• medicaljp badge

「優しさのワクチンで未来の命を守って」 風疹ワクチンの無料クーポンを周知するためにチャリティーTシャツを販売

風疹の流行の中心となっている中年男性が、公費で検査や予防接種が受けられる無料クーポンが知られていないことから、「風疹をなくそうの会『hand in hand』」が企業とコラボして、チャリティーTシャツを販売しています。無料クーポンを周知するチラシを作るために。

新型コロナウイルスが連日話題となっているが、風疹の流行も大きな問題だ。

大人がかかると重症化するだけでなく、妊娠早期に感染すると赤ちゃんの目や耳や心臓に障害が残る「先天性風疹症候群」をもたらす可能性がある。

ワクチンの接種を受けておらず国内で流行の中心となっているのは、40〜50代の中年男性だ。しかし、こうした人々対象に公費で検査や予防接種が受けられるようにした無料クーポンが、あまり使われていない。

だが、流行の中心となっている中年男性が公費で検査や予防接種が受けられる無料クーポンがあまり使われていない。

この無料クーポンを広めるために、先天性風疹症候群の患者と親で作る「風疹をなくそうの会『hand in hand』」は、ファッションでチャリティ活動を支援する「JAMMIN」とコラボして、1週間限定でチャリティーTシャツを販売している。

打ち上げの一部が無料クーポンを周知するチラシの印刷する資金となる。販売は3月2日午前0時まで。

公費で中年男性に無料クーポンを配るものの...利用は低迷

hand in hand共同代表の可児佳代さんは、妊娠中に感染した風疹の影響で先天性風疹症候群(CRS)を持って生まれた長女の妙子さんを、2001年、18歳で失った

自分や娘のような思いを二度とさせたくないと、風疹予防のための啓発活動を続けて国を動かし、ワクチン不徹底世代の中年男性に、公費で免疫の有無を調べる検査と予防接種を受けられる追加対策を導入させた。

2019年度から3年間限定で、1962 年4月2日から1979 年4月1日までの間に生まれた男性を対象に、自治体から無料クーポン券を送る対策を行なっているが、利用率は低迷している。

「なんとか無料クーポンがあること、それで防げる病気があることを広く知ってもらえないか」

そんな思いに賛同した企業「JAMMIN」が協力することになった。

プレゼントの箱の中から「知識」を花言葉にするオリーブの木

JAMMINは、市民団体とコラボして、毎週「1週間限定」でオリジナルデザインが入ったTシャツやパーカーなどを販売し、打ち上げの一部を団体に寄付している会社だ。これまで297団体を支援し、4242万円の寄付を届けてきた。

企画や団体を取材した記事の執筆を担当している同社の山本めぐみさんは、「この話が持ち込まれるまで、先天性風疹症候群のことやワクチンでそれが防げることを知らなかった」と話す。

今回のデザインは、「知識」が花言葉のオリーブの木が、プレゼントの箱の中から出ているものにした。「YOUR Knowledge MAKES SOMEONE SMILE(あなたの知識が、誰かを笑顔にする)」というメッセージを添えてある。

このデザインに込めた思いを山本さんはこう語る。

「目の前にできることがあるのに、知らないせいで行動に移せない。風疹のことを知って予防接種を受けるというアクションが、誰かへのギフトにつながるというメッセージを表現しました」

hand in handの歩みと願いを綴った記事も公開し、チャリティーを行いながら知識や思いを伝えようとしている。

「いつか娘とまた会う日まで、風疹を二度と流行らせない」。風疹で娘を失ったある母親の挑戦〜風疹をなくそうの会『hand in hand』

「優しさのワクチンで未来の命を守って」

これまで手弁当で会の活動を続けてきた可児さんは、「チャリティーもありがたいのですが、この活動を通じて、無料クーポン券があることをなんとか一般の人に知ってもらいたいのです。対象となる人に教えてあげてほしいし、もしなくしたとしても再発行できます。どうか使ってほしいのです」と訴える。

そして、こう呼びかける。

「新型コロナウイルスはワクチンがありませんが、風疹は感染を防ぐワクチンがあるのです。自分もかからず人にもうつさないための優しさのワクチンを知ってもらい、みんなで未来の命を守ってください」