3.8万冊の図書焼却、高知県立大が謝罪 「注意を払う必要があった」

    大学の対応をめぐり議論が巻き起こっていたが……

    高知県立大学が、図書館の新設に伴い、旧館にあった約3万8千冊の図書や雑誌を焼却処分にしていた問題で、同大が8月18日、サイト上に野嶋佐由美学長名の謝罪文を掲載した。

    そもそもこの問題は、17日に高知新聞「高知県立大学で蔵書3万8000冊焼却 貴重な郷土本、絶版本多数」と報じたことで発覚。

    焼却が実施されたのは永国寺キャンパスの図書館で、「戦前の郷土関係の本をはじめ、現在は古書店でも入手が難しい絶版本、高値で取引されている本」が多数あったという。

    焼却は司書が立ち会いのもと、13回に分けて市内の焼却施設で実施。同紙は、複本のない6659冊は「完全に失われた」と、大学の対応を批判した。

    この記事はTwitterでもトレンド入りし、大学の対応をめぐり議論が巻き起こっていた。

    「本と出合う機会を奪った」などという批判がある一方で、報道された書籍のリストには「類書や新装版、改訂版がある」「電子化やデータベース化されている」ことを理由に、大学側の対応に理解を示す声もあがっていた。

    焼却判断「配慮が十分でなかった」

    一方、同大は文章で、「県民の皆様の知的財産である公立大学図書館の蔵書を管理する立場にある大学」として、「配慮が十分」でなかったとお詫び。

    「結果としては多くの本を焼却してしまうこととなり、このことについては、より細心の注意を払う必要があったものと深く反省しております」とした。

    焼却の経緯については、「蔵書の収蔵能力は旧図書館と同程度を保ちつつ、将来も増加し続ける蔵書のことも考慮し、大学として慎重に検討を行い、3.8万冊程度を除却するという決断」をした、と説明。

    「複数の司書と分類ごとに専門性のある教員」が、補修不能や重複しているなどの学内基準に基づき、候補リストを作成。最終的に、「重複図書約18,700冊、雑誌約12,700冊、書籍約6,600冊、合計約3.8万冊」を焼却したという。

    そのうえで、「県内の公立図書館や大学図書館、県民の皆様などにお知らせして、広く活用の道を探ることも必要であった」とし、今後検証に当たると結んだ。