学校法人「加計学園」の獣医学部新設について、「総理のご意向」などと記した文書が文部科学省にあったと5月17日、朝日新聞が報じて以降、波紋が広がっている。
そもそも加計学園とは何か。
獣医学部はこれまで、獣医師の増えすぎを防ぐために新設が抑制されていた。
文科省もこれを理由に、今治市と愛媛県が加計学園誘致のために2007〜14年まで計15回申請していた「構造改革特区」への申請をすべて断ってきた。
その後、第二次安倍政権下で生まれた「国家戦略特区」に再申請すると、2015年12月に認定された。獣医学部の新設が認められたのは52年ぶりだ。
この特区を決める内閣府「国家戦略特別区域諮問会議」の議長は、安倍首相が務めている。
さらに、内閣府と文科省は2017年1月、特区の事業者を募集する段階になって、新たに「1校だけ」という条件を告示した。
公募期間は8日間。申請したのは、以前から今治市への計画を進めていた加計学園だけだった。
また、新設される学部の土地(評価額36億7500万円)は今治市から無償で、さらに事業費の半分(96億円)も提供される。
学園の加計孝太郎理事長と安倍首相はアメリカ留学時代から知り合いで、長年の友人だ。
あまり注目されていなかった問題だったが、「森友学園に似た事例」として、3月上旬から国会で指摘されていた。
安倍首相はこの日の答弁で、問題について「働きかけがあれば、責任を取る」と明言している。
「週刊誌を参考にされたのではと思いますが、あなたは何か学園や学生に影響があったら責任が取れるのか。土地の提供は今治市が決めたことでしょう。私が影響しようないじゃないですか」
「働きかけているというのなら、証拠を出してください。そうだったら、私は責任をとりますよ。当たり前じゃないですか」
朝日新聞が報じた「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」という題名の文書には、こんなことが書かれていたという。
「平成30年(2018年)4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」「これは官邸の最高レベルが言っていること」
野党はこの問題に対し、衆参両院予算委員会での集中審議を求める構えだ。