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最優秀賞は「ブラザー工業」に 上手な医療のかかり方アワード

上手な医療のかかり方アワードの初代最優秀賞は、従業員ががん治療や不妊治療と仕事を両立しやすい制度を作り、体調不良やけがの時の対処法も社内で徹底しているブラザー工業に決まりました。

上手な医療のかかり方を広めるキャンペーンを繰り広げている厚生労働省は3月2日、「第1回上手な医療のかかり方アワード」の初代厚生労働大臣賞(最優秀賞)に「ブラザー工業株式会社」を選出し、表彰した。

ブラザー工業は「病気の治療と仕事の両立」「不妊治療と仕事の両立」など様々な社内ガイドラインを作り、職場で急病やけがが発生した時の対応マニュアルを職場に掲示するなど、社員が平日日中も医療にかかりやすい様々な仕組みを作っていることが評価された。

他に12団体が優秀賞として選ばれた。79件応募があった。

審査員長「当事者が参加できる動機付けの工夫を評価」

審査委員長はがん患者が病院以外で集える場所、「マギーズ東京」のセンター長の秋山正子さんが務めた。

秋山さんは、「それぞれの立場で具体的な提案ができ、実行可能なもので他者のモデルとしても参考になるものを選びました。健康増進に目を向け、医療資源を適切に利用するにはどうしたらいいか。医療者目線に終始するのではなく、当事者の参加が得られるように動機付けをする工夫が随所に見られました」と審査のポイントを解説。

その上で、

「小さな職域、地域でも地道に活動してきたところを評価しています。ブラザー工業はこれまでの地道な努力の積み重ねの上に病気であっても安心して働ける職場環境づくり、特にがんと共に歩む人や不妊治療を受けている人にも目を向け、両立支援に力を入れている点が票を多く獲得しました」と講評した。

夜間や休日に急に具合が悪くなった時にかかるべきなのか、どこにかかればいいのかわからない、という不安が救急受診の増加を招いている。また平日日中は仕事のため、受診できない人も多い。

夜間や休日の救急受診では満足な医療を受けられなかったり、一刻を争う重病人が後回しになったりしている。医療従事者の過重労働も深刻だ。

このように危機に晒されている医療やこれからも安心して医療を受けられる環境をみんなで守ろうと、「上手な医療のかかり方」を広める取り組みが進められている。

上手な医療のかかり方アワードは、上手な医療のかかり方を推進しようと先進的に取り組んでいる企業や団体を表彰して、みんながその工夫を活用できるようにと作られた。

医政局長賞(優秀賞・特別賞)は12事業者・団体に

そのほかの医政局長賞(優秀賞)受賞団体は以下の通り。

【保険者部門】

「ダスキン健康保険組合」(緊急時、困った時の相談窓口を周知)

「全国土木建築国民健康保険組合」(多剤処方対象者への情報提供)

【医療関係者部門】

「飯塚病院」(筑豊地域医療サポーター養成制度)

「横須賀市立うわまち病院」(「上手な小児科のかかり方」市民講座開催)

【企業部門】

「株式会社タニタハウジングウェア」(健康企業宣言・休暇制度の充実・心の健康対策・体の健康づくり支援)

「日本航空株式会社」(JALグループ健康推進プロジェクト「JAL Wellness2020」の取り組み)

【民間団体部門】

「たかはま地域医療サポーターの会」(医療ー行政ー住民の架け橋を目指した地域医療を守り育てる住民活動・10年の軌跡)

「NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会」(「ワクチンデビューは生後2か月の誕生日」効果的・効率的な予防接種スケジュール啓発)

【自治体部門】

「宮崎県延岡市」(全国市町村”初”『延岡市の地域医療を守る条例』を旗印とした取り組み)

「県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議」(推進会議の取り組み)

【チラシ部門】

「パナソニック健康保険組合」(広報誌「けんぽニュース」を通じて適切な受診方法を周知)

「練馬区医療環境整備課」(「医療のかかり方ミニガイド」の発行)

筆者の岩永直子は、上手な医療のかかり方を広めるための懇談会に参加した構成員で、今年度も引き続き、懇談会で決めたことが適切に実行されるか推進委員を務めました。謝金は辞退し、何のしがらみもなく、自由に取り組みを報じていきます。