「革命的」「市場が変わる」エレコムの“あるケーブル”が今、ガジェット好きから注目されている理由

    「ノートPCのACアダプターがコンパクトになる」というUSBの変換ケーブル。エレコムから発売された新商品が「画期的」だと注目されています。一体なぜこのケーブルがそんなにも注目を集めているのか、エレコムにも開発の経緯など伺いつつ、わかりやすく解説してみました。

    エレコムから3月に発売された、ノートPC用充電ケーブル「DC-PDL20BK」「DC-PDF20BK」が、一部のガジェット好きの間で「革命的」「この製品をきっかけに市場ができる」と注目を集めています。

    丸形・角型プラグのノートパソコンに、USB-Cの充電器を使えるようになるケーブルが発売です。

    付属のアダプターは外出の時に大きくて重くてかさばる!を解決します。(充電器は別売り!) pic.twitter.com/O7cjJTUqXL

    — エレコム(公式) (@elecom_pr) March 19, 2024
    Twitter: @elecom_pr

    エレコムに発売後の手応えを聞いたところ「かなり好調」とのこと。Amazonでは一時、売れ筋ランキングの1位にも輝いていたといいます。

    一体なぜこのケーブルがそんなにも注目を集めているのか? エレコムに開発の経緯なども伺いつつ、わかりやすく解説してみました。

    ノートPCの重いACアダプターが不要に

    今回発売された商品は、角型プラグ式の「DC-PDL20BK」と、丸型プラグ式の「DC-PDF20BK」の2種類で、価格はいずれも1480円。

    どちらもケーブルの片方はUSB-Type C端子になっており、USB-PD(※)対応の充電器に接続すれば、そこからノートPCへの給電が可能になるというものです。

    ※USB Power Delivery=従来のUSB給電よりも大きな電力を扱える、USB Type-Cの給電規格

    USB充電器とPC本体を直接つなげるように
    ノートPCとの接続イメージ

    対応製品は、どちらも「純正ACアダプターの出力電圧値が20Vの製品」で、「DC-PDL20BK」 はLenovoやNECのノートPCに、「DC-PDF20BK」は東芝、富士通、NECのノートPCにそれぞれ対応しています(USBの単独ポートでの最大出力は65W以上を推奨しているとのこと)。

    エレコムの公式Xでも「付属のアダプターは外出の時に大きくて重くてかさばる!を解決します」と説明されているように、わざわざ重い純正ACアダプターを持ち歩かなくても、これ1本(+充電器)でノートPCが充電できるようになるというのが大きな特徴です。

    Twitter: @elecom_pr

    これまでは「わかっている人向け」の製品だった

    実はこうした製品は「USB PDトリガーケーブル」と呼ばれ、以前から商品自体は市場に存在していました。

    USB PDトリガーケーブルとは、USB PD充電器から任意の電圧を取り出すことができる特殊なケーブルのこと。“わかっている人”が使えば、USB PD充電に対応していないような機器でも無理やりUSB PD対応にできてしまう――という便利なケーブルです。

    USB PDトリガーケーブルの利用イメージ

    ただし、これはあくまでも“わかっている人”が使った場合のこと。対応する電圧をしっかり調べて正しく使わなければ、機器の故障や出火など重大な事故につながる可能性もあります。

    こうした危惧もあり、SNSでの反応はさまざま。

    💬  「これ、20V限定かつアダプタの推奨が65Wってのが絶妙」
    💬  「プラグ形状と電圧対応するなら持ち物だいぶ軽くなるな」
    💬  「いやもう完全に“一般人に発見”されてるな?」
    💬  「この手のケーブル大手から出るの珍しいな」

    などの好意的な反応や、

    💬 「刺さるので使えると思ってしまう層にリーチしそう」
    💬 「使い方を間違えるとすごく危ない」

    など、これまでは「わかっている人向けの製品」だったPDトリガーケーブルが一般層にまで届いてしまうことを懸念する声も一部ではみられました。

    エレコム「一部消費者の悩み解決に役に立てれば」

    いずれにしても、ガジェット好きはもちろん、そうでない層からも大きな注目を集めている同製品。

    どのような経緯で開発されたかなど、エレコムにお話を伺いました。


    ――「USB PDトリガーケーブル」と言えば、これまでは比較的玄人向けの製品カテゴリという印象がありました。今回、製品の開発と発売に至った経緯を教えてください。

    「今製品にAC充電器を同梱した旧モデルが終売となり、ケーブルだけでも残して欲しいという要望がありました」

    「ノートPCに付属する重たいACアダプターの代わりに、消費者が持っているAC充電器とセットでのご使用で、荷物軽減などに役に立つと考え、今回製品の開発・発売に至りました」

    販売終了となったAC充電器とセットの旧製品

    ――AC充電器とのセット商品は以前から販売されていたんですね。SNS上では製品に対し大きな反響が寄せられていましたが、これについて率直なお気持ちをお聞かせください。

    「SNS上で寄せられてきた反響は少し意外です。一部消費者の悩み解決に役に立てればと考えます」


    ――製品としては各社のライセンス品というわけではなく、あくまで「電圧と端子形状が合っていれば使える」という認識で合っていますでしょうか。

    「はい、その認識で合っています」  


    ――もともとやや玄人向けの製品ということもあり、使い方を間違えた場合のリスクなど、安全面を懸念する声もありました。このあたりはどのように捉えていますか。また、何か対策などはされていますか?

    「製品ホームページとパッケージに製品の仕様と用途などを明記しているため、使い方を間違えることはあまりないと考えます」

    「対策として、製品仕様と使用環境などを当社ホームページ上に記載しております。また、Webまたは電話で消費者から問い合わせがあった場合、サポートセンターが対応いたします」

    「DC-PDL20BK」と「DC-PDF20BK」 のパッケージ

    USB PDケーブルの利用はあくまで自己責任、公式の製品仕様と使用環境をよく読み、必ず対応しているかどうか確認しましょう

    「DC-PDF20BK」「DC-PDL20BK」のようなUSB PD トリガーケーブルは、うまく使えばとても便利なガジェットです。ただし、ケーブルがデバイスに対応しているかどうかは慎重に確認する必要があります。

    特に消費電力が大きいノートPCでは、対応するケーブルを間違えると事故につながる危険性も。「とりあえず挿さるから使えるだろう」とは絶対に考えず、ACアダプターに記載されている「出力電圧(V)」と「電力(W)」を必ず確認し、対応している機器で使うようにしましょう。