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「9価ワクチンの定期接種化をチャンスに」 HPVワクチン推進議連、接種率アップの方策を議論

自民党のHPVワクチン推進議員連盟が開かれ、より効果の高い9価ワクチンが4月から定期接種化されるのを機会に接種率を上げる方策が議論されました。

自民党のHPVワクチン推進議員連盟(会長=田村憲久・衆議院議員)が3月9日、開かれ、今年4月からより効果の高い9価ワクチンが定期接種で使われるようになるのを受け、接種率を上げる方策について議論された。

田村会長は冒頭、「9価ワクチンがいよいよ4月から定期接種に向かっていく。15歳未満は2回でいい。これを大きくPRしながら、まだ接種率が戻っていないので、しっかり接種いただくことが重要になってくる」と挨拶した。

積極的勧奨が再開しても...推定接種率は6%程度

講演した大阪大学産科学婦人科学講師の上田豊さんは、積極的勧奨が再開されたものの、定期接種もキャッチアップ接種も昨年4〜9月の推定接種率は約6%程度にとどまっていると説明した。

その上で、「積極的勧奨が再開され、キャッチアップ接種が行われていますが、接種率が低迷してしまうと実効性が伴わない。やはり以前うたれていた7割、8割の接種率に戻すことが真の再開ではないか」と訴えた。

4月から9価ワクチンも定期接種に 2回接種も承認

厚生労働省は今年4月から定期接種化される9価ワクチンについて、9〜15歳未満は少なくとも5ヶ月以上(通常6ヶ月以上)の間隔をおけば、これまでの3回接種から2回接種も可能とすることを報告。

さらに、これまで定期接種やキャッチアップ接種で3回中、1、2回まで2価、4価ワクチンを接種した人も、残りは9価ワクチンに変えて接種できるようにしたことを説明した。

接種回数が少なければ副反応の恐れもその分減り、接種する女子の負担も減る。また、より多くの人にワクチンが行き渡るメリットがある。

文科省「学校現場で周知を」厚労省「Twitterなどでも広報を」

接種率低迷に対して、文部科学省健康教育課長は、「保護者が必要な情報を入手して判断する環境作りが重要」として、「文科省としても必要な情報の提供を行い、学校現場に周知を図っていただくようお願いしている」と説明した。

厚労省の担当者は、「データをきちんと示すことはもちろん、いろんな媒体を使うことが大事だと考えている。従来あまりやってこなかったTwitterやSNS等も活用しながら若い方、若い方の保護者に届くように発信の方法についても検討したい」と話した。

キャッチアップ接種世代「手続きの面倒さを無くして」

HPVワクチンの啓発活動を進めている医学生の団体「Vcan」のメンバーの女性は、中高生に出張授業を行うことで接種した女子が増えていることを紹介し、「HPVワクチンについてお知らせするだけでなく、必要性についてしっかり届ける必要がある」と語った。

大学生も当事者である「キャッチアップ接種」については、手続きの煩雑さが接種を遠ざけていると訴えた。

「大学生は住民票がある場所でしかうてないと思っている人も多く、償還払いなどの手続きの面倒くささからうっていないのが現状。その面倒臭さをどうにか排除していただけたらと思うのと同時に、有効性を理解してもらえれば接種率も上がると思うので、その周知もお願いしたい」

またうち逃した人が多いキャッチアップ世代については、検診の受診率の向上に向けて対策を打つよう要望した。

夏休み前に広報強化を

最後に議連幹事長の三原じゅん子参院議員は、「政府主導の広報活動はコロナワクチンでも力があった。再開してから1年になるが、HPVワクチンも政府主導の広報活動、SNS、テレビCMでも、厚労省としてどういう広報活動をしているのか見えていない」と広報が不足していると指摘した。

その上で、「(積極的勧奨を)再開して終わりではなく、一人でも多くの女性の命を守ることに焦点を絞っているわけだから、接種して頂かないと命は守れない。広報について意見を出し合って、どうやったら効果的に発信できるのか考えなければいけない」と発信を強化するよう投げかけた。

さらに若者がセクシュアルデビューをすることも多い夏休みが控えていることを踏まえ、「セクシュアルデビューしてからではワクチンの効果は半減してしまうことも、夏休み前に広報していくことが重要」と訴えた。

厚労省の担当者はこれを受け、「SNSやテレビCM等、これまでの媒体プラスαで発信しなければならないと思っている。夏休みにうっていただくのは重要で、去年を見ても夏休みにうっている人が多いようなので、そこを目がけてスタートダッシュを進めていきたい」と話した。