『アンパンマン』に登場する「バタコさん」の名前の由来は、バターではなく車の「バタコ」だった……?
そんな投稿が先日、Twitterで大きな反響を呼びました。
もしも本当ならいろいろ衝撃的ですが……編集部では、原作の絵本を出版しているフレーベル館に、バタコさんの名前の由来について聞いてみました。
バタコさんの由来、バターじゃなくて車?
話題となっているツイートは6月18日に投稿されたもの。
バタコさんの名前の由来は、その昔パンの配達によく使われていた「バタコ」という車から来ている――という内容で、エンディングテーマ曲『勇気りんりん』の歌詞に「バタバタ走るよバタコさん」とあるのもそれに由来している……と、子どものころ父親に教えてもらったそうなのです。
ちなみに車の「バタコ」というのは、戦前から戦後にかけて普及していた三輪トラック(オート三輪)のこと。バタバタと特徴的な音をたてて走ることから、当時の人々からは「バタコ」の愛称で呼ばれていました。
ツイートは現在までに2.2万回以上リツイートされ、「知らなかった!」「だからバタコさんがアンパンマンに投げてる(届けてる)イメージが強いのか」など大きな話題に。
ただ、ソースについてはあくまで「子どものころ父親から聞いた話」であり、投稿者自身もその後、ツイートに続けて「あくまでも都市伝説レベルだと考えてください」と補足していました。
作者・やなせたかし先生の見解は?
しかし、こうなると「バター」と「バタコ」、どちらが本当の由来なのかがやはり気になってきます。
そこで、絵本『アンパンマン』シリーズを出版しているフレーベル館に問い合わせてみたところ、次のような回答をいただくことができました。
この度はお問い合わせをくださり、ありがとうございました。お問い合わせをいただきましたバタコさんの名前の由来について、 結論から申し上げますと、「バター」由来が本筋でございます。
弊社刊行の『アンパンマンvsアンパンマン』の中では、 やなせ(たかし)先生が「なんでバタコかっていうと、ジャムだからバター。」 とおっしゃっております。
――と、作者の見解としてはやはり、オーソドックスに「バターから」だったとのこと。そ……そうなのですね。
また、今回の投稿についても次のように語ってくれました。
長く、そして多くの方が楽しんでくださっている作品なので皆様それぞれに特別な思い出があるのだと思います。今回の投稿者の方とお父様との大切な思い出に『アンパンマン』が関わっていることも、とても嬉しく思っております。
や、やさしい……! 確かに名前の由来がどちらであっても、投稿者とそのお父さんのエピソードがそれで色あせてしまうわけではありません。
一人ひとりの心の中で生き続ける『アンパンマン』の物語。それもまた、その人にとっての特別な思い出なんだなと、思わずほっこりした気持ちになりました。
バタコさんの由来は「バター」からでしたが、これからはバタコさんを見るたびに、バタバタと音をたてながらパンを届けていた「バタコ」のことをつい思い出してしまいそうです。