺った。

合言葉は「誰も路頭に迷わせない東京へ」 8団体が連携

バブル崩壊後の1994年から、生活困窮者の支援活動をしてきた稲葉さん。

2014年7月に空き家を利用して個室型のシェルターを作る「つくろい東京ファンド」を設立し、主にホームレスの人の受け入れを進めてきた。

「ところが、藁にもすがる思いで相談に来てくださったのに、シェルターが満室で断らざるを得ないこともあるんです。路上で待っていてもらうしかないこともあり、どうしたらいいのか悩んでいました」

聞くと、難民や若者、子供、LGBTなど様々な分野で、生活に困っている人を支援している他の民間団体も同じような悩みを抱えているらしい。

8団体が連携して東京アンブレラ基金を設立

東京アンブレラ基金

今回連携する8団体の代表者ら。難民、路上生活者、女の子、LGBT、子ども、原発避難者など、様々な分野の支援団体が集まった

ホームレス支援をしている「NPO法人TENOHASHI」はシェルターが満室の時は路上で待っていてもらうが、病気や障害で路上での生活が難しい場合はネットカフェの費用などを工面して泊まってもらう。

家に居場所がなく、繁華街をさまよう女の子を支援している「一般社団法人Colabo」は、深夜でシェルターへの移動が難しい時は近くのホテルに宿泊してもらう。

「費用は各団体の持ち出しですし、最近の外国人観光客の増加で東京のホテル代は高騰して団体の運営費を圧迫しているようです。なんとか団体の枠を越えて助け合う仕組みを作れないかと、基金を考えました」

「東京アンブレラ基金」の合言葉は「誰も路頭に迷わせない東京へ」。緊急に宿泊支援を必要とする人に、支援団体を通じて1人4泊まで、1泊あたり3000円を支援する。つくろい東京ファンドの他、7団体が参加することになった。

制度のすきまに落ちている人を手弁当で支援

参加団体のうちの一つが、「認定NPO法人難民支援協会」だ。稲葉さんが聞いた話を紹介しよう。

政情不安の続くコンゴで迫害を受け、日本に逃れて来た30代のシャバニさんは、持ち金が3000円になった頃、同協会にたどり着いた。シェルターは既に満室。難民申請を待つ間の外務省の公的支援「保護費」を申請したが、受給できるまで平均40日かかる。

シェルターが空くまでの3週間は、協会が費用を負担し、ネットカフェや24時間営業のファストフード店で寝泊まりしてしのいだ。

「あんな生活はしたことがない。体もきつかったが気持ちもきつかった」とシャバニさんは振り返る。

同協会によると、タイムリーに公的な生活費の支援が受けられない難民はホームレスになることが多い。路上で待機してもらうこともあるが、未成年や一人で逃れてきた女性、トラウマや病気を抱えた人はそうもいかず、持ち出しで宿泊費を支援することになる。

2018年12月から2019年2月までの3か月で35人の難民に、シェルターの提供やネットカフェやホテルの費用を支援したという。

稲葉さんは、「難民支援に限らず、公的な制度のすき間に落ちてしまった人を我々民間の支援団体が手弁当で助けているのが現状です」と語る。

「貧困問題」という共通の困りごとで手をつなぐ

東京アンブレラ基金

つくろい東京ファンドの他、参加するのは以下の7団体。

  • NPO法人TENOHASHI(路上生活者支援)
  • 一般社団法人Colabo(若い女性支援)
  • 認定NPO法人難民支援協会(難民支援)
  • LGBTのハウジングファーストを考える会・東京(LGBTの生活困窮)
  • NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク(子ども支援)
  • 避難の協同センター(原発避難者支援)
  • NPO法人人身取引被害者サポートセンターライトハウス(人身取引被害者支援)


クラウドファンディングの当面の目標額は1年間の資金200万円で、のべ600泊分の支援が可能になる額だ。

稲葉さんはこう語りかける。

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

支援を呼びかける稲葉さん

「貧困が問題視されるようになって10年たち、様々な分野で貧困問題があることが可視化されてくると、『外国人が生活保護を悪用するからホームレス支援ができない』と悪質なデマが出回ったり、『子どもの貧困を救うために高齢者の社会保障費を削れ』と特定の属性を攻撃したりして、ともすれば分断が始まります」

「どんな人でも健康で文化的な最低限の生活を営める街が、誰にとっても安心して暮らせる街のはずです。 東京を分断を越えて誰もが人間らしく生きていける街にするために、ぜひ力をお貸しください」

クラウドファンディングはこちら「今夜、行き場のない人」を路頭に迷わせないため、団体の枠を越えた基金を作りたい!」

Contact Naoko Iwanaga at naoko.iwanaga@buzzfeed.com.

Got a confidential tip? Submit it here