ダンスは美しいだけでない。力強くもある。それを語るポートレート

    プロフェッショナルダンスの隠れた強さを写し出す、写真家のリック・ゲスト

    写真家のリック・ゲストは、ダンス界の「舞台裏」を見てみたいと思った。ダンスの最高レベルで成功するために必要な決意や犠牲といったものを、レンズで写し出したいと思ったのだ。

    作品集What Lies Beneathには、英国ロイヤル・バレエ団やイングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)、リチャード・アルストン・ダンス・カンパニー、ドレスデン国立歌劇場バレエ団、デンマーク・ロイヤル・バレエ団といったバレエ団やダンスカンパニーのダンサーたちが登場する。同名のや、近々ロンドンで開催される写真展の基となった写真シリーズだ。

    ゲストはアーティスト・ステートメントの中でこう述べている。「ダンスではその創造に費やされる莫大な努力が意図的に隠されていると思います。...でもそれではダンサーにひどいじゃないかと思うのです。What Lies Beneath、その下には何が隠されているのか、を感じ取ることで、彼らのパフォーマンスを見る体験がより高められ、実体としてのダンサーの真価をより深く認識できるのではと思います」

    「これらのポートレイトは、美しいと同時に残酷でもあるのです」

    ダンサーを撮り続けるうちに……この人たちの気品や身のこなし、そして彼らが創り出す夢のような芸術形式に夢中になっていきました。これらのダンサーを駆り立て、同時に支えもしている意思の強さといったものが感じ取れるようになるにつれ、アスリートやパフォーマー、そして人として、彼らのことを、ものすごく尊敬するようになりました。
    パフォーマンスという、表面の部分を取り払いたいと思いました。役や衣装、舞台という仮面を無くしてしまおうと思ったんです。彼らの肉体がそれが創り出す芸術によってどう形作られているか、その芸術がまた身体にどう刻み込まれているかを見たかったんです。

    ゲストの著書What Lies Beneathの前書きの中で、イングリッシュ・ナショナル・バレエ (ENB) の芸術監督兼リード・プリンシパルダンサーであるタマラ・ロホは、ダンスと写真の関係に対する自分なりの理解について述べている。

    「子供の頃、練習を行っていたマドリッドのダンススタジオに貼ってあった偉大なダンサーたちの写真にすっかり夢中になっていました」

    「毎日のようにその一人ひとりの姿を見つめ、なぜこれらのダンサーが特別なのか解明しようとしました。彼らが美しく、そのポジションも技術的に見て完璧なのは確かです。ただ、まだもっとほかにも何かあるのです。本質や秘密のようなものが。何かもっとはかないものも写真に捉えられていました……私たちの芸術に一生を捧げるダンサーたちを高めている精神があるのです」

    写真展What Lies Beneathはロンドンのホスピタルクラブで1月22日から31日まで開催の予定。