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稲田防衛相が虚偽答弁?黒塗り日報、自衛隊と防衛省の組織的隠蔽に「お墨付き」か

南スーダンに派遣された陸上自衛隊の「黒塗り日報」。隠蔽の経緯を、大臣は知っていたのか。

共同通信によると、 稲田防衛相は2017年2月、当初は「廃棄済み」とされていた日報が陸上自衛隊内で見つかったことについて、「事実を公表する必要はない」とする決定を了承した。

「複数の政府関係者」をソースにしたこの記事によると、2月15日、防衛省で「緊急会議」が開かれた。こうした面々が集っていたという。

稲田氏や事務方トップの黒江哲郎事務次官、豊田硬官房長、岡部俊哉陸上幕僚長、湯浅悟郎陸幕副長らが出席。情報公開請求に「廃棄済み」とした日報が陸自に電子データで残されていたことについて、事実関係を公表するか対応を協議した。

非公表の理由として、「陸自のデータは隊員個人が収集したもので公文書に当たらない」ことがあげられ、稲田防衛相は異議を唱えずにこの方針を了承したという。

共同通信はこの問題点について、こう言及している。

国会でも虚偽の説明をしたことになり、防衛相辞任を求める声が強まり、安倍晋三首相も任命責任を問われるのは確実だ。

同様の問題は朝日新聞も7月19日付の朝刊で報じている。稲田防衛相はこの日の午前、「隠蔽(を了承したとか、非公表を了承したとかいう事実は全くありません」と否定。また、菅義偉官房長官も会見で「大臣は明確にないと私にも電話で報告している」としている。

そもそもこの日報は、南スーダン現地の細かな状況が記録されているものだ。

防衛省

陸自は2011年から17年5月まで、南スーダンのPKOに参加し、道路などの整備に当たっていた。

駐留するジュバでは2016年7月、数日間で300人以上の死者を出す大規模な「戦闘」が発生。その駐留を不安視する声が相次いだ。

日本政府は「戦闘ではなく大規模な武力衝突」との見解を貫いてきたため、これが「戦闘」か「武力衝突」かについて、国会で大きな議論となった。

「戦闘」とするならば、安全保障法制に基づいた「駆けつけ警護」などの新任務を付与された陸自部隊のPKO派遣そのものが揺らぐおそれがあるからだ。

一方、話題になった日報には「戦闘」という言葉が多用されている。たとえば、「UN施設近辺で偶発的に戦闘が生起する可能性があり、流れ弾には注意が必要である」(7月12日)というような形に。

この「戦闘」という言葉が多用されている日報。もともと防衛省は「廃棄した」と説明していた。

AFP / 時事通信

そもそもこの日報を2016年9月に情報開示請求したのは、ジャーナリストの布施祐仁さんだ。請求は12月、「廃棄した」との理由で不開示となっていた。

その後、12月末になって、自民党行政改革推進本部(本部長・河野太郎衆院議員)の要請を受けた防衛省が再調査し、統合幕僚部に電子データが残っていることが判明。2月になって報道各社などに公開された。

ただ、問題はこれで終わらなかった。2017年3月には、陸自内にもデータが残っていたことが発覚。「今更陸自にあったとは言えない」と、データの削除指示まで出されていたことがNHKの報道で明るみになった。

つまり、自衛隊内で組織的な隠蔽があった、ということになる。

こうした対応について、稲田防衛相は3月16日の国会では、民進党の今井雅人議員に一連の隠蔽について問われ、「報告されなかった」と答弁している。

2月に会議があったとすれば、この点が「虚偽答弁」になるということだ。

稲田氏はこの問題を調査するため、防衛相直轄の「防衛監察本部」による特別防衛監察を指示している。その理由については、こう答弁している。

「特別防衛監察の中で徹底的に事実関係を調査させた上で、しっかりと、文書管理のあり方、また、防衛省・自衛隊に改めるべき隠蔽体質があれば、私の責任でしっかりと改善していきたいと考えております」

共同通信は、2月15日の緊急会議の2日前にも、「陸上自衛隊側から、電子データが保管されていた事実などについて報告を受けていた」とも報じている。

2度も報告を受けていたという報道どおりだとすれば、稲田防衛相は「隠蔽を自ら了承していた」という状況において、「特別防衛観察」を指示したということになる。

こうした稲田防衛相の対応について、日報の情報開示請求をした布施さんは、BuzzFeed Newsの取材に「いわば大臣が隠蔽にお墨付きを与えた形。文民統制という自衛隊の運用からも大きな問題がある」と批判する。

「結局2月15日の時点で報告されていたということが事実であれば、5ヶ月間、国民を欺き続けていたということになる。知った時点で大臣として公表するべきだった」

また、布施さんは安倍晋三首相の責任にも言及する。

「稲田大臣をかばう姿勢に終始していた安倍首相の責任が問われる事案でもあると思います」

実際、安倍首相は3月17日の国会でこう答弁している。

「もとより閣僚の任命責任は総理大臣たる私にあります。その上で、稲田大臣には、徹底的な調査を行い、改めるべき点があれば大臣の責任において徹底的に改善し、再発防止策を、再発防止を図ることにより、その責任を果たしてもらいたいと考えております」

布施さんは言う。

「自衛隊の最高指揮官も、新任務付与の政治判断をしたのも、安倍首相です。本来であれば、首相が防衛省内部だけではない、第三者を入れた徹底的な調査を指示すべきだったのではないでしょうか」

「そうしなかったためにこの問題が、ここまで放置されてしまった」

菅官房長官は7月19日午前の記者会見で、稲田防衛相の更迭、辞任について問われ、こう答えている。

「仮定のことについて答えるのは控えたい」

Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.

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