東京都立川市のホテルで男女2人が殺傷され、19歳の少年が逮捕された事件。
一部のメディアが、派遣型風俗店に勤務する被害者の実名を報道したことに、批判の声があがっている。
性風俗で働く人を支援する団体「SWASH」は6月2日、関係者の「氏名を原則非公開」とし、プライバシーを保護するよう求める要望書を発表した。
今回の事件をめぐっては、立川署が被害女性の名前や住所の一部を発表しているが、その報じ方はメディアによって対応が分かれている。
実名や住所、職業をあわせて報道したメディアがあった一方、職業を伏せて実名で報じたり、職業を報じつつ匿名としたりしたメディアもあった。
ただネット上では、そうした報道の情報を総合して被害者のSNSを特定し、実名や顔写真などをまとめる「トレンドブログ」も多数現れている。
一方で逮捕された少年は、未成年であることを理由に名前が伏せられている。風俗店勤務の被害者は実名、被疑者は匿名という構図での報道に批判の声が上がり、Twitterでは一時「実名報道」がトレンド入りした。
「今回の事件で亡くなられた方、被害に遭われた方、当該風俗店関係者の氏名を原則非開とし、プライバシー保護の要請を、警察としても、マスコミ各社としても、徹底して下さいますようお願い申し上げます」
こう訴えたSWASHの要望書では、「性風俗で働くほとんどの人々は、性風俗の仕事に従事していることを家族や友人などに 内緒にしているという現実が調査等により明確」と指摘。
過去にも風俗店が関係する事件や火災で、氏名や顔写真が特定されるなど、報道によるプライバシー侵害やそれに起因した誹謗中傷、人権侵害が起こってきたとしている。
そのうえで、「今回の殺人事件においても、被害者を特定するような報道やネットでのプライバシー侵害が懸念されます」として、警察やマスコミ各社に対し、プライバシー保護を徹底するよう求めている。