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吉野家「外国籍」を理由に説明会参加を拒否。学生への「お祈りメール」が拡散、謝罪

就職活動中の学生と見られるTwitterアカウントがメール文面のスクリーンショットを投稿したことがきっかけで問題が発覚。吉野家ホールディングス広報はこのメールが実際に送付されたものであったと認めた。いったい、なぜ「拒否」されたのか。

大手牛丼チェーン「吉野家」が新卒向け説明会をめぐり、「外国籍」を理由に学生の参加を拒否していたことがわかった。

SNS上で拡散していた学生へのメール内容が事実であるということを、BuzzFeed Newsの取材に対し同社が認め、謝罪。経緯を説明した。

就職活動中の学生と見られるTwitterアカウントが5月3日、不採用通知などを意味するいわゆる「お祈りメール」のスクリーンショットを投稿したことがきっかけで問題が発覚した。

メールには「外国籍の方の就労ビザの取得が大変難しく、ご縁があり内定となりました場合も、ご入社できない可能性がございます」と記されており、それを理由に説明会の予約をキャンセルするとしている。

投稿した人物は自らについて「生まれも育ちも日本で日本国籍のハーフ」と説明。吉野家側が、名前など外形的な理由で「外国籍」と判断し、本人に確認しないまま説明会への参加を断ったともとれる内容だった。

吉野家をめぐっては、常務取締役(当時)が社会人向け講座で、「生娘をシャブ漬け」などと不適切な発言をしていたことが問題視された。Twitter上では学生への差別的対応について、多くの批判が寄せられた。

吉野家ホールディングス広報はBuzzFeed Newsの取材に、このメールが実際に送付されたものであったと認めた。

そのうえで、「参加申込情報から外国籍と思われる方へは本来、先ず連絡をすべきところ、連絡の過程において不備がございました」と説明。

「誠に申し訳ございませんでした。今後は応募者に対してわかりやすい採用活動に努めてまいります」とコメントした。

なぜ「外国籍」で拒否?

吉野家はなぜ「外国籍」を理由に説明会の参加を拒否したのか。

広報担当者は、留学生や就職活動をするためのビザを持つ人たちに対して、就労のために必要な「技術・人文知識・国際業務によるビザの取得を前提」とすることを採用対象者の条件としていると説明。こう付け加えた。

「技術・人文知識・国際業務ビザの取得は非常に困難であり、内定取り消しをせざるを得なくなったことが一定程度ございました」

「ビザの取得をできず内定を取り消された方の心象を慮るあまり、外国籍の方は新卒の会社説明会のご応募をいただいても参加をやむなくお断りしておりました」

日本には、就労に制限がない永住者や定住者、その配偶者などの在留資格もある。こうした人たちは上記の条件には当てはまらず、採用の対象となっているという。

同社側はこうした説明や、「外国籍と思われる方」への連絡の不備があったともしている。なお、今回の事例で説明会への参加を拒否された学生は「申し込み時の情報から総合的」に外国籍と判断したという。

事実関係を本人に確認しないまま参加を断ったことについて、「お申込された方に適切な確認をしなかったことは、当社に非があり、大変申し訳なく思っております」と改めて謝罪。今後の対応については検討するという。

「外国籍で拒否は不適切」厚労省は指針も

とはいえ、そもそも外国籍であることを理由に説明会の参加を拒否するということ自体が差別的だ。

厚生労働省も指針で求人申し込みなどについてで「国籍による条件を付すなど差別的取扱いをしないよう十分留意すること」と明言しており、パンフレットでは以下のような事例が不適切であるとしている。

「国籍で差別しない公平な採用選考を行いましょう。日本国籍でないこと、外国人であることのみを理由に、求人者が採用面接などへの応募を拒否することは、公平な採用選考の観点から適切ではありません」

BuzzFeed Newsは厚労省の指針についての見解も質問をしたが、同社側は以下のようにコメントした。

「外国人であることのみを理由として説明会に参加することをお断りしたわけではございません。また、厚労省の定める指針の適切かどうかにつきましては、当社が判断できる立場ではございませんので、回答を控えさせていただきます」

そのうえで、「国籍を問わず、新たな価値観や発想を取り込むことで、社内にさまざまな意識改革をもたらしてくれることを期待し、あらゆる社員が強みを活かせる取り組みを積極的に推進してまいります」ともしている。

UPDATE

回答部分を一部加筆しました。