学校法人「加計学園」をめぐり、「総理のご意向」と記した文書を、前川喜平・前文部科学省事務次官が本物と証言し、野党による国会での追及が続いている。
そんな前川氏に関して、読売新聞が5月22日の朝刊で「前川氏が在職中に出会い系バー通いをしていた」ことをスクープとして報じていた。
この記事がインターネット上から削除されたことが、話題を呼んでいる。
話題を呼んだ記事だった
削除されたのは、5月22日の朝刊に掲載された「辞任の前川・前文科次官、出会い系バーに出入り」という記事だ。デジタル版の「YOMIURI ONLINE」には、この日の午前7時25分に掲載されていた。
前川氏が「売春や援助交際の交渉の場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに、頻繁に出入りしていた」とする内容だ。
バーは「売春の温床」だといい、読売新聞は「教育行政トップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ」と指摘している。
一官僚の、逮捕に至っていないスキャンダルを一般紙がスクープする例はほとんどない。そのために、「前川氏が文書のネタ元で、それが理由で潰されたのでは」「官邸からのリークでは」と指摘する声が出ていた。
BuzzFeed Newsが計測ツール「BuzzSumo」を用いて調べたところ、FacebookとTwitterで1万以上のエンゲージメント(シェアやいいね)を獲得している。
大きな話題を呼んだ記事は、遅くとも5月30日には削除されていたとみられる。
「こっそり削除」と伝えたメディアもあったが…
BuzzFeed Newsは読売新聞に削除理由についての取材を申し込んだが、取材や報道、編集に関することを理由に応じてもらえなかった。
Twitter上では「なぜ消されたのか」との憶測が行き交い、上記のように「こっそり削除」と伝えたメディアもあった。
ただ、これは違う可能性が高い。ネット上のニュース記事は公開期限が切れて、自動的に削除されることがあるからだ。
BuzzFeed Newsでは実際に、「YOMIURI ONLINE」に掲載されていた記事を確認してみた。
たとえば、前川氏のスクープと同じ日(5月22日)の朝刊に掲載されている千葉県・松戸の切りつけ事件の記事や、5月23日に出されたイギリス・マンチェスターのテロ事件に関する記事がすでに削除されていた。
また、有料版の「読売プレミアム」の過去記事には件の記事は掲載されており、アーカイブ上から削除されたわけではないこともわかる。
一定期間で自動削除?
このような自動削除は、決して読売新聞に限ったことではない。
日本の新聞社やテレビ局のサイトからは、公開から一定期間が経った記事が自動的に削除されてしまうことが多い。事件・事故に関する記事などでは、そのペースが早いこともある。
被疑者、被害者の名前が含まれている記事の場合、「忘れられる権利」が理由になることがある。
一方、多くの人々が情報源としているインターネット上から、報道機関のニュースが短期間で消えてしまうことを疑問視する声も出ている。
なお、BuzzFeedでは、一度掲載した記事が自動的に消えることはない。
各メディアの報道姿勢については【「加計学園」主要5紙はどう報じたか 立ち位置くっきり、社説を比べてみた】という記事にまとめています。
(サムネイル:BuzzFeed)