非常に強い台風10号が、九州・沖縄地方に近づいています。
上陸の可能性もあり、9月6〜7日にかけ、これまでに経験したことのないような大雨や暴風の被害が起きるおそれが。気象庁は、自分と大切な人の命を守るために「最大級の警戒を」と呼びかけています。
過去の水害時には車に乗って避難中に「車中死」してしまうケースが起きています。災害時に車に乗っていたり車で避難する際にそうした被害を避けるためにはどうすればいいのでしょうか。
車で避難する際の注意点
津波から避難するためのやむを得ない場合を除いて、どんな災害でも避難のために車を使用しないのが原則です。
渋滞や事故の発生、緊急車両の通行の妨げになることがその理由。水害では水没なども懸念されるため、車による避難そのものが危険になります。
また、特に水害が起きたとき車で避難することは危険なので、特別な場合を除きやめましょう。
近隣に避難所などがある場合は徒歩によるできる限り早めの避難を心がけるとともに、すでに水害が発生している状況では無理に避難をせず、自宅や頑丈な建物の上部(斜面と反対側)に避難する「垂直避難」を心がけましょう。
水害発生時の避難行動
とはいえ運転中に大雨が降ることもあります。その際は冠水しやすい高架下や立体交差のアンダーパス、橋や川、海岸沿い、急傾斜地には近づかないことが大切です。
また、山間部を走行中に孤立してしまう可能性もあります。そうした場合のため、携帯電話の充電器や防災用品を車内にも準備しておきましょう。
車が冠水・浸水したらエンジンはかかる?走行への影響と対処法
車は思っている以上に水に弱いもの。走行中は水の深さがわかりづらく、危険を察知できない場合があります。大雨の予報がある場合は車に乗ることを控えましょう。
- タイヤ半分(浸水10cm):ブレーキが効きにくくなってしまいます。
- ドアのあたり、大人の膝までつかるほどの浸水(30cm〜):車のエンジンは停止します。その場合、すぐに車外に避難する必要があります。
- それ以上(50cm〜):車は浮き始め、流されてしまいます。また水圧や浸水でドアやパワーウインドウが開かなくなり、脱出も難しくなってしまいます。
車が水没した際の脱出法
もしも車が水没したり流されてしまったりしても、車は簡単には沈みません。ドアやパワーウィンドウが開かない場合、まずは落ち着いて以下のような手段を試してみましょう。
まず、落ち着いてシートベルトを外す。
緊急脱出用の工具を持っている場合は、サイドガラスの四隅を割って避難する(フロントガラスは工具でも割れない)
工具がない場合は、車内に水が入って外の水位との差が小さくなったときが脱出のタイミングになる。水圧の関係でドアが開きやすくなるため。
大きく息を吸い込んで足などに力を込め、ドアを押し開けて一気に脱出する。
注意ポイント 車の窓ガラスは簡単には割れません。普段から非常用のハンマーなどを常備しておくことが大切です。
水害後は、浸水した車の「発火」に注意
浸水した車は電気系統の漏電で火災が起きる危険性があります。
水が引いても浸水した車を使うことは避け、整備工場やディーラーに連絡しましょう。なお使用するまでの間、車には以下の処置をする必要があります。
いきなりエンジンをかけず、ボンネットを開けて水に浸かっているか確認
ボンネットを開けて水に浸かっていたら、バッテリーのマイナス側のターミナルを外す
外したターミナルがバッテリーと接触しないよう、テープで覆うなど絶縁処置をする
注意ポイント ただし、この措置は一般車両に限られます。ハイブリッド車や電気自動車は高電圧のバッテリーを搭載しているため、むやみに触らないようにしてください。
出典:出典:内閣府「自動車で安全かつ確実に避難できる方策」(資料2)、国土交通省「避難時に注意すること」、警察庁「大地震が発生したときに運転者がとるべき措置」、消防庁「防災マニュアル」、JAF「クルマに関する注意喚起」、「クルマ何でも質問箱」(資料1)、内閣府「避難に関する国の指導等」、内閣府「自動車で安全かつ確実に避難できる方策」(資料1)、千葉県「津波避難計画策定指針(案)」、JAF「クルマ何でも質問箱」(資料2)、「水没時、何を使えば窓が割れるのか?」、国土交通省「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ」