「我慢」じゃなく「楽しさ」で導きたい 不登校向けゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」発進!

    主に不登校の子どもに向けた新しい塾「ゲムトレ」を、「ゲームで友達ができ、ゲームで自己肯定感が高まった」という不登校経験がある若手企業家が作りました。

    学校の話をすると虚ろな目をしていた不登校の子どもたちが、一緒にゲームを始めると笑顔になったーー。

    Naoko Iwanaga / BuzzFeed

    「ゲムトレ」を始める小幡和輝さん

    そんな経験から、自身も約10年間の不登校の経験がある若手起業家、小幡和輝さん(25)が、主に不登校の子どもに向けて、ネットを通じてゲームを教えるオンライン家庭教師「ゲムトレ」を10月1日から発進する。

    全国大会出場レベルのゲームトレーナーがビデオ電話やLINE通話を使って、スマブラSPやスプラトゥーン2、フォートナイトなどの人気ゲームの攻略法を伝授する。

    「囲碁や将棋と比べてゲームは親御さんから白い目で見られがちですが、僕はゲームを通じて友達ができたし、うまくなることで自己肯定感が高まりました。人生を豊かにする道具としてゲームを使ってほしい」

    話をしたがらない不登校の子どもがゲームをすると......

    きっかけは、不登校の子どもや親の支援をしている小幡さんが、今年7〜8月に全国47都道府県を回って、親子向けの座談会をしていた時のことだ。

    親にいやいや連れてこられたような子どもたちは、いくら話しかけても生返事しか返ってこない。

    ある日、そんな子どもの一人に「普段何してんの?」と尋ねてみると、「ゲーム」と答えた。

    「今持ってる?」と聞くと、「うん」と頷く。

    「じゃあやろうよ」

    一緒にゲームを始めると、それまで死んだような目で黙りこくっていた子どもたちが前のめりになり、笑い声や歓声をあげた。

    小幡和輝さん提供

    ゲームを始めると途端に子どもたちの表情が生き生きし始めた

    「僕も大会で優勝するぐらい強いですから容赦しないんですけれども、すっかり盛り上がって、話してくれるようになったんです。他の場所でも同じことをやり始めたら、ある場所では意気投合した子どもたちが自分たちで定期的に集まって一緒にゲームをやるようになりました」

    ゲーム塾を通じて、閉じた世界を開けられないか?

    それまで、不登校の子どもたちに勉強を教えるオンライン塾のようなものを考えていた小幡さんは、ハッとした。

    「勉強の塾は、お母さんたちの反応はめちゃくちゃ良かったのですが、子どもはやりたがらない。これじゃダメだなと思っていた時に、ゲームがこれほど心をつかむのを見て、好きなものでつながる大事さを思い出しました」

    小幡さん自身、幼稚園の頃から登園しない日が増えたが家に閉じこもっていたわけではない。いとこや仲間とゲームで対戦するために外に出て、そのうち、地元の和歌山大会で優勝したり、全国大会で入賞したりもしていた。

    「ゲームは学校に行かない自分が孤立せずに人とつながる手段でしたし、そこで初めて評価されて、自分を認めてくれる場所があるのだと自己肯定感が高まったんです。自分もそういう場所を作ろうと思いました」

    それまで出会ったゲーム仲間に声をかけて、トレーナーを7人ほど集めた。いずれも全国大会出場レベルで、高校生など10代がほとんどだ。

    8月末から試しで参加者を募集してみると、すぐに17人の申し込みがあった。

    反響も上々だった。

    「終わって部屋から出てきた第一声は、すごく楽しかった~ またやりたい! めっちゃ技教わって、早く試したいな~ と。家族とだけしか話さないより、信頼できる他の方とのつながりが大切だと思うので、親としてはありがたいです」(中1女子の母)

    「昼夜逆転する日もありながら、今まで三回、なんとか時間に起きてゲムトレに間に合っています^-^ トレーナーとデュオを組んで、バトルで生き残れることがとってもうれしいようです」(小5男子の母)

    「不登校であっても、自分を卑下せず明るくなっていく息子を見ながら親として『ゲムトレはじめて良かった!』と実感しています」(中2男子の母)

    10月1日から本格稼働することを決めた。

    1回1時間 午前中が原則な理由

    ビデオ通話でつなぎ、1授業1時間、トレーナーとゲームを実践しながら強くなるための技術を学んでいく。

    最初の1ヶ月間はマンツーマンの指導だが、2ヶ月目から同じぐらいの実力の仲間とチームトレーニングをしていく。

    ゲムトレ

    「ゲムトレ」では、トレーナーや仲間と会話をしながら「コミュニケーション能力」を身につけ、ゲームを楽しみ、強くなることで「笑顔と自己肯定感」を得ることも目指すという。

    「ゲーム依存症の問題は確かにありますが、ゲームをやめたくてもやめられないで社会生活に支障を来たす状況がゲーム依存症ならば、ゲムトレは孤立を防ぎ、人とつながることで予防や改善につながる可能性もあります」

    工夫しているのは、ゲムトレの時間を原則、午前中にしていることだ。

    「不登校になると、昼夜逆転生活に悩む人も多いのですが、朝起きる習慣が自然に身につきます。それもいやいやではなく、楽しみのために起きることになるはずです」

    「我慢」ではなく、「楽しさ」で導きたい

    まずは100人ぐらいの入会を目指し、その中からトレーナーになる子が出てくることも期待する。

    Naoko Iwanaga / BuzzFeed

    「日本の教育は、我慢によって子どもを導こうとする傾向がありますが、僕は楽しさによって子どもを導きたい。ゲムトレで楽しく人間関係を作り、自分の居場所を見出し、もしかしてプロも目指せるかもしれない。そんな場所作りに挑戦したいです」

    月2回(月謝5800円)〜8回(同16800円)までコースがあり、体験会(1時間2000円)も受け付ける。

    詳しい情報や体験会申し込みはゲムトレのウェブサイトへ。不登校でなくても入会を受け付けている。



    Contact Naoko Iwanaga at naoko.iwanaga@buzzfeed.com.

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