• medicaljp badge

風邪やインフルエンザに抗菌薬・抗生物質は効果なし 知らない人が半分以上

抗菌薬・抗生物質の使い過ぎで薬が効かない薬剤耐性菌が増えている問題は、どれほど理解されているのでしょうか?

風邪やインフルエンザには抗菌薬・抗生物質は効きません。

そして、抗菌薬を乱用していると、薬が効かない「薬剤耐性菌」が増えて、治療が難しくなってしまうこともあります。世界ではこの薬剤耐性菌のせいで毎年少なくとも70万人が死亡していると推計されています。

日本は2016年4月、「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を作り、国をあげて対策を進めてきました。

しかし、民間のシンクタンク日本医療政策機構の調査で、いまだに抗菌薬や抗生物質の使い方について国民の理解が進んでいないことがわかりました。

半数以上が抗菌薬・抗生物質が風邪やインフルエンザに効かないことを知らない

この調査は、医療に対する国民の認識や意見を把握し、政策提言につなげようと同機構が2006年から続けています。

今年は7月に、全国の20歳以上の男女2434人にインターネットで調査票を送り、2000人から有効回答を得ました。

抗菌薬や薬剤耐性菌に対する意識はどうなのでしょうか?

半分以上の人が今も、抗菌薬や抗生物質が風邪やインフルエンザに効果がないことを知りません。

抗菌薬・抗生物質は「細菌」による病気を治療する薬です。多くの風邪やインフルエンザは「ウイルス」が原因ですから、抗菌薬・抗生物質は効きません。

そして、約4割が「薬剤耐性菌」について全く知りませんでした。知っていると答えた人も、詳しく知っている人は全体の14.2%だけで、「薬剤耐性菌という言葉だけ知っている」人が47.3%を占めました。

日本では医師が気軽に抗菌薬を処方してしまう問題も指摘されています。医師や薬剤師にこの薬は必要なのか質問できない人は42%に上りました。「質問があるか?」と促されないとなかなか聞けないようです。

薬剤耐性菌について知識がある人ほど、抗菌薬を処方された時に必要かどうか医師や薬剤師に問いただすことができるようです。知識は力なりです。

薬剤耐性菌で気になることのナンバーワンは、不適切な使い方をしていると、ほんとうに必要になった時に効果が低くなることでした。薬剤耐性菌による院内感染では抵抗力の落ちた人が複数亡くなることもあります。

国や国から委託を受けた国際医療研究センター・AMR臨床リファレンスセンターは啓発資料を作って、この薬剤耐性問題への対策を進めています。ところがこの資料を見たことがない人がほとんど......。

タレントの篠田麻里子さんやJOYさんを応援大使に起用したこんな動画や、

YouTubeでこの動画を見る

内閣官房国際感染症対策調整室 / Via youtube.com

こんな動画も作り、

YouTubeでこの動画を見る

AMR臨床リファレンスセンター / Via youtube.com

こんなポスターや、

こんなポスターも作っているのに、

あまり見られていないようです。

風邪やインフルエンザのシーズンになる前に、自分や周りの人の健康を守るためにも薬剤耐性菌の問題、ぜひ理解して、不必要な抗菌薬・抗生物質は飲まないようにしましょう。

内閣官房国際感染症対策調整室の特集ページはこちら

厚労省から業務委託を受けている国際医療研究センター「AMR臨床リファレンスセンター」の情報サイト「かしこく治して、明日につなぐ」も参考にしてください。