【森友学園】「昭恵夫人とステーキを食べた」籠池氏、参考人招致で「100万円寄付」を熱弁

    大阪府議会であった参考人招致。「安倍晋三記念小学校」の名前をめぐる新たな証言も。

    国会で加計学園をめぐる閉会中審査が開かれていた7月10日。大阪府議会では、森友学園の籠池泰典・前理事長が参考人招致され、安倍昭恵夫人からの100万円寄付などに関して、改めて証言した。

    参考人招致は、インターネットで中継された。冒頭、森友学園について、こう語り始めた。

    「天皇国日本、歴史と伝統を重んじた教育を実践してきて20年。日本国のため、国民のためと常に認識し、教育に勤しんで参りました。大阪府市並びに行政当局から、まことに親切な指導を頂戴しつつ、学校経営に邁進してきた」

    そのうえで、森友学園をめぐる「情勢が変化したのは2007年のこと」だと指摘。安倍晋三首相と昭恵夫人に「感謝」の言葉も述べた。

    「第1次安倍政権のもと、教育基本法が改正された結果、愛国心などが教育現場に持ち込まれるようになった。かねてから、愛国心の重要性を考えていた私は、愛国教育の先駆けになろうと改正後の教育基本法の内容を忖度し、改めて愛国教育の充実に努めました」

    2006年12月、第1次安倍政権下で成立した改正教育基本法では、教育の「目標」に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」という言葉が加わった。籠池氏が指摘しているのはこの点だ。

    「その結果、各方面から教育方針に賛同の声が寄せられるようになり、議員の先生方も視察に来られるようになった。そうした気運の中で人を介して、安倍晋三先生、昭恵氏とも知り合うことになり、様々なご援助を頂戴することになったことは、いまも感謝してもしきれません」

    自民議員が「100万円寄付」を問うた

    100万円の寄付に関する質問が飛び出したのは、自民党の議員からだった。府議会では、大阪維新の会が第1党であり、自民党は一野党だ。

    質問に立った今西和貴議員が「本当に昭恵夫人から100万円の寄付はあったんですか」と問うと、こう答えた。

    「私は何回もお返しに伺っているわけです。当然ございました。寄付とは悪いことをされたわけではなく、良いことをされている。ですから、否定されるものはなにもなく、実際、きちっと100万円はいただきました」

    籠池氏側の主張では、寄付を受け取ったのは2015年9月。昭恵夫人が森友学園の運営する「塚本幼稚園」で講演を開いたときだという。ただ、安倍晋三首相や昭恵夫人はこれを全面的に否定している。

    籠池氏は6月に入って、昭恵夫人の経営する居酒屋や街頭演説の会場などに「100万円」を持参して訪問し、メディアを騒がせてきた。

    「2人きりで100万円を渡された」

    「しっかりと私の記憶がここに明確に残っているということは、確実に寄付があったという証拠ではありませんでしょうか」

    どこで受け取ったのか。そう今西議員が聞くと、籠池氏は詳細を交えながらこう説明した。これは、証人喚問で述べている内容と同じものだ。

    「朝早い時間帯に到着し、講演会が近づいているので私の園長室でお座りいただきました。当時は私と副園長、昭恵夫人と秘書の方が同席しておりましたけれども、昭恵夫人が人払いをされました」

    籠池氏は、秘書と副園長である妻が部屋から出たために部屋に2人きりになり、そこで寄付金を受け取ったと主張している。

    「鞄の中から封筒を取り出して、『これは安倍晋三からです』と。ありがたいことだなと思いまして、『いいんですか』『どうぞ』ということでした」

    「すぐに職員室に参りまして、そこにおりました職員に100万円いただきました、と。うれしいなあという歓声があがり、その後部屋に戻って、おもむろに名誉校長就任を要請しました。1秒置いて、快諾されました」

    昭恵夫人から「名前を出さないように」

    名前を出さないよう昭恵夫人からお願いされたとという内容も国会の証人喚問で出ていたが、府議会では、当時の状況をより事細かに説明した。

    「午前の講演が終わりまして、昼になりまして、すぐ近くにありますところのレストラン・シャトーに行きました。そこでビーフステーキを一緒にいただきました。おいしく秘書の方2人と私ども2人と食されました。それから玉座の間(幼稚園の一室)でくつろいでいただきまして、午後の部の講演会に入りました」

    「講演後、すぐにエレベーターで降りていただいて、正門から出ていただきまして、そのときにお土産としてのお菓子類と、そして講演代の金一封10万円を託させていただきました。(昭恵夫人は)そのまま車で帰られた」

    「約5分後に安倍昭恵夫人から電話があり、『名前は出さないようにお願いします』ということでしたので、当然のことだなと思い、名前は出していけないことだと認識致した、ということでございます」

    学校名、昭恵夫人が「どうぞ」と言った?

    また、当初寄付金を集める際に使われていた「安倍晋三記念小学院」という名前については、大阪維新の会の笹川理議員の質問にこう答えている。

    「昭恵夫人から、ぜひどうぞと。総理もぜひという風におっしゃっていると聞いておりますので、そのようにさせていただいた」

    安倍首相は、自身の名前を使われることを断ったとしており、籠池氏との見解はここでも食い違った。

    では、なぜ、安倍晋三首相の名前を?そして名誉校長には昭恵夫人を?

    そんな笹川議員の問いに、籠池氏は続けた。

    「私の教育信条は歴史と文化、そして天皇国日本だということがが非常に重要。安倍晋三先生が教育基本法を改正した内容と私の考えが合致していたということでございます」

    大阪地検が事情聴取へ

    自民党の今西議員は、質問の最後にこう語った。

    「(籠池氏の証言が)本当なのかということについては、大阪府、近畿財務局、そして関係機関に事実を突合させていかなければいけないと思います」

    「そういったことが、国民、府民が求めていることではないかと思います。真相解明に対し、会派として調査を続けてまいりたいと思います」

    籠池氏も冒頭、このような発言をしている。

    「国有地の大幅値引きや、大阪府私学課の優遇など、今思えば私にとってありえないことがたくさんあります」

    「その真相を明らかにするためにも、トカゲの尻尾切りのように私だけに罪を被せるのではなく、百条委員会を設置し、知事や私学課長、弁護士など、関係者の方々に事実関係をお聞きいただき、真相究明を進めていただきたい」

    小学校建設をめぐる補助金を不正に受給した疑いで、大阪地検特捜部により家宅捜索を受けた籠池氏。朝日新聞の報道(7月10日)によると、大阪地検特捜部はこの日の参考人招致を待って、近く事情調査する方針を固めたという。


    BuzzFeed Newsでは、森友学園に関する問題について【「国策捜査だから、逮捕はされるだろう」籠池氏が会見で繰り広げた安倍首相への批判】という記事も配信しています。