死と隣り合わせの数秒間 カップルを真空パックに入れて撮影するカメラマン

    Halさんの撮影には救助員が付き添う

    彼が撮影をしてきたのは、カップルを真空パックに入れ、空気が吸えなくなった数秒の瞬間。

    海外での大規模展示にカンヌライオン賞の受賞と、幅広い活躍をしているフォトグラファー、Halさん。

    2年半にかけて取り組んだプロジェクトを収めたポートレート「FLESH LOVE RETURNS」が9月21日に発売された。

    撮影を行った場所はオランダ、ベルギー、香港、そして日本。

    カップルを真空パックに入れた後、掃除機で空気を抜き、息が吸えなくなった数秒の瞬間を撮影する。

    救助用の人を1人スタンバイさせておくほど、撮影には双方ともにかなりの覚悟が必要。

    こんな過激なプロジェクトを始めたのも、2人の人の間に存在する「愛」を追ってきた結果だ。

    「最初はナイトクラブでカップルたちに話しかけ、写真を撮っていました。そこで、ほとんどのカップルたちは抱き合ったり、キスをしようとしていました。その密着をしようとする愛の表現に関心を持ったのです」とBuzzfeed Japanに伝えた。

    こうして、彼はこの「密着感」を追求するようになった。

    最初はカップルが真空パックに入った写真を白背景のスタジオで撮っていたが、それでは写真が表現するものに対して物足りなさを感じた。

    「私は写真にキャプションをつけるのが嫌いで、ビジュアルだけで訴えかけたいのです」

    カップルに好きな場所を選んでみてもらうと、写真が一気にパワーを増した。

    写真集をめくってみると似た場所がほとんどなく、そのバラエティーに驚く。

    スタジオで撮った写真は密着する2人の形だけが要素だったのに、場所を選んでもらうことによってストーリーが生まれた。

    「久しぶりに昔一緒に住んでた家に行ってみると、新しい建物が建っていたという人もいました。でも、世の中がどう動いていっても、2人の関係は変わらないのです。真空パックが現実と2人の愛との境となっているのです」

    このプロジェクトと共に彼の知名度は上がり、撮影してほしいがためにアメリカ、ドイツ、オーストラリアから東京へ駆けつけてくるカップルもいた。

    「私の作品をすべて購入し、撮影をしてほしいと連絡をいただいたドイツの夫婦もいましたけど、本当にそのためだけに東京へ来たのです。彼らが気に入ったという、ホテルの中にあったバスタブで撮影をしました」

    これからも変わらず「愛」というものを作品として収めたいと語るHalさん。

    「恋人に限らず、家族や何かのチームや団体を撮影し、そこにある絆の強さを表現することにこれから取り組んでいきたい」

    あなただったら、誰と真空パックされたいですか?